コーチング研究所によるさまざまな調査の結果や、データの分析結果をご紹介します。
部下のモチベーションを下げる上司の"残念な"行動とは?
2017年12月12日
キーワード 上司の行動、部下のモチベーション
1. 調査の主旨と概要
1.1. 調査の主旨
本調査結果レポートは「上司の行動と部下のモチベーションについてのアンケート調査」をまとめたものです。本調査では、企業等で働く人を対象に、どのような上司の行動が部下のモチベーションに関係しているのかを調査しました。
1.2. アンケート調査概要
調査対象:コーチ・エィ発行メールマガジン「WEEKLY GLOBAL COACH」の読者
実施期間:2017年9月6日~2017年9月26日
実施方法:メールマガジンに記載されたURLにアクセスして回答
調査言語:日本語
調査機関:株式会社コーチ・エィ コーチング研究所
1.3. アンケートの回答状況
回答数:514件 無効回答数:44件 有効回答数:470件
1.4. アンケート調査の質問内容
問1. 過去1年間を振り返り、上司の行動があなたのモチベーションを下げたと感じたことがありますか。
以下の上司の行動の中から、当てはまると思うものを最大3つまで選択してください。
- あなたの提案に対して否定的な意見から入って、うまく行かない理由を説明する
- あなたに対し、感謝や承認をしていない
- 言ったことと実行していることが異なる
- あなたに仕事を任せず、自分一人でしようとしている
- 周囲との摩擦を避けて、言うべきことを言わない
- 過去の自身の経験にしがみつき、それに基づき物事を判断する
- 自身の言葉で背景などの説明をすることなく、決定事項だけ伝える
- 社内の人の悪口を言う
- 組織に悪い影響を恐れて、あなたに情報を開示しない
- えこひいき等、個人的な感情を仕事に持ち込む
- その他( )
- 特になし
上記を選択した理由・エピソードを教えてください。※任意・自由回答
問2. 問1で回答した上司の行動について、あなたは「その行動を変えて欲しい」と上司本人に伝えたことはありますか。
□はい □いいえ
上記を選択した理由・エピソードを教えてください。 ※任意・自由回答
2. 回答者の属性分布 ※注1
3. 質問別集計結果
問1. 過去1年間を振り返り、上司の行動があなたのモチベーションを下げたと感じたことがありますか。以下の上司の行動の中から、当てはまると思うものを最大3つまで選択してください。
図1. 問1 の結果(全体集計)
「あなたの提案に対して否定的な意見から入って、うまく行かない理由を説明する」が32%で一位であった。それに続き、「あなたに対し、感謝や承認をしていない」、「言ったことと実行していることが異なる」、「過去の自身の経験にしがみつき、それに基づき物事を判断する」がそれぞれ20%を上回る結果となった。
表1. 問1の結果(役職別集計)
※2 役職「その他」も全体に含む(詳細な内訳は人数が少ないため非表示)
※3 話を聞かない、ため息をよくつく、部下に無関心、上手くいかないときは人のせいにする、など
経営層から一般社員まで、「あなたの提案に対して否定的な意見から入って、うまく行かない理由を説明する」が上位二位以内に選ばれ、全役職において30%以上の回答者に選ばれている。また、経営層と部長では、「過去の自身の経験にしがみつき、それに基づき物事を判断する」が上位二位以内へ入っている。部長と課長の中間管理職においては、「言ったことと実行していることが異なる」が上位三位以内に入っており、上司に、より発言と実行の一致を求めていることがうかがえる。一方、一般社員は、「感謝や承認」や「決定事項の背景説明」がないと、モチベーションが下がると回答した割合が他の役職より高いことがわかった。
エピソード
- 若い頃の自分の体験や人間関係を部下に語り、そのように行動することを促す。「10年一昔」という言葉があるとおり、10年経てば社会も人も考え方も変わるということを心得ていない。自分が上手くいったからといって、他人(部下)にそれがそのまま通用するわけではない。"個を活かす"マネージメント力に欠けており、部下は自己実現できず方向性を失い、その結果モチベーションが下がる。(30代 一般社員)
- 計画や施策案をだしても、あまりみてもらえないまま上司の意見の施策、計画が通るので徒労感をおぼえる。また最初から上司が決めた案の分担や具体的指示を出してもらったほうが早いと感じることが多々ある。仕事の進め方から干渉される。指示だしされるので時に信頼されていないんだな、任せてもらえないんだなと感じることがある。(40代 一般社員)
- 質問に対して「ルールだから」「決まったことだから」で片づけてしまうことがちらほら見られ、ガッカリします。自分はどう感じているのか、どう納得したのかを伝えたり、相手にどう思うか聞いて気持ちを受け止めたり、そういうことができる関係がある環境作りがとても大切と感じます。(50代 一般社員)
- 経験は豊富ながら、評論のみで終わる事が多い。一年前と状況が変わっており違う判断が求められる時に、過去の経験に固執して前に進めようとしない。(40代 部長)
問2. 問1で回答した上司の行動について、あなたは「その行動を変えて欲しい」と上司本人に伝えたことがありますか。
図2.1の結果より、自身のモチベーションを下げた上司の行動について、回答者の約7割が上司本人に伝えたことがないことがわかった。また、役職別にみても全体傾向と変わらず、いずれの役職でも約70%の回答者が上司に伝えたことがない結果となった。
「はい」と回答した人のエピソード
- ダイレクトには「変えて欲しい」という言葉は使っていないのですが,「どの部分がしっくり来ていませんか?」からはじめて掘り下げていって、最後に「その違いが分かってよかったです.ありがとうございます.是非次回も考えが違うところがあったら教えて下さい.」と伝えました.(30代 一般社員)
- 客先から要望は出ていることは間違いないので、具体的数値や聞き取り結果などの事実をレポートとして見せ同意を得た。(40代 部長)
「いいえ」と回答した人のエピソード
- 直属の上司として着任してから、まだ長くはないため、信頼関係作りをしつつ、言うタイミングを探しているところ。(40代 一般社員)
- 言いにくい雰囲気がある。 相談しても、変えてくれるとは思えない(50代 課長)
以上
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