データは語る

コーチング研究所によるさまざまな調査の結果や、データの分析結果をご紹介します。


上司に率直に意見を言わない理由第1位は 「伝えても何も変わらないから」

「率直な意見」に関するアンケート結果(No.12)
データは語る
メールで送る リンクをコピー
コピーしました コピーに失敗しました

キーワード:率直な意見,異なる意見

1. 調査の主旨と概要

1.1. 調査の主旨

本調査結果レポートは「率直な意見に関するアンケート調査」をまとめたものです。本調査では、企業等で働く人を対象に、相手と異なる意見を持ったとき、それを率直に伝えているかどうかについて調査しました。

1.2. アンケート調査概要

調査対象:コーチ・エィ発行メールマガジン「WEEKLY GLOBAL COACH」の読者
実施期間:2016年9月7日~9月27日
実施方法:メールマガジンに記載されたURL にアクセスして回答
調査言語:日本語
調査機関:株式会社コーチ・エィ、コーチング研究所LLP

1.3. アンケートの回答状況

回答数:327件 無効回答数:34件 有効回答数:293件

1.4. アンケート調査の質問内容

所属組織の目標を達成するために、相手と異なる意見を持ったとき、あなたはそれを率直に伝えていますか。相手別(上司・部下・同僚)に、ご回答ください。

問1. 上司に対して
問1-1. 上司と異なる意見を持ったとき、あなたは自分の意見を率直に伝えていますか。あてはまるものを1つお選びください。
1:全くしていない 2:ほとんどしていない 3:ときどきしている 4:大抵している 5:いつもしている 6.上司がいない

問1-2. あなたが上司へ率直に意見を言わない場合の主な理由は何ですか。選択肢の中から最もあてはまるものを1つお選びください。
□ 自分の考えに自信がないから
□ 話をはやく進めたいから
□ 意見を言うことで責任が発生するから
□ 伝えても何も変わらないから
□ 相手との関係が悪くなるから
□ 周囲からの自分の評判が悪くなるから
□ その他( )
□ 上司がいない・いつも言えている

問1-3. 上記を選択した理由や具体的なエピソードを教えてください。(任意・自由回答)

問2. 部下に対して (問2-1~問2-3:問1 の上司と同様の設問と選択肢)

問3. 同僚に対して (問3-1~問3-3:問1 の上司と同様の設問と選択肢)

問4. あなたが相手に率直に意見を言わなかったときは、どのような問題がおきていますか。(任意・自由回答)

2. 回答者の属性分布 ※注1

[図を拡大する]

3. 質問別集計結果

問1. 上司と異なる意見を持ったとき、あなたは自分の意見を率直に伝えていますか。あてはまるものを1つお選びください。

図1.1 問1-1の結果(全体集計)※注1

[図を拡大する]

図1.2 問1-1の結果(役職別集計)※注1

[図を拡大する]

回答者の59%が、上司に対して「5.いつもしている」「4.大抵している」 と回答した。役職別では、「5.いつもしている」「4.大抵している」と回答した割合は、役職が高くなるほど大きくなっている。反対に、「2.ほとんどしていない」「1.全くしていない」と回答した割合は、役職が低くなるほど大きくなっている。これらのことから、上司に対しては、役職が高い人ほど自分の意見を率直に伝え、役職が低い人ほど伝えていない傾向があることが分かった。

問1-2. あなたが上司へ率直に意見を言わない場合の主な理由は何ですか。選択肢の中から最もあてはまるものを1つお選びください。

図1.3 問1-2の結果(全体集計)※注1

[図を拡大する]

上司に対して、率直に意見を言わない理由の1位は 「伝えても何も変わらないから(31%)」であった。

・ 「あなたはこう思っているでしょ」と、私が意見を言う前から決めてかかっているような言い方をするので、何か言う気にならない。(30代、一般社員)

・ 過去に自身の考えを伝えたが、聞こうとする姿勢が見られなかった。また、意見が上位には何も伝わっていなかった。度々続くと、意見することが少なくなった。(40代、課長)

・ 上司自身の世界ができあがっていて、それ以外の世界を理解しようとしない。否定されるか無視される。(40代、部長)

・ 聞く耳を待たない(50代、経営層)

コメントから、伝えても聞いてもらえない、意見が反映されないという思いがあることがうかがえる。

2位は、「話を早く進めたいから(19%)」 。

・ 対話によるアイデアのブラッシュアップが行えない為、意見具申しても無駄と感じている。また、上を動かすためのエネルギー・時間は業務へ使いたい。(30代、一般社員)

・ 言っても上司は判断できず、その上の上司に聞くと言いながら放置され期限が来てしまい、取引先に迷惑がかかるから。(50代・課長)

3位は、「相手との関係が悪くなるから(13%)」。

・ ご自身の意見と異なるものは一切拒否され、それでも言おうとすると一蹴されます。 また、口癖が「私を誰だと思っているんだ!」です。(50代・一般社員)

・ 親会社より出向された上司なので、意見を申しても、「それだから、○○○会社は、駄目なんだ。 変えないと・・・!」という返答が先にあり、十分な議論に至らず雰囲気が悪化するのみ。(50代・部長)

その他としては、「上司の意見が正しいと判断したから」のように上司の考えを受け入れて意見を言わないという考えが多くみられた。なお、「いつも言えている(14%)」の項目は、言わない理由にあたらないため、順位カウントの対象外とした。

図1.4 問1-2の結果(役職別集計)

[図を拡大する]

「部長」「課長」「一般社員」の1位と2位は、全体集計の結果(図1.3)と同じ傾向が見られた。「経営層」は、「自分の考えに自信がないから」「相手との関係が悪くなるから」の選択肢を選んだ割合が小さい。

問2-1 部下と異なる意見を持ったとき、あなたは自分の意見を率直に伝えていますか。あてはまるものを1つお選びください。

図2.1 問2-1の結果(全体集計)※注1

[図を拡大する]

図2.1 問2-1の結果(役職別集計)※注1

[図を拡大する]

回答者の78%の人が、部下に対して「5.いつもしている」「4.大抵している」と回答した。上司に対する場合の59%(図1.1)と比較すると19%多い結果となっている。また、役職別においては、部下に対しては、上司の場合ほどの違いは見られなかった。一般社員のみ、「5.いつもしている」の割合が他の役職よりも小さい傾向がみられた。

問2-2. あなたが部下へ率直に意見を言わない場合の主な理由は何ですか。選択肢の中から最もあてはまるものを1つお選びください。

図2.3 問2-2の結果(全体集計)※注1

[図を拡大する]

部下に対して意見を言わない理由の1位は「【その他】部下の自主的な発言、行動を促進したいから(22%)」であった。これは選択肢「その他」のコメントから拾い上げた項目であり、この理由で意図的に意見を言わない場合があることがうかがえる。

・ 自ら考え実践した結果が、一番自分自身に返ってくると考える為。人としてや組織として、よっぽど違っている考えや意見ならば正すようにはするが、部下が何故そう考えるのか、その意見を聞きたい為。(30代・課長)

・ 失敗する事を恐れる事なく、行動に自信を持ってもらいたい事、言いなりの人財にならない様に背中を押すことを心掛けている。(40代・部長)

・ 経験を重視した場合は初めから想定の範囲で自由に実行させてきた。また、意見交換はするが、方向性や妥当性の確認を主目的とし手段方法論等は部下の考え方を尊重しやってきてもらった。意外に特徴があり異次元の発想が出ることもあった。部下のやり方というものは、往々にして効率の悪さはついてまわるがこちらも一緒にその効率の向上に寄り添えれば非常に有効な職場環境も保ちながら、成長につながる。この文化は継承していってほしい。(60代以上、経営層)

2位は、「相手との関係が悪くなるから(13%)」。

・ 相手のことを全体としては認めているのに、そのことだけに反論したばかりに、全体としてネガティブな評価をしていると思われることは極力避けたい。コミュニケーションスキルの問題かもしれない。相手との関係性にも依るかもしれない。(40代・部長)

・ 素直に意見を言った場合、ショックを受けて仕事に支障が出ると予想される場合は意見を控える事がある。(30代・部長)

3位は、「伝えても何も変わらないから(10%)」。

・ 自身の意見に対し、何も感じない部下が少なからずいました。質問など聞いても、喰い付きも無く、ただ言われるがままのように感じ、余り意見しなくなりました。(40代・課長)

・ 大抵のメンバーには伝えることができているが、2 年間指導を続けても変わらなかった部下に対しては自身の考えが伝わらないため、言わないようになった。(40代・課長)

なお、「いつも言えている(30%)」の項目は、言わない理由にあたらないため、順位カウントの対象外とした。

図2.4 問2-2の結果(役職別集計)

[図を拡大する]

「部長」は、他役職と比べると「【その他】部下の自主的な発言、行動を促進したいから」を選んだ割合が20%以上大きい。また、「相手との関係が悪くなるから」は役職が下がるにつれて選ばれる割合が大きくなる傾向があった。

問3-1 同僚と異なる意見を持ったとき、あなたは自分の意見を率直に伝えていますか。あてはまるものを1つお選びください。

図3.1 問3-1の結果(全体集計)※注1

[図を拡大する]

図3.2 問3-1の結果(役職別集計)※注1

[図を拡大する]

回答者の69%の人が、同僚に対して「5.いつもしている」「4.大抵している」と回答した。上司に対する場合の59%(図1.1)、部下に対する場合の78%(図2.1)と比較すると、その中間の結果となった。また、役職が下がるについて、やや伝えない傾向が見られる。一方、「2.ほとんどしていない」は一般社員にはおらず、課長以上には数パーセント存在している。

問3-2. あなたが同僚へ率直に意見を言わない場合の主な理由は何ですか。選択肢の中から最もあてはまるものを1つお選びください。

図3.3 問3-2の結果(全体集計)※注1

[図を拡大する]

同僚に対して意見を言わない理由の1位は「相手との関係が悪くなるから(23%)」であった。

・ 業務に対する姿勢が違いすぎて、うるさい人みたいに思われてしまう。そうなると情報が入ってこないので、嫌がられないように振舞うとどうしても意見を言うよりも、相手の意見を引き出す方にまわらざるを得ない(30代・一般社員)

・ やると決まったことを実際に一緒にやる同僚については、率直に意見を言うより、関係を良好に保って現場を「回す」ことの方が優先されるから。(40代・一般社員)

・ お互いの利益がぶつかり、相手が感情的に反応してきた場合は、敢えて伝えない時がある。(50代・課長)

・ 同僚には同僚の持ち場での責任があり、その責任に基づいて行動している為、こちらも相手の立場を尊重し、よほど明白に自分が正しいと思えない限り自分の意見は主張しない様にしている。(50代・部長)

・ 会議中に諦める事がある(40代・経営層)

2位は、「伝えても何も変わらないから(14%)」。

・ 相手を選んで話すようにしている。もともと自分の判断に固執していて他人の意見に聞く耳を持っていない人には、時間をかけて説明することが不毛に感じる。(40代・一般社員))

・ 各店のやり方があるから。(50代・課長))

3位は、「話を早く進めたいから(13%)」。

・ たいした問題ではないのでスルーするが、これはと言うときは言う。(50 代・課長)

なお、「いつも言えている(23%)」の項目は、言わない理由にあたらないため、順位カウントの対象外とした。

図3.4 問3-2の結果(役職別集計)※注1

[図を拡大する]

「相手との関係が悪くなるから」は、役職が下がるにつれて選ばれる割合が大きくなる傾向があった。

問4 あなたが相手に率直に意見を言わなかったときは、どのような問題が起きていますか。

130件の自由回答が集まった。

1番多かった意見は、「自分の思った結果が得られなかった」というものであった。

・ アウトプットが自分の思っていたものと異なるものがあがってくる。(30代・課長)

・ 自分の意図したい方向と違う方向に話が進んで、大失敗したことがありました。(50代・部長)

・ ゴールの位置を相手が低く捉えてしまうことがある。 (50代・部長)

2番目に多かったのは、「本来よりも時間がかかる」というものであった。

・ 解決までの時間が長引く傾向があると思います。(30代・一般社員)

・ その業務が間違った方向に向かってしまうときがあり、遠回りになることがある。(50代・部長)

3番目に多かったのは、「自分のストレスになる」というものであった。

・ すっきりしない感じが残り、それとは関係のない別の件でしなくても良い対立をするなど、別の場所での合意が滞る。(40代・一般社員)

・ 自分自身がイライラしている。仕事に対して愚痴しか出てこない。(40 代・課長)

他に、「大きな問題は発生しない」、「再度同じことが起こる」というようなコメントがあった。


※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。転載、その他の利用のご希望がある場合は、編集部までお問い合わせください。

この記事を周りの方へシェアしませんか?

この記事はあなたにとって役に立ちましたか?
ぜひ読んだ感想を教えてください。

投票結果をみる

上司/部下

コーチング・プログラム説明会 詳細・お申し込みはこちら
メールマガジン

関連記事