コーチングの歴史、具体的なコーチングスキルなど、コーチングとは何かを知るための基礎知識をご紹介します。
【解説】法人向けコーチングとは?-企業の組織開発を実現する「システミック・コーチング™」はどのようにして行われるのか?-
2019年02月04日
法人向けコーチングの種類と変遷
日本では、2000年初頭からリーダーシップやマネジメントの手法として多くの企業が管理職を対象とした「コーチング研修」を導入しました。
その後、経営トップを含むエグゼクティブ層が1対1のコーチをつけるエグゼクティブ・コーチングが広まります。
日本企業においてコーチングが活用されるようになって20年を経た現在では、「組織開発」のためにコーチングを導入し、経営チームの一体化や組織内外のつながり強化に取り組む企業が増えています。
■「組織開発」の具体的なテーマ
- 経営理念の浸透
- 組織風土の変革
- 自律型組織の醸成
- イノベーションを起こす組織づくり
- 部門間連携の促進と縦割り組織からの脱却
- M&A後のPMI(Post Merger Integration)
- 海外拠点の現地化推進
組織全体に働きかける「システミック・コーチング™」とは
「組織開発」を目的としたコーチングでは、組織のトップの考えや発信されているVISIONに則しながら、組織に所属する人々の行動やコミュニケーション、部門間の関係性を変え、組織全体にその効果を浸透させていきます。
こうした組織全体の開発を行なうコーチングを「システミック・コーチング™」とコーチ・エィでは呼んでいます。
まず、組織全体が変革する時のキーパーソンは、影響力の強い社長をはじめ経営を担うエグゼクティブ層です。そのため多くの組織開発のプロジェクトでは、エグゼクティブ層への「エグゼクティブ・コーチング」からスタートします。エグゼクティブ層へのコーチングによって経営チームが理想とする「組織の状態」とその先に実現したいビジネス・インパクトを明確にできるか否かが、プロジェクトの成功を大きく左右するとも言えます。
経営チームの足並みが揃ったところで、次に、組織の中でハブとなる現場リーダーに対してコーチングスキルのトレーニングを行ない、スキルを身につけた現場リーダーが各自5名程度の社員に対して、少なくとも半年以上にわたり定期的かつ継続的なコーチングを実施します。なお、各リーダーがコーチングを行なう対象は、部下やプロジェクトメンバーだけでなく、業務上関わりのない他部門の社員を含むことがあり、実際にどのようにメンバーを選ぶかはシステミック・コーチング™を導入する目的にあわせて決定します。
■システミック・コーチング™の構図
「組織におけるビジネスインパクト」を起こすことにむけて、各階層では具体的には以下のようなテーマについて取り組みます。
■各階層のコーチング・テーマ
<エグゼクティブ層へのコーチングテーマ例>
- 経営者の経営の質とスピードの向上
- 経営理念の浸透度向上
- 次世代経営者の開発
- 次期経営者への事業承継
- 経営者の早期戦力化、定着化
- 新たに経営層に昇格した人材の早期戦力化、役割マッチング
- コーポレートガバナンスの強化
- M&A後の統合変革
<リーダー層へのコーチングテーマ例>
- 管理職層のマネジメント力向上
- 管理職層に部下育成のマインド醸成
- 次世代リーダーの開発
こうした構造の下、リーダー層が組織員に問いかけ、対話の量を増やすことで、組織全体が理想とする組織の状態の実現に向けて自発的な行動を起こしていきます。その結果、プロジェクトの成長速度が高まったり、組織内に新たな連鎖構造が構築されたり、組織風土が改善したりするなど、さまざまな変化が生まれていきます。
コーチングによる組織開発は、企業のみならず、研究機関や医療機関、スポーツ、教育機関、官公庁、自治体など、さまざまな分野でも導入されています。
組織開発型のコーチングにおける「リサーチ」と「効果測定」
個人に対するコーチングにおいて、フィードバックサーベイなどのリサーチを実施しますが、組織開発のプロジェクトでも、リサーチは欠かせません。アンケートやインタビューリサーチなど定量・定性の両側面のさまざまなデータから、組織の状態やリーダーシップ力などを明確にします。
プロジェクトのスタート前、期間中、終了後などに定期的にリサーチを行なうことで、プロジェクトの進捗状況を確認し、軌道修正しながら組織の目標を達成していきます。
効果測定では、次のようなフェーズにわけて、効果を明確にします。
■システミック・コーチング™の5つのフェーズ
目的にあわせた導入方法が必要
組織開発のプロジェクトといっても、コーチングを導入する目的はさまざまです。導入目的や組織の特徴にあわせて、導入方法を適宜設計する必要があります。
書籍「コーチングの基本」には4つの事例が紹介されています。
- 経営メンバー間のコミュニケーションの状態を可視化し、一体化にむけて取り組んだケース
- ベンチャー企業の社長が、組織の受け身体質を脱却するために導入したケース
- 管理職が現場でコーチングスキルを活用したケース
- イノベーションの創出にむけ、部門を越えた対話を醸成したケース
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