Coach's VIEW

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「満たされる」から「満たす」へ

「満たされる」から「満たす」へ
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コーチ・エィでは、エグゼクティブコーチが月に一度、対話を通じたトレーニングを行っています。

先日、そのトレーニングのテーマとなった問いは「人はなぜ、変わりたいと思っているのに変われないのか? 何があると人は変わっていけるのか?」というものでした。1時間ほどコーチたちと対話を重ねる中で、私は「人は満たされることで、次のゴールにシフトしていけるのではないか」と考えるようになりました。

念願のものを手に入れた体験

「人は満たされることで、次のゴールにシフトしていけるのではないか」という点について、思い出す体験があります。

私には、欲しいと思い続けていたスカーフがありました。そのスカーフは特定のブランドのもので、店舗に行ってもなかなか置いてありません。私は5年ほど、店の前を通るたびに入っていって「〇〇のスカーフはありますか?」と聞くことが習慣になっていました。年に3~4回は店に立ち寄っていたと思います。毎回「ありません」と言われるのですが、とにかく欲しくてたまらない。「無い」と言われれば、さらに欲しくなる。そんなふうに、スカーフを手に入れることは私の頭の片隅に未完了なものとしてずっと残っていました。

それがなんと、先日偶然そのスカーフと出会い、5年間の念願がやっとかなったのです。その時の満たされた感覚は、スローモーションのように今でも思い出せます。あの満たされた感覚は、ものすごいインパクトがありました。

自分の欲求に正直になる

なぜ私はこんなにも満たされたのか。振り返ると「やっぱりこのスカーフが欲しい」という自分の気持ちに、正直になったからだと思いました。

「欲しい」という感情は、単に物の所有という領域にとどまらず、仕事においても、人との関わりにおいても生じるものではないでしょうか。しかし、ともすると、私たちはその「欲しい」に対して無意識のうちにフタをしたり、ないものにしたりすることがあります。たとえば「感謝の言葉が欲しい」「上司からのメールに返事が欲しい」「成果をあげたことに対する承認が欲しい」といった欲求に、意識的にあるいは無意識のうちにフタをして、うやむやにしてはいないでしょうか。

その「欲しい」の感情に気づき、目をそらさずに認め、その欲求を満たすために、自ら動くこと。それによってエネルギーが高まり、次のゴールに向けてシフトすることが可能になるのだと思うのです。

満たされるのか? 満たすのか?

また、欲しいスカーフを得た体験から感じたことがもうひとつあります。それは「自分で完了させる」というプロセスに意味があるのかもしれないということです。

ここまで、何かを完了させることは「満たされる」ことだと述べてきました。これは受動態の表現です。しかし、何かが私たちを満たしてくれることを待つよりも、自分で自分を満たし、それによって次にシフトしていけるならば、さらに自分自身のエネルギーが高まるのではないでしょうか。

たとえば、同じスカーフを手に入れたとしても、自分で何度も手に入れようと動いた結果ではなく、誰かからプレゼントされていたら、ここまで満たされる感じはなかったように思います。満たされるよりも、満たすプロセスを経ることが、私たちのエネルギーを高めるポイントになるように思うのです。

勤務先でも学校でも、日本では4月に新たな始まりを経験することが多くあります。私自身、気持ちもリフレッシュされ、また、新たに始めたいことがたくさん頭をよぎっています。この春、何かをスタートさせたい、シフトしたいと思っている皆さんは「何で自分を満たして次にシフトしようか?」と考えてみるのはいかがでしょうか。

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