コーチング研究所によるさまざまな調査の結果や、データの分析結果をご紹介します。
部下との1対1の面談は、どれくらいの頻度で行われているのか?
2018年12月25日
調査の主旨と概要
1.1. 調査の主旨
本調査結果レポートは「部下との面談についてのアンケート調査」をまとめたものです。本調査では、企業等で働く人を対象に、1対1の面談(ミーティング)の実施状況について調査しました。
1.2. アンケート調査概要
調査対象:コーチ・エィ発行メールマガジン「WEEKLY GLOBAL COACH」の読者
実施期間:2018年7月25日~2018年8月20日
実施方法:メールマガジンに記載されたURLにアクセスして回答
調査言語:日本語
調査機関:株式会社コーチ・エィ コーチング研究所
1.3. アンケートの回答状況
回答数:193件 無効回答数:23件 有効回答数:170件
1.4. アンケート調査の質問内容
部下のいる方へお聞きします。
このアンケートにおける「面談」とは、上司・部下との間で行われる1対1のミーティングのことを指します。
問1. あなたが所属する組織の制度についてお聞きします。直属の部下との1対1の面談は、どれくらいの頻度で実施することになっていますか。選択肢の中から近いものを1つお選びください。
□年に1回 □半年に1回 □四半期に1回 □月に1回 □週に1回 □週に2回以上 □面談の制度はない
問2. あなたは、実際にはどれくらいの頻度で、直属の部下との1対1の面談を実施していますか。選択肢の中から近いものを1つお選びください。
□年に1回 □半年に1回 □四半期に1回 □月に1回 □週に1回 □週に2回以上 □部下はいるが実施していない
問3. 【問2で実施していると答えた方のみ】あなたは、何のために直属の部下と1対1の面談を行っていますか。選択肢の中から当てはまるものを全てお答えください。※複数選択可
□会社や組織の決定事項を伝えるため □人事考課を伝えるため □業務の進捗確認のため
□部下の目標設定のため □部下の考えを知るため □部下の提案やリクエストを聞くため □その他
問4-1. あなたが制度上で決められた頻度で面談を実施していない理由は何ですか。選択肢の中から当てはまるものを全てお答えください。※複数回答可
□面談の時間を確保できないから □面談で何を話したら良いか分からないから □日頃、十分に話せているから
□言語の違いがあるから □面談の必要性を感じないから □面談は決められた頻度で実施している □その他
問4-2上記を選択した理由を、より詳しく教えてください。 ※任意・自由回答
2. 回答者の属性分布(n=170) ※注1
3. 質問別集計結果 ※注1
問1. あなたが所属する組織の制度についてお聞きします。直属の部下との1対1の面談は、どれくらいの頻度で実施することになっていますか。選択肢の中から近いものを1つお選びください。
問2. あなたは、実際にはどれくらいの頻度で、直属の部下との1対1の面談を実施していますか。選択肢の中から近いものを1つお選びください。
図1. 問1(制度の頻度), 問2(実際の頻度)の回答分布
制度で決められている頻度は、「半年に1回」の回答が最も多く55%を占めた。実際の頻度は、「四半期に1回」が約3分の1。「月に1回」「週に1回」が各々4分の1であった。
図2. 制度の頻度 と 実際の頻度 の差
51%の回答者が、制度で決められている頻度より多く面談を行なっていると回答。約半数の上司が、積極的に部下との面談を行っていることが分かった。
一方、制度の頻度より少ないと回答したのは6%であった。
問3. 【問2で実施していると答えた方のみ】あなたは、何のために直属の部下と1対1の面談を行っていますか。選択肢の中から当てはまるものを全てお答えください。※複数選択可
図3. 面談の目的
面談の目的は、「部下の考えを知るため」が59%で最も多く、続いて「部下の目標設定のため」「業務の進捗確認のため」となった。最も少なかったのが「会社や組織の決定事項を伝えるため」であった。
問4-1. あなたが制度上で決められた頻度で面談を実施していない理由は何ですか。選択肢の中から当てはまるものを全てお答えください。※複数回答可
図4. 面談を実施していない理由
72%の回答者が、「面談は決められた頻度で実施している」を選択した。「面談で何を話したら良いか分からないから」「言語の違いがあるか」「面談の必要性を感じないから」を選択した人は少なかった。
問4-2. 上記を選択した理由を、より詳しく教えてください。※任意・自由回答 (一部抜粋)
「面談は決められた頻度で実施している」 を選択した人 (「その他」を選択した人の回答も含む:決められた頻度以上で実施している場合)
- 普段話しているつもりでも、きちんと話ができていないから決められた頻度以上に行っている。(50代 課長)
- 部下の協力無しに、部門の運営および目標達成はあり得ない。その為には、コミュニケーションが大切だと思います。(40代 課長)
- 半期毎の人事評価の際に面談を実施することが決められています。所属部署によっては上司(日本人)~部下(タイ人)となることも多くありますが、その場合は英語での面談となるため、タイ語で面談を行う場合よりも「本音」が出にくいというケースもあるようです。(40代 課長)
- 制度上決められた面談は目標設定と評価目的であるため運用上必要なためこなしつつ、それとは別に部下の必要に応じ週1から月1で個別に設定し実施している。(40代 部長)
- 日頃のコミュニケーションが働き方改革などで厳しくなる中では、しっかりと時間設定した面談の必要性を感じている(40代 部長)
- 最近、私の上司が面談をする意義を認める発言をしてくれています。以前は毎日毎日面談して時間の無駄では!?と言われていましたが、上司も面談をするようになって考えが変わったようです。コミュニケーションの取り過ぎが悪影響を与える事はないので、今後も継続して面談を実施していきます。(40代 部長)
- 面談の名目は何であっても、実際に話をすることで部下の考えの性向を知ることができるので、できるだけ頻度を増やしたい。(50代 部長)
- ここ1年くらいは特に、部下との距離を感じるようになってきています。それは、昨今の混沌とした時代背景があると思っています。社員たちの将来の不安を払拭しながら、安心して働ける職場づくりが急務だと感じています。そのためにも、各々が目的を持って働くことができる職場づくりのために行っています。(30代 経営層)
- 1対1の会議を面談というのであれば、最近は業務を行う上での必要上、部下によっては週に2~3回面談をする機会もあります。面談の頻度が上がることによって、面談の重要性をより感じるようになりました。(50代 経営層)
「面談は決められた頻度で実施している」 以外を選択した人 (「その他」を選択した人の回答も含む)
- スキルがない / 問題解決までに至らない / 一人で対応しきれない (30代 一般社員)
- 月1回は最低限実施したいと思っています。 しかしいざ業務になると、面談が仕事の邪魔をしてしまうのではないかという考えと、話す事が得意ではない為、つい優先順位を下げてしまう為。本心で部下の事を知ろうとしていないのかもしれません。(40代 課長)
- 遠隔地に居る部隊のため、定期的な面談の時間を持つのが難しい(40代 課長)
- 日々やることが多く、時間がとれない。また、話すテーマがあいまいでなにを話したらよいかわからない。(50代 課長)
- 部下の人数と、自身が担当している業務の都合からなかなかまとまった面談時間を確保できないことが多いため。(50代 課長)
- 多忙な部下が面談を「苦痛」あるいは「余分な労力」と捕らえていなだろうかと言う遠慮が自分の中にある。(50代 部長)
- 多くの部下とは日常のコミュニケーションをとっています。一部の部下、特に女子の場合ですが、会社に制度がないため、面談的な話し合いが持ちにくいと感じています。(50代 経営層)
「面談を決められた頻度で実施している」を選択した人は、実施している理由として、部下の考えを知るためのコミュニケーションを重要視しているから、という意味合いのものが多かった。部下の協力を得るためには考えを知る必要がある、考えや特性を知ることでより円滑に業務が進む、また面談を行った経験からメリットがあることを自覚しているなどのコメントが見られた。
「面談を決められた頻度で実施している」以外を選択した人は、大きく2つの理由に分かれる傾向がみられた。 1. 面談を行う必要がない:日ごろからコミュニケーションをとっているため、など。 2. 面談を行うことが難しい:距離と時間の問題。部下のオフィスとの距離があるため機会が作れない(物理的距離)や、業務時間の圧迫につながる恐れがあるため面談の機会を作ることが難しい(時間不足)、また部下に迷惑だろうかと思われる可能性を懸念する(心理的距離)など。
以上
※注1 小数点第一位を四捨五入して算出しているため、合計数値が100%にならない場合があります。
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