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コーチングとデザイン思考

原文:Coaching and Design Thinking
コーチングとデザイン思考
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デザイン思考 (Design Thinking) はこれまでになく広まっている。スタンフォード大学デザインスクールで開発された、この人間中心の手法は、チームが既存の問題に対し、革新的な解決策を発見することに役立つ。私はベルリン勤務中、ポツダムにあるハッソ・プラットナー・インスティテュートにてデザイン思考を学ぶ機会があった。デザイン思考には一連のプロセスがあるが、ここでは、私がコーチングの実践に役立つと考える手法をご紹介する。

調べる

デザイン思考家は、現実の世界に出て行き、彼らが研究中の課題が影響を及ぼす人たちと話すことを奨励されている。思考を広げるオープン・クエスチョンを使ってインタビューを行うことで、価値が高い情報、時には驚くべき情報が明らかとなる。彼らはまるで調査員のごとく、好奇心を持ってそこに何が実際にあるのか見つけようとする。「聞くこと」もまたコーチングの基本スキルであるが、時にコーチは、自身の心の中にある調査員的な役割を通して、クライアントに耳を傾けることを思い出す必要がある。

視覚に訴える

付箋紙にメモする、ホワイトボードに描く、レゴブロックや粘土モデルを使うなど、デザイン思考とは自分の考えを形にすることである。コーチの多くはクライアントの情報を、書類にしてフォルダーに保存したり、ドキュメントのデータをラップトップに保存したりしている。では、代わりにクライアントの視覚的イメージを作ってみてはどうだろうか。価値観、趣味や目標など、紙に書いたものでも悪くはないが、付箋紙のタイトルにしたほうがより見栄えが良くなり、またクライアントにとっても役立つツールとなるだろう。

結果よりも道のりに焦点を当てる

デザイン思考アプローチは、プロセスに焦点を当てるもので、結果にこだわっていない。このことによって、クライアントの一番の関心事を探求し、発見する機会が自由に得られるのだ。コーチング中、解決策ではなく道のり自体に集中することで、クライアントとコーチ双方にとって終わりなき可能性が広がる。解決策を求めるプレッシャーを感じずに話題を探求することで、クライアントが自然に答えを見つける場合が多いのだ。

早い段階でたくさん失敗する

クライアントまたは新しいコーチの多くは失敗を恐れており、安全策をとりすぎている。つまり、いつでも言い訳を用意しているのだ。デザイン思考のルールのひとつに、早い段階でたくさん失敗し、そこから進み続けるというものがある。クライアントと初めてセッションをする際にこの決まりを伝えれば、クライアントは失敗する余裕を設けることができるので有益かもしれない。

協力する

デザイン思考において、協力は非常に重要だ。デザイン思考家は近くで一緒に働き、それぞれの考えを重ね合わせたり、異なる意見を取り入れたりする。コーチングでは、クライアントとコーチは自分たちのチームを作るのだが、関係性をうまく機能させるためには、両者は同じくらい大切な存在である。このコーチとクライアントの二人組が、パートナー関係の基礎となり、その上にコーチングが作り上げられる。クライアントのニーズと要望を十分に尊重することで、チームワークの基礎ができるのだ。

大胆な考えを後押しする

デザイン思考におけるブレインストーミングは、大胆な考えを後押しする非常に協力的な試みである。時に、クライアントは現実に固執しすぎるため、もっと革新的な考え方をするためには、何らかの後押しが必要となる場合がある。このような、常識を覆す考え方によって創造的な流れが解放され、硬直的で限定的な信念には終止符がうたれる。クライアントがコーチのいくつかの考えを受け入れた時が、彼らに大胆な考えを思い起こさせる良い機会になる。

初心者の気持ちで

デザイン思考家たちは通常、既存の問題や課題に注目することを求められる。先入観を避け、新たな見方を発見するために、彼らは初心者の気持ちを持つようにする。そうすることで、全てを新鮮な気持ちで見ることができる。初心者の気持ちを持ち続けながらコーチすることで、コーチはクライアントの経験により深く入り込むことが可能となる。クライアントは、全く新しい見方を通して、良く知っている分野について、新たな発見ができるようになる。

コーチそしてデザイン思考家として、私は公私共に私自身の成長を助ける新しいツールを常に探している。上に述べたテクニックにより、デザイン思考の側面がコーチングに取り入れられて、コーチの方々に刺激を与えることを望んでいる。

筆者について

ズージ・ベイヤー氏(Zsuzsi Bayer)は、ICFの認定コーチ。過去12年の国際的な経験を活かし、ハンガリー人、ドイツ人、イギリス人、スペイン人などの駐在員にコーチをしている。 ハッソ・プラットナー・インスティテュート・スクール・オブ・デザイン・シンキングの卒業生。

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Coaching and Design Thinking
(2018年1月15日にICFのCOACHING WORLDに掲載された記事の翻訳。ICFの許可を得て翻訳・掲載しています。)


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