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アンケートレポート「取締役と取締役会、その存在意義について」

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株式会社コーチ・エィでは、2021年5月~6月に、WEEKLY GLOBAL COACH、Hello, Coaching! の読者の方、また、当社のお客様を含む企業の取締役会に携わるみなさまを対象に、「取締役と取締役会、その存在意義について 」というアンケートを実施いたしました。

288名の方から回答が寄せられ、取締役の選任理由、取締役会は誰のためにあるのか、そして、取締役会の存在意義に関する対話の実態が明らかになりました。アンケートにご協力くださったみなさまに厚く御礼申し上げます。

このアンケートは、取締役会の存在意義とは何か、取締役全員が共有できる役割は何かについて調査し、これからの取締役会と取締役の在り方について多くの方々と対話していくことを目的としています。

その背景には、2021年3月のコーポレートガバナンス・コードの改訂が「取締役会の質の向上」を目的としていることがあります。「取締役会の質」を考える際に、取締役会の存在意義を改めて問うことに価値を置きました。

読者のみなさまに、今回寄せられたアンケート結果の概要を共有させていただきます。ご自身の組織の取締役会とその存在意義について、改めて考えるきっかけになりましたら幸いです。

■調査概要
調査名:「取締役と取締役会、その存在意義について」に関するアンケート
調査期間:2021年5月26日~6月10日
調査対象:
 ・メールマガジン"WEEKLY GLOBAL COACH"の読者およびコーチングポータルサイト "Hello, Coaching!"ユーザーで、企業/組織で働く方々
 ・取締役会に携わる方々
調査項目:
 ・取締役の選任に関わる特徴や能力について
 ・取締役会の存在意義について
 ・取締役会メンバーおよび関係者・社員等とのコミュニケーションについて
 ・取締役会が機能することによる価値創造について
調査方法:WEB アンケートでの回答
有効回答数:288名

1.どのような人が取締役に選任されているのだろうか?

会社の重要事項を決定する役割を担っている取締役は、どのような能力を備え、発揮している人達なのでしょうか。そして、どのような理由で選任されているのでしょうか。選任理由と思うものを、取締役会関連(社内外取締役、監査役、取締役会事務局)と従業員の2分類で比較しました。

社内取締役の選任理由

社内取締役の選任理由のトップ2は両者とも共通して、現役の「部門トップであること」「入社以来の顕著な実績」となりました。一方3位は、従業員が「CEO・社長からの高い評価」を選択したのに対して、取締役会関連は、「特定専門領域での豊富な経験・高い専門知識」を選択しました。

社外取締役の選任理由

社外取締役の選任理由は、取締役関連、従業員とも、経営者や特定専門分野での経験や高い専門知識を上位にあげていました。特徴的なのは、取締役会関連の回答の3位が「大株主・親会社・兄弟会社の関係者であること」という項目だったことです。親子上場や株式持ち合いが多い日本企業の経営形態の特徴が、社外取締役の選任要件となっていることがうかがえます。

取締役の選任要件に一つ変更を加えるとしたら?

取締役は、どのような能力発揮や変化を求められているのでしょうか。以下の回答からは、多くのステークホルダーと積極的に関わり行動する"共創する取締役"へ進化していくことが求められていると言えそうです。

  • 企業(マネジメント)文化を進化させる
  • オープンである
  • 取締役会・取締役自身が未来に向けて変化しつづけていること
  • 社員を大事にしていること・それを実践している

2.取締役会は誰のために存在しているのだろうか?

「現在、会社に取締役会があることでメリットを得ているのは誰か?」という調査では、全体結果を、社内取締役、社外取締役・監査役、従業員の3つの回答者属性別で集計した結果<図3>、回答者の属性による興味深い違いがみてとれました。まず「一般株主」に関して、社外取締役・監査役で本項目を選択した人の割合が3割強だったのに対し、社内取締役は1割弱しか選択していません。また、社内取締役の回答で「一般社員」にメリットがあるとしたものは3位に位置しましたが、取締役会が自分達「一般社員」に利益をもたらす主体であると見えていると回答した従業員は1割未満でした。

3.取締役会の存在意義とは何か?

最後に、取締役が「取締役会の存在意義」について「誰」と「どれくらい」対話しているのか、従業員はどのような価値を創造することを取締役会に期待しているのか、取締役自身はどのようなことを考えているのか、について調査しました。

「我社の取締役会の存在意義」についての対話の頻度

取締役会関係者である社内取締役、社外取締役・監査役、取締役会事務局が、「我社の取締役会の存在意義」について日頃、誰とどれくらい対話しているのか、を調べた結果が<図4>です。

社内取締役が「我社の取締役会の存在意義」について最も多く対話している相手は同じ社内取締役(一年に1回以上話している割合52%)、最も対話していない相手は社外取締役(同16%)という結果でした。加えて、執行役員や従業員、専門家といったステークホルダーのいずれかと年に一度も対話していないという社内取締役も50%以上にのぼりました。

一方で、社外取締役や監査役が「我社の取締役会の存在意義」について対話している相手は、社内取締役(同54%)、ついで社外の専門家や知人(同49%)、社外取締役同士(同49%)という順番でした。

誰に、どのような価値を創造する取締役会でありたいか

取締役会関係者とステークホルダーである従業員が、誰にどのような価値を創造する取締役会に変化させたいと考えているかについてまとめたものが次の表です。

社員・従業員
  • 社員に働く意義・喜び・意欲。個人的な成長(社内取締役)
  • 従業員に対して安心してキャリアアップを図れる仕組み(社内取締役)
  • 従業員自身が成長できる職場環境(取締役会事務局)
顧客・取引先
  • より良い商品・サービスをリーズナブルな価格で提供すること(社外取締役)
  • より速い判断を行い、社会とお客様に環境配慮された製品が提供されること(執行役員・部長)
社会・地域
  • 人々の命と暮らし、さらには環境貢献といった面でも高い付加価値を有する商品やサービスを生み出し続けること(社内取締役)
  • 社外、社会からの信頼を得てほしい(従業員)
  • お客様や社会に対し、社会課題を解決するような価値提供を行うことを期待(従業員)

これからの取締役会には、大株主・機関投資家、CEO・社長等だけでなく、[社員・従業員][顧客・取引先][社会・地域]など、より広い範囲に大きな価値をもたらす存在に変化していくことが期待されているようです。

▼フルレポートは下記URLよりダウンロードしてご覧ください。
https://biz.coacha.com/download/dacg02.html


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