コーチングカフェ

コーチが、日々のコーチングの体験や、周囲の人との関わりを通じて学んだことや感じたことについて綴ったコラムです。


マニアックに学ぶ

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Live as if you were to die tomorrow, Learn as if you were to live forever!

ご存知の方も多いかもしれませんが、これは「明日死ぬかのように生きなさい。永遠に生きるかのように学びなさい」という意味のマハトマ・ガンジーの言葉です。

私はこの言葉を、とても大切にしています。

コーチングマニアになる

私は自分を「コーチングマニア」だと自負しています。

私はなぜ「マニア」というほど、コーチングにハマったのか。それは、15年前のコーチングの原体験にあります。

当時、私は周囲から「ブルドーザー」と言われていました。自分でも自覚はありましたが、当時の私は、自分がやりたいと思ったら、「周りをなぎ倒してもやり抜く」、そんな考えをもっていました。

ですから、メンバーから「それはできません」と言われると、当然のように「なぜ、できないの?」と聞き返す。そんなコミュニケーションをとっていました。

できない理由を述べるのではなく、どうやったらできるかを考えてほしい。そんな風に考えていましたし、物事を前進させるため、メンバーに身につけてほしい思考だとも思っていました。

そんな私が、前職で組織風土改革のプロジェクトにアサインされ、コーチングを学ぶ機会を得ました。

全社の風土を改革していくというプロジェクトは、どこかのスイッチを押せば全体が変わるというようなものではなく、組織全体で取り組んでいく必要があります。

しかし、風土改革の担当として現場を回ってみると、忙しい現場であればあるほど、目の前の緊急かつ重要な問題に直面していて、風土改革への取り組みはどうしても後回しにされがちでした。

現場のリーダーたちは、全社にとって重要な取り組みだと理解し、共感もしていたと思います。しかし、事業の責任を負う立場で、時間的な制約がある中、現場の意識を変えていくことに難しさがあったのだと思います。

そんな中、組織風土改革のプロジェクトリーダーだった当時の上司は、全社の様々な立場の人たちとコミュニケーションをとっていくにあたりコーチングを学ぶことが役立つと考え、プロジェクト専任メンバーで学ぶことになったのです。

「なぜできないの?」から、「どうやったらできると思う?」に

もともと「ブルドーザー」の私は、学んだことをすぐに試してみよう、徹底してやってみようと取り組み始めました。

相手のタイプによってコミュニケーションの取り方を変えるなど、コーチングで学んだことを、実際の現場で試してみると、驚くほど相手の反応が違います。

「コミュニケーションの取り方を変えるだけで、こんなに変化が起こるのだ」と、どんどんコーチングにハマっていきました。

それまで私が無意識にもっていた前提は、「やる」と決めたものに対して前進を阻害するものは排除していく、という考え方だったと思います。だからこそ「なぜできないの?」と阻害要因をつぶしていく当時の私は、相手にとって決して「一緒に考えてくれる人」ではなかったと思います。

もしかしたら、相手を孤独に陥らせていたかもしれません。

しかし「なぜできないの?」から、「どうやったらできると思う?」と問いかけを変えるだけで、物事が前進していきます。

私自身、自分の変化に驚きましたし、私の関わりでメンバーが生き生きと成果を上げていくことにも驚きがありました。

組織風土変革のプロジェクトを通して、社長から現場で働く人まで、日々、様々な人とコミュニケーションを取りながら、社内コーチとして人と関わることが楽しくて仕方がありませんでした。

同時に、社内にコーチとしてのあり方やコーチングスキルをもった人が増えていったら風土改革も前進すると考え、社員の10%を社内コーチにするというプロジェクトを立ち上げました。

学びは一人では起こらない

そんな私が、本格的に「コーチ」という仕事を選んで3年が経ちます。

今ほど、コーチとして、学びについて考えない日はありません。

さまざまなエグゼクティブやリーダーたちとのセッションを通じて、まずは自分自身に興味や関心をもつこと、自分について新たな発見があることの重要さを、日々、痛感しているからです。

私が所属するコーチ・エィは、社内においてコーチのためのトレーニング・プログラムがとても充実しています。

しかし、それに飽き足らず、私は学びのサードプレイスを大切にしています。

その一つが、自分がコーチを始めた頃から参加しているコーチ同士の勉強会です。

こうした社外の学びの場の重要性は、コーチという仕事を選んでから、さらに増したように感じます。

なぜなら、社内のトレーニングの場は、あくまでも私にとって仕事の延長線上にあるものですが、社外での学びは、仕事を超えて一人の人間として成長できる場になっていると感じます。

外部のコーチの勉強会では、休日の朝7時から多様なバックグラウンドを持ったコーチのみなさんが集まり、お互いにコーチングをしたり、受けたりしながら、コーチングに対して率直なフィードバックをし合います。

その場が安心、安全な場であることはもちろんですが、さまざまなバックグラウンドを持った人たちとの対話によって、自分になかった視点が増える、新たにチャレンジしたいことが手に入る感覚があります。

* * *

こうした経験を通して、私は、従来の自分のやり方や考え方を、脇に置いて、他者から得た新しいパターンを取り入れる、それが、自分の世界を拡げていくことにつながると考えています。

しかし、アンラーニングは、一人では難しい。

アンラーニングは、自分以外の誰かとの関わりの中で可能になるものではないでしょうか。

あなたは、コーチとして、ラーニングアジリティを高めるために、取り組んでいることはありますか?
あなたが、ご自身の学びをアップデートするためにチャレンジしていることは何ですか?
あなたが、相手の学びを促進するために、どんな関わりを継続していますか?

日本コーチ協会発行のメールマガジン『JCAコーチングニュース』より、許可を得て転載)


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