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【図解】「タイプ分け™」とは 〜あなたはどのタイプ?タイプ分けで上手くいくコミュニケーション
2017年08月21日
コミュニケーションは難しい。
〜問題は相手?自分?相性?それとも?〜
一緒に仕事をするときに、やりやすいと思う相手もいれば、やりづらさを感じる相手もいます。いろいろな理由がありますが、相手との関係性に大きく影響する一つの要素が「コミュニケーション」です。
「なぜいつもうまく伝わらないのか」
「この人と話しているとイライラするのはなぜだろう」
「なんでもっとはっきり言ってくれないんだろう」
コミュニケーションでつまづいたとき、あなたはどんなことを考えますか。自分の責任だと感じたり、相手のせいだと思ったり、相性の問題だと思ったりしないでしょうか。
人は、一人ひとり違います。見かけや考え方が異なるだけではなく、ものごとの理解のプロセスや、得意な表現方法も違います。
「一人として同じ人間はいない」
頭の中ではそのことを理解しつつも、私たちはふだん、気づかないうちに自分を基準にしたコミュニケーションをとっているものです。しかし、すべての人に一様なコミュニケーションを取れば、そこには緊張、抵抗、対立、不満、齟齬、ストレスといった問題が生じることになりかねません。
加えて、今日の世界は、グローバル化、価値観の多様化が加速的に進んでいます。時代は、相手に合わせた「テーラーメイド」なマネジメント、リーダーシップ、そしてコミュニケーションを求めるようになってきているのです。
そこで重要になってくるのが、「違い」を活かすこと、そして、「違い」を可能性へと高めるスキルです。
相手に合わせて関わり方を変えることで、より効果的なコミュニケーションを交わすことができるようになります。
目次
テーラーメイドを実現する「タイプ分け™」とは
とはいえ、漠然と「相手に合わせてコミュニケーションしよう!」と思ったところで、実際には何から始めればいいかわかりません。
そこで活躍するのが、「タイプ分け™」という考え方です。
「タイプ分け™」は、「人をもっとも特徴づけるのは、他者とのコミュニケーションである」という前提に立ち、臨床心理学、組織行動学などをベースにつくられたコミュニケーションの分類方法です。「感情表出」と「自己主張」という2つの軸で、コミュニケーションのタイプを次の4つに分けて考えます。この2つの軸は、企業に勤める2万人(20歳以上)を対象に、対人関係やリーダーシップに関する調査を実施し、その結果から導き出されました。
それぞれのタイプの特徴を簡単に示すと下記のようになります。
コントローラー | 行動的で自分が思ったとおりに物事を進めることを好む |
---|---|
プロモーター | アイディアを大切にし、人と活気あることをするのを好む |
サポーター | 他人を援助することを好み、協力関係を好む |
アナライザー | 行動に際して多くの情報を集め、分析、計画を好む |
自分のタイプを知る
「タイプ分け™」を活用するには、まず自分のタイプを知ることから始めます。なぜなら、多くの場合、人は無意識に自分のタイプを基準に周囲の人と関わろうとし、自分がしてほしいように相手にコミュニケーションをとってしまうからです。
自分のタイプを知り、自分では当たり前と思っていたことが、自分特有の考え方やアプローチだと気づくことで、「では相手はどうなのか?」と興味関心をもって向き合うことができるようになります。それこそが、相手に合わせたコミュニケーションを始める最初の一歩です。
下記の一覧を参考に、自分は何タイプか考えてみましょう。当てはまる項目が多いものが、あなたのタイプです。周囲の人にも聞いてみてください。周囲からのあなたに対する認識が、自分の認識と一致するとは限りません。
タイプを見分けるためのポイント
コントローラー | プロモーター | サポーター | アナライザー | |
---|---|---|---|---|
反応速度 | 速い | やや速い | ややゆっくり | ゆっくり |
話す速さ | 速い | 速い | ゆっくり | ゆっくり |
話の長さ | 結論から単刀直入に話すので、短い | 話があちこちに飛び、展開が速いので、長い | 前置きが入る、すべてのことを話すので、長い | 順を追って、ロジカルに話すので、長い |
声の調子 | 断言口調 | 抑揚がある | 穏やか、温かい | 単調、冷静 |
表情 | 頼れそう | 楽しそう | 優しそう | まじめそう |
姿勢 | 腕組み、足組み、硬い | 身振り手振り、くだけた感じ | うなずき、相づち | 直立不動、硬い |
話の主題 | 仕事や課題について | 人や人間関係について | 人や人間関係について | 仕事や課題について |
スタンス | 要点を話そうとする | 人に影響をあたえるように話す | 期待に応えるように話す | 正確に話そうとする |
より詳しく診断したい方は、下記を参考にしてください。
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Test.jpーリーダーのための自己診断テストサイトー(有料)
相手のタイプを知る
相手のタイプを知るには、上記の診断ツールを本人に受けてもらうのが一番確実な方法です。それが難しい場合は、自分のタイプと同様に、上記のリストを参考に相手の行動パターンを観察し、タイプを予想します。
「タイプ分け™」をコミュニケーションに活かす
自分のタイプを知り、相手のタイプがわかったら、それをふだんのコミュニケーションに活かしてみましょう。以下は、それぞれのタイプの特徴と関わるときのヒントです。
コントローラー
特徴
常に自分が判断する立場にいたいと望み、自分をコントロールする人に意識的、無意識的にかかわらず反発します。またスピードを重視する戦略家であるため、くどくどと話をされることを嫌います。「人間関係より仕事」、「プロセスより結果」を優先し、人の話を聞かずに、結論を急ぐ傾向も特徴的です。
コミュニケーションのポイント
彼らと接するときは、次のポイントを意識してみましょう。
- 結論から単刀直入に話す
- 何かについて知りたいときは、質問ではなく、「〜について教えてほしい」と教えを請う表現をつかう
- 提案するときには選択肢を複数示し、相手が判断(選択)できるようにする
- 何かを任せるときは口出しをせず、全面的に任せる
プロモーター
特徴
他者に影響することを大切にしています。自分の影響力を周りの人からの反応で判断しているため、承認を代表とする、こまめな働きかけがないと、一気にやる気を失います。また、オリジナルなアイディアを大切にするため、自分のアイディアを否定されることを嫌います。常に行動的でありたいので、自由度が低かったり、詳細さを求められると本領を発揮しません。
コミュニケーションのポイント
彼らと接するときは、次のポイントを意識してみましょう。
- 話を聞くときは相づちをうつなどして明確に反応する
- 質問は間口の広い質問をして自由に話をさせる
- たくさんほめる(特に彼らの影響力をほめると効果的)
- 彼らのオリジナルなアイデアに耳を傾ける
サポーター
特徴
人の期待に応えようと行動し、対立を避ける傾向があります。そのため、サポーターはつい「いい人」になってしまい、リクエストやお願いに対して「YES」と言いがちです。サポーターとのコミュニケーションでは、言葉だけでなく、ノンバーバル(表情など)な部分にも注意する必要があります。また、「合意」があることが彼らの行動の源になります。サポーターと何かをするときは、彼らが「合意」を確認できる機会を用意するとともに、彼らの貢献を明らかにすることで行動が促進されます。
コミュニケーションのポイント
彼らと接するときは、次のポイントを意識してみましょう。
- 穏やかであたたかみのある対応を心がける
- 些細なことに対してもねぎらいの言葉をかける
- 話を聞くときは忙しくても手を休めしっかりと聞く
- リクエストをするときはYESと言いがちなことを念頭に、無理がないかなど何回か確認をする
アナライザー
特徴
自分の行っていることが「正しい」と実感できるとき、彼らの行動は促進されます。また、彼らは情報収集や分析を強みとしているため、物事に取り組むときは、そうした事前準備をする時間を設けることを重要視します。そのステップを抜かして急かしても、彼らは動きません。正しさを重視するため、失敗や間違いを嫌います。そのため漠然とした指示を嫌います。
コミュニケーションのポイント
彼らと接するときは、次のポイントを意識してみましょう。
- 質問をするときは具体的に答えやすい間口の狭い質問をする
- 承認をするときには相手の専門性を認知するような具体的な承認の言葉を使う
- 質問の返答はじっくりと待つ(彼らは正しい答えを出すために熟考してから答えます。)
- アナライザーに何かを任せるときは次のことを明らかにしてから。彼らがそれをする意味、ゴールまでのステップ、リスクなど。
「タイプ分け™」活用の留意点
ここで、「タイプ分け™」を活用する場合の留意点に触れておきます。
「タイプ分け™」は、あくまでもコミュニケーションの1つの切り口として、相手に興味関心を寄せ、観察し、理解するためのツールです。「タイプ分け™」を利用するときには次の3つのポイントを理解しておく必要があります。
- 決めつけに使わない
- それぞれのタイプに優劣はない
- 人格や人との関わりを限定するものではない
「タイプ分け™」の目的は、あくまでもどのタイプの傾向が強いかを理解することであり、その人がどのタイプかを決めることではありません。
ほぼ100%コントローラーの人もいれば、2つのタイプを併せもつ人、また、立場や役割、場、さらには相手によって表出する出るタイプが違うというケースも珍しくありません。なので、単純に「あの人は●●タイプだから」と決めつけてしまうことは危険です。また、タイプによる優劣もありません。
こうした点を忘れてしまうと、本来コミュニケーションの可能性を高めるはずの「タイプ分け™」が、決めつけや関わり方の限定につながってしまうので、注意が必要です。
そもそも、人をたった4つのタイプに分けることなどできません。しかし、ともすると、自分と「同じか、違うか」「いいか、悪いか」「好きか、嫌いか」といった二極化に陥ってしまう傾向がある私たちにとって、こうした新たな切り口で相手との関わりを見直すことは、新たな可能性の入口となります。
最後に
いかがでしたか?
繰り返しになりますが、私たちは無意識のうちに、自らのコミュニケーションのパターンを、他者とコミュニケーションを交わすときの基準としています。
たとえば、あまり話さない相手を前に、沈黙に耐えられず、しゃべりすぎてしまうことはないでしょうか。威圧的な態度の相手を前に黙ってしまったり、逆に、自分も攻撃的になったりする、ということはないでしょうか。
そんなとき、「タイプ分け™」を通して、自分をよく知り、相手を理解できていれば、そうした自動的な反応ではなく、違いを受け止め、戦略的に関わるための余裕をもつことができるようになります。「タイプ分け™」は、コミュニケーションの新たな可能性をひらく「鍵」のようなものということもできるかもしれません。
今回ご紹介したのは、「タイプ分け™」活用のほんの一部です。興味をもたれた方は、ぜひ、書籍などを通してさらに「タイプ分け™」活用の可能性を探求してください。
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「図解 コーチング流「タイプ分け™」を知ってアプローチするとうまくいく」
伊藤守監修 鈴木義幸著 ディスカヴァー・トゥエンティワン刊
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