コーチが、日々のコーチングの体験や、周囲の人との関わりを通じて学んだことや感じたことについて綴ったコラムです。
トランジションとコーチング
コピーしました コピーに失敗しましたトランジションとは、変化や移行期、過渡期などを表す言葉です。
進学、就職、転職、異動、昇進、結婚、出産、別離。人生はトランジションの連続です。人生におけるトランジションのタイミングを並べてみるだけでも、トランジションが私たちの価値観やワークスタイル、ライフスタイルに大きな影響を与えることがわかります。
トランジションは変化の時なので、できるだけ早く新しい環境に適応したいと思う一方で、自分がこれまで構築してきた様々なルーティーンや前提、固定観念に囚われて、思うようにいかないことも多いものです。
今年は、私にとってトランジションの年となりました。その渦中に身を置く中で、トランジションの難しさを感じると同時に、トランジションにおけるコーチの存在価値を改めて認識する体験をしました。
これまでのやり方を変える難しさ
今年、私は、仕事をする時間が制限されるという状況に直面しました。これまでのように、時間内に終わらない仕事はプライベートの時間を費やして補う、といったやり方が通用しなくなりました。
また、新しい環境下で、優先すべきことは明らかに変化しているはずなのに、これまでの優先順位のつけ方から脱却できないでいました。
新しい環境に適応できずじたばたしていた私に、コーチは次のような問いを投げてくれました。
「何を優先し、何をやめるのか?」
「協力者は誰か?」
「あなたのロールモデルだったらどう進めるか?」
こうした問いかけは、私が直面している問題を、多様な視点、複数の軸から考えるための大きな助けとなりました。また、コーチとの対話を通して、「そもそも今自分は何を優先しているのか」「何を優先することが最も成功に近づくのか」自分が執着している事を客観視して見ることができ、改めて優先順位を選択し直すことができました。
自分を客観視しているつもりでも実はできていない
今回の経験を通して、人は自分を客観視する事が苦手な生き物だということを実感しました。普段通り冷静に話しているつもりでも、コーチから「いつものあなただったら気にしないことを気にして焦っているように見える」とフィードバックを受けた時には、いつもと違う環境下で、いかに視野が狭くなっているかに気づくことができました。コーチが鏡となり、いまの自分の状態を見せてくれることで、狭くなっていた視野から抜け出すことができたと思います。
トランジションは環境の変化を伴うため、ほとんどの場合、最終的には新しい環境に適応せざるを得ません。私自身、コーチがいなくても、少しずつ新たな環境に適応していっただろうと思います。
ただ、おそらく、適応するのにもっと時間がかかったと思いますし、精神的に不安定な状態を体験したかもしれません。しかし、コーチがいたことで、自分が今何をしているのか、どういう状態なのかを見つめることができ、いち早く柵を乗り越えることができたと感じています。
コーチという存在は、トランジションのスピードを速めてくれるものだと、今回身をもって体感しました。
(日本コーチ協会発行のメールマガジン『JCAコーチングニュース』より、許可を得て転載)
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