データは語る

コーチング研究所によるさまざまな調査の結果や、データの分析結果をご紹介します。


「異なる部署」とのコミュニケーションには、どんなメリットがあるのか?

仕事における「変化」と「コミュニケーション」についてのアンケート結果
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1. 調査の主旨と概要

1.1. 調査の主旨

本調査結果レポートは、仕事における「変化」と「コミュニケーション」についてのアンケート調査結果をまとめたものです。本調査では、企業等で働く人を対象に、周囲と交わしているコミュニケーションが、仕事における自身の変化とどう関係しているのかを調査しました。

1.2. アンケート調査概要

調査対象:コーチ・エィ発行メールマガジン「WEEKLY GLOBAL COACH」の読者

実施期間:2017年10月18日~2017年11月7日

実施方法:メールマガジンに記載されたURLにアクセスして回答

調査言語:日本語

調査機関:株式会社コーチ・エィ コーチング研究所

1.3. アンケートの回答状況

回答数:226件  無効回答数:34件  有効回答数:192件

1.4. アンケート調査の質問内容

問1. 仕事におけるあなたの現状について、設問別にあてはまるものをお選びください。 ※7段階評価

1.全くあてはまらない 2.あてはまらない 3.ややあてはまらない 4.どちらともいえない 5.ややあてはまる 6.あてはまる 7.とてもよくあてはまる

問1-1. 私は仕事上の不測の事態・変化にすばやく対応している

問1-2. 私は過去に成功してきた考え方・やり方にこだわらず、常に新しい考え方・やり方を導入している

問2. あなたの社内でのコミュニケーションについてお答えください。選択肢の中から、あてはまるものを全てお答えください。 ※複数回答可

問2-1. あなたが、部署(懇親の場も含む)で交わしているコミュニケーションの主な内容は何ですか。

□ 挨拶 □ 有用な情報や知識の交換 □ 業務上の情報伝達や交渉

□ 雑談や日常会話 □ 期待や要望の伝達 □ その他(            )

□ 感謝や労い □ アイディアの提案 □ コミュニケーションを交わさない

□ 苦言や叱責 □ 相手に対する指摘

問2-2. あなたが、部署や職種の異なる相手と交わしているコミュニケーションの主な内容は何ですか

(選択肢は、問2-1と同じ)

問2-3. あなたが、過去に「部署や職種の異なる相手とコミュニケーションを取っていて良かった」と感じたエピソードがあれば教えてください。 ※任意・自由回答

2. 回答者の属性分布 ※注1

3. 質問別集計結果

3.1. 仕事における「変化対応」と「新しい考え方の導入」を自ら行っている実感について

問1、2のアンケートから、仕事において「変化対応」と「新しい考え方の導入」を自ら行っている実感について調べました。

問1. 仕事におけるあなたの現状について、設問別にあてはまるものをお選びください。 ※7段階評価

1.全くあてはまらない 2.あてはまらない 3.ややあてはまらない 4.どちらともいえない 5.ややあてはまる 6.あてはまる 7.とてもよくあてはまる

問1-1. 【変化対応】私は仕事上の不測の事態・変化にすばやく対応している

問1-2. 【新しい考え方の導入】私は過去に成功してきた考え方・やり方にこだわらず、常に新しい考え方・やり方を導入している

要約

  • 仕事において「変化対応」や「新しい考え方の導入」を行っている実感は、「変化対応」の方が高く、「新しい考え方の導入」の方が低い。
  • 役職が高いほど「変化対応」や「新しい考え方の導入」を行っている実感が強い。

図1.1 問1の回答分布と平均値(全体集計) ※注1

選択肢が「5」以上のポジティブな回答は、「変化対応」では91%。「新しい考え方の導入」では70%だった。平均値では「変化対応」は「5.6」。「新しい考え方の導入」は「4.9」であり、「変化対応」の方が「新しい考え方の導入」よりも有意(p<.001)に高かった。つまり、「新しい考え方の導入」は「変化対応」と比べて実感が低いことがわかった。

図1.2 問1の平均値(役職別集計)

それぞれの役職において「変化対応」と「新しい考え方の導入」の平均値を比較すると、いずれの役職においても「変化対応」の平均値の方が「新しい考え方の導入」より高かった。つまり、どの役職においても「変化対応」の方が「新しい考え方の導入」よりも行動実感があることがわかった。また、それぞれ「変化対応」と「新しい考え方の導入」の平均値を役職間で比較すると、いずれも役職の高い方が概ね高い傾向があった。つまり、役職が高いほど「変化対応」や「新しい考え方の導入」を行っている実感が強いことがわかった。

3.2. 「同じ部署」と「異なる部署」で交わされているコミュニケーションの内容について

以下のアンケート項目によって、「同じ部署」と「異なる部署」で交わされているコミュニケーションについて調べた。

問2. あなたの社内でのコミュニケーションについてお答えください。選択肢の中から、あてはまるものを全てお答えください。 ※複数回答可

問2-1. 【同じ部署】あなたが、部署(懇親の場も含む)で交わしているコミュニケーションの主な内容は何ですか

問2-2. 【異なる部署】あなたが部署や職種の異なる相手と交わしているコミュニケーションの主な内容は何ですか

要約

  • 同じ部署、異なる部署に関係なく「挨拶」や「業務上の情報伝達や交渉」は多くの人が行っており、役職間での違いも小さい。
  • 経営層以外は、「苦言や叱責」「相手に対する指摘」をあまり行っていない。
  • 「同じ部署」に比べて「異なる部署」の相手に対して行うコミュニケーションの種類は少ない。
  • 「挨拶」「雑談や日常会話」「業務上の情報伝達や交渉」をする相手は、「同じ部署」と「異なる部署」で違いが表れにくい。
  • 「感謝や労い」「アイディアの提案」「期待や要望の伝達」を行う相手は、「同じ部署」より「異なる部署」の方が少ない。

図2.1 問2-1【同じ部署】の結果(全体集計)

選択された内容の上位3つは、「挨拶」「雑談や日常会話」「業務上の情報伝達や交渉」だった。同じ部署で、これらのコミュニケーションが多く行われていることがうかがえる。一方、選択された内容の下位3つは、「苦言や叱責」「相手に対する指摘」「アイディアの提案」だった(「コミュニケーションを交わさない」「その他」を除く)。なかでも、「苦言や叱責」「相手に対する指摘」は50%未満であり、同じ部署では特に多く行われていないことがわかった。また、各回答者のコミュニケーション内容の選択数の平均は、5.4種類であった(「その他」と「コミュニケーションを交わさない」を除く)。

図2.2 問2-1【同じ部署】の結果(役職別集計)

同じ部署におけるコミュニケーションについて役職別の特徴を調べたところ、役職が高いほどコミュニケーションの種類数が多い傾向にあった。つまり、役職が高いほど様々な種類のコミュニケーションを職場で行っていることがわかった。また、各コミュニケーションの種類が選択された割合を役職間で比較すると、「挨拶」「業務上の情報伝達や交渉」「感謝や労い」で役職間の差が小さかった(最多と最少の差分が20%以内)。これらのコミュニケーションは役職間での違いが表れにくいことがうかがえる。

「苦言や叱責」は、経営層における割合が突出して多かった(経営層は次に多い部長の2倍以上)。一方、「期待や要望の伝達」、「相手に対する指摘」は一般社員の割合が特に少なかった(一般社員は次に少ない課長の半分以下)。つまり、他の役職と比べて、経営層は「苦言や叱責」が特に多く、一般社員は「期待や要望の伝達」、「相手に対する指摘」が特に少ないことがわかった。

図2.3 問2-2【異なる部署】の結果(全体集計)

選択された内容の上位3つは、「挨拶」「有用な情報や知識の交換」「業務上の情報伝達や交渉」だった。これらは、多くの人が部署や職種の異なる相手に対して行っていることがわかった。一方、選択された内容の下位3つは、「苦言や叱責」「相手に対する指摘」「アイディアの提案」だった(「コミュニケーションを交わさない」、「その他」を除く)。これらは、あまり多くの人が部署や職種の異なる相手に対して行っていないことがわかった。

「同じ部署(図2.1)」の集計結果と「異なる部署(図2.3)」の割合を比較すると、「挨拶」「雑談や日常会話」「業務上の情報伝達や交渉」は、あまり差がなかった(差分が10%以内)。つまり、これらは、同じ部署か異なる部署かによって違いが表れにくいコミュニケーションだということがわかった。一方、「感謝や労い」「アイディアの提案」「期待や要望の伝達」は、「異なる部署(図2.3)」の方が特に少なかった(差分が15%以上)。つまり、これらは、同じ部署に比べて異なる部署の方が行われにくいコミュニケーションだということがうかがえる。

また、回答者が選択した各コミュニケーション内容を調べたところ、平均4.3種類だった(「その他」と「コミュニケーションを交わさない」を除く)。「同じ部署(図2.1)」では平均5.4種類だったの対し、「異なる部署(図2.3)」の方がコミュニケーションは有意(p<.001)に少なかった。つまり、同じ部署に比べて部署や職種の異なる相手に対しての方が、行っているコミュニケーション内容が少ないことがわかった。

図2.4 問2-2【異なる部署】の結果(役職別集計)

異なる部署におけるコミュニケーションについて役職別の特徴を調べたところ、選択したコミュニケーションの種類数は、経営層が最も多く部長が次いで多かった。課長と一般社員はほぼ横ばいだった。

各コミュニケーションが選択された割合を役職間で比較すると、役職間の差が小さい(最多と最少の差分が20ポイント以内)のは「挨拶」「業務上の情報伝達や交渉」「雑談や日常会話」「相手に対する指摘」だった。つまり、異なる部署でのこれらのコミュニケーションは、役職間での違いが表れにくいことがわかった。

「苦言や叱責」は、経営層が他の役職に比べてより突出して多かった(経営層は他の役職の3倍以上)。また、「有用な情報や知識の交換」「感謝や労い」「期待や要望の伝達」の割合は、部長以下が比較的横這い傾向だったのに対し、経営層の割合が多かった。つまり、異なる部署での「苦言や叱責」「有用な情報や知識の交換」「感謝や労い」「期待や要望の伝達」は、経営層が多く行っているコミュニケーションであることがわかった。

4. 自由回答のまとめ:「異なる部署」の相手とのコミュニケーションによるメリット

問2-3. あなたが、過去に「部署や職種の異なる相手とコミュニケーションを取っていて良かった」と感じたエピソードがあれば教えてください。

「行動や思考の変化」 に関連するエピソード

  • 思ってもいなかった視点からの指摘をもらうことができた。自身の思考に幅ができたように思える。(40代 部長)
  • 正式なルートでは聞こえてこない、背景情報や判断基準などを知ることができ、その後の行動を変えることができたときに良かったと感じました。(40代 課長)
  • 異なる相手と対話することで、思いもよらなかった発想やイメージが浮かんだ。 自分の「常識」が良い意味で壊れた。 常に職種や人種にこだわることなくコミュニケーションをとることが刺激になり、思考回路が変化するのが面白い。(40代 課長)
  • オリジナル商品の開発を行なう際、普段では接点の無い研究開発部門や商品開発部門など、多様な職種の人と接点を持つことで、考えの幅・視野を広げることが出来た。(40代 課長)
  • 視点の違う意見や指摘があり、視野が拡大した。(40代 一般社員)
  • 既存の思考にはない発想や行動知識を得られたこと。(20代 一般社員)

「業務の円滑化」 に関連するエピソード

  • 仕事の成果にねぎらいの言葉をかけた以降 更なる改善意識や、提案がでるようになった(40代 経営層)
  • 普段から業務以外の場でもOff-site meetingを行うよう心掛けることで、無理なお願いも行うことができた。(50代 部長)
  • 各セクションごとに、キーマンとの社外や業務時間外でのラフなコミュニケーションを持っていると、全社での調整ごとや困りごとの際に円滑な仕事の推進に役立ちます。(ゴルフ、食事会等)(40代 部長)
  • さまざま人と話がしやすくなり、何かの時に助けてくれることにもつながり、大変有益(40代 部長)
  • 仕事の相談が出来、解決までのスピードと質がUPした(40代 一般社員)
  • 日常の雑談を通じて知りえた、直接業務とは関係のない趣味や家族の話から相手の人となりを理解していたことが、プロジェクトでの協働や、仕事上のアドバイスをもらえたことにつながるなどの経験が数多くありました。(50代 部長)

「組織課題の発見」 に関連するエピソード

  • 組織運営、人事系含めた問題/課題を早期に検出できた(50代 経営層)
  • 普段から、部署、職種、会社などこだわらず積極的に会話することで、自分では気づかないことを指摘してもらうことができて、問題になる前に対応することができた。(50代 課長)
  • 自部署の不具合について気づくことができた。(40代 課長)

「有益な情報の入手」 に関連するエピソード

  • 決して同じ環境の中だけでやっていたのでは、得られなかったような有益な情報を何度も手にすることができた。(60代以上 経営層)
  • 自社や業界の最新の動向についての情報を得ることができる(40代 部長)
  • 現時点で有益と感じない情報も、後に活用、検討材料となること。(40代 課長)

以上

※注1 小数点第一位を四捨五入して算出しているため、合計数値が100%にならない場合があります。


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