コーチが、日々のコーチングの体験や、周囲の人との関わりを通じて学んだことや感じたことについて綴ったコラムです。
しなやかにファウンデーションを整え続ける
コピーしました コピーに失敗しました日々、いかに朗らかに、雑念なくクライアントに向き合えているだろうか?
コーチングを学び始めてから、自分の「ファウンデーション」を意識することが増えました。
ここでいうファウンデーションとは、
「新たな行動を起こしていくプロセスの原動力となるエネルギー」
「行動を起こすための『基礎体力』」
などと説明される、いわゆる「自己基盤」のことです。
どうやってファウンデーションを整えるか
最初にこの考え方を知ったとき、私は、自分のファウンデーションが整っている状態を次のような状態だと考えました。
- 未完了がない(と思っている)
- 自分のやりたいことに集中できるよう、しっかり時間や集中力のマネジメントができている
学習したことにそって、未完了を棚卸しして完了させていったり、タイムマネジメントを通じてエネルギーを蓄えたりすることは、自分に「スッキリ感」をもたらしてくれます。実際にこれらを実践することで「周りのものに振り回されない安定」を手にしたように思えました。
しかし、しばらくして、それだけではファウンデーションは整わないことにも気づきました。
たとえば、上司のちょっとした一言が気になってしかたがなくなったり、商談の場での自分の発言を後悔したり、プライベートでたてた計画が崩れてしまったりなど、日々の中で生じるちょっとした出来事によって気持ちの安定は損なわれます。起こったことに影響を受けて感情が揺れ、新しいことに臨むエネルギーが少しずつ削がれていきます。
そこで、私にとっての「ファウンデーションが整っている」の定義に、新たな項目を付け加えることにしました。それは、
- 変に目の前の相手や場から影響されない
ということです。
それはわたしにとって「大丈夫かな?」「馬鹿だと思われないだろうか」といった不安からの解放を意味しました。そして「いかに他者に影響されないでいられるか?」ということを意識するようになりました。
いま振り返って言葉にすると「他者から影響を受けない」とは、わたしにとって相手の言うことを受け止めない、相手の言葉をシャットダウンするような感覚でした。
ファウンデーションを優先して感じた違和感
でも、そういった状態でコーチングをしていると、今度はなんだか人生のアンテナをすべて閉ざしているような、不感症に陥っていくような感じがあります。
コーチをしていても私のファウンデーションが影響を受けないことを優先するがために、相手の話に自分が影響を受けないように距離を取り、その分、尻込みしてしまって相手に踏み込めなくなるような感覚がありました。自分が臆病になったような気がして、不完全燃焼で終わるセッションが続きました。それはそれでストレスがたまり、やはり自分のファウンデーションに影響があるように感じます。
そこで、先輩コーチに相談しました。先輩は私の話を聞いた後、次のように言いました。
「たしかにそれは、世界を、可能性を塞いでしまっているような感じがするね」
まさにその通りです。では、どうすればいいのだろうと二人で考えて、たどり着いたのは、ファウンデーションを乱すようなこと、つまり自分が傷つくなどの影響を受けるようなことが起こったとしても、いかに早くそれを客観視できるかが大事なのではないか、ということです。
「乱されないようにする」のではなく「立ち戻れるようにする」
ファウンデーションを乱すような出来事が起こった時に、
- なぜそう思うんだろう?
- 私が持っているバイアスや独特の価値観は何か?
- 他の見方ができるとしたら、今回の出来事はどう受け止められるかしら?
と考えることは、自分を軽やかに、安定した状態に戻してくれる。
周囲からのフィードバックや、世界へのアンテナに自分を開き続け、「乱されない」ことを優先するのではなく、乱れたときこそ客観視して、すぐに立ち戻れるようになる。それがいま私に求められているファウンデーションの整え方なんだな、と感じています。
最近は、すぐに客観視ができるように、メタ認知する方法を特訓中です。そして、いろんな人のファウンデーションへの捉え方や、整え方を聞いてみたいとも思っています。
あなたはどのようなファウンデーションの整え方をしていますか?
(日本コーチ協会発行のメールマガジン『JCAコーチングニュース』より、許可を得て転載)
この記事を周りの方へシェアしませんか?
※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。転載、その他の利用のご希望がある場合は、編集部までお問い合わせください。