コーチングカフェ

コーチが、日々のコーチングの体験や、周囲の人との関わりを通じて学んだことや感じたことについて綴ったコラムです。


フィードバックは「取り」に行く

フィードバックは「取り」に行く
メールで送る リンクをコピー
コピーしました コピーに失敗しました

「フィードバックを、相手からの"期待"と思えるようになりました」

私のクライアントAさんが、あるセッションで仰った言葉です。

「フィードバック」は、目標達成に向けて現在の自分の状態を明確にするためのものです。しかし、私たちはともすると、それを忠告や批判、評価としてとらえ、身構えてしまうことがあります。

では、フィードバックを目標達成のために必要な情報として活かすには、どうしたらいいのでしょうか?

「言われる」から「取りに行く」へ

Aさんはコンサルタントで、ある企業のプロジェクトリーダーとしてお客様先に常駐していました。プロジェクトというものは「現状とゴールとのギャップを明確にし、それを埋めていきさえすれば上手くいく」と考え、粛々とプロジェクトを進めるのがAさんのスタイルだったそうです。そして、お客様からフィードバックがない状況を「プロジェクトは順調に進んでいる」とポジティブにとらえていました。

ところが、私とのコーチング・セッションが数回進む中、Aさんはふと、次のような疑問を抱いたそうです。

プロジェクトについて、自分が考えているギャップと、お客様がとらえているギャップは、はたして、本当に同じものなのだろうか?と。

そこでAさんは、「自分が認識しているプロジェクトのゴールと現状のギャップがお客様の認識と合っているのか、フィードバックが欲しい」と、お客様にはじめて伝えました。

その結果、Aさんとお客様との間には、ゴールと現状のギャップについて認識にずれがないことがわかりました。さらにそれ以上に、Aさんには得るものがあったようです。

フィードバックを「取りに行く」ことで得たものは、何か?

「フィードバックは、相手から"言われる"ものではなく、取りに行くものなんですね」

次のセッションで、Aさんはこう語り始めました。

「私はこれまで、フィードバックを"問題を人から指摘されるネガティブなもの"ととらえていたのかもしれません。そして、そこから逃げていたのかもしれません。

今回自分から『取りに行く』ことで、ネガティブなものではなく、ポジティブなものとしてとらえられるようになりました。プロジェクトについての認識齟齬がないことが明確になったこと以上に、お客様の生の声を聞くことで、私自身のモチベーションが高まりました。お客様の方からも、私に話しかけてくれることが増え、関係性もさらに良くなったと感じています」

フィードバックを「取りに行く」メリット

フィードバックを「受ける」のではなく、「取りに行く」ことで、Aさんには何が起こったのでしょうか?私は次のように考えています。

1.フィードバックを「期待」としてとらえることができる

フィードバックを受け取る、つまり「言われてしまう」というスタンスでいると、心の準備がないばかりに、忠告や批判、評価のようなネガティブなものとして受け止めてしまいます。自ら「取りに行く」ことで、フィードバックを受け取る態勢を整えることができるのでしょう。そして、フィードバックを自らの目標達成に必要な情報として位置づけることができるようになります。

2.フィードバックを通して「関係性」が構築できる

フィードバックを「取りに行く」と、相手は「自分が尊重されている」「自分の期待に応えてくれようしてくれている」と感じるのでしょう。共通の目標についてイメージを共有できることからも、信頼関係の醸成に繋がることもあると思います。

そして何より、目標に向けた現状の明確化と、軌道修正の機会が増えるので、成長速度が加速し、より早く目標が達成できるようになります。

フィードバックを「取りに行く」ことの習慣化は、「受ける」のに比べ、目標をいち早く達成し、さらに、人との関係性を広げることに繋がるのかもしれません。

あなたも、フィードバックを「受ける」のではなく、「取り」に行ってみませんか?


この記事を周りの方へシェアしませんか?

この記事はあなたにとって役に立ちましたか?
ぜひ読んだ感想を教えてください。

投票結果をみる

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。転載、その他の利用のご希望がある場合は、編集部までお問い合わせください。

コーチング・プログラム説明会 詳細・お申し込みはこちら
メールマガジン

関連記事