コーチングカフェ

コーチが、日々のコーチングの体験や、周囲の人との関わりを通じて学んだことや感じたことについて綴ったコラムです。


上司の変化が、部下の人生を変える

上司の変化が、部下の人生を変える
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「Aさんとは、話したいことが、話せません。」

私のクライアントAさんが、その部下Bさんに言われた言葉です。

これを聞いたAさんは絶句して、Bさんとの接し方について、どうしたら良いかわからなくなったそうです。

他の人は、自分のことをどう思っているのか?

Aさんの会社では、人事評価の一環として今年から、個別面談よりも頻度の高い「1on1」を導入することになりました。そしてAさんは、3人の部下それぞれと、毎月30分の「1on1」を実施することを決めました。

「Bさん以外の他の部下も、もしかしたら同じようなことを思っているかもしれない。」

そう思ったAさんは、他の部下に対しても「私と話しているときに、どう思っているか教えてほしい」と伝えました。その結果、次のような返答を得ました。

  • Aさんの話は、少し長いかもしれないです
  • 自分の意見をAさんへ伝えると、「それで?」という質問をされるので、正直ちょっと戸惑います
  • そもそもかもしれないんですが、どのタイミングでAさんへ話かけたら良いか、ちょっとわからないです

Aさんは何を変えたのか?

Aさんは、私とのセッションでこう語りました。

「これらの返答を得た当初、私は不快にしか感じませんでした。ビジネスなんだから、相手がどのような状態であれ、話すべきことは話すべきだ。それは、感情ではなくロジカルに判断すべきだ。だから、そのように判断している私の方が正しいんだ、そう思っていました。

ただ、数週間が過ぎて自分の気持ちが落ち着いてくると、部下の視点から考えられるようになりました。

もし私が部下だったら、話したいことが話せない上司に、相談しようと思わない。気軽に話せない上司とは、話したいとは思わない。話したくない上司とは、一緒に仕事をしたいと思わない。」

そこで私は、Aさんに質問しました。

「部下が話したいことを話せるような上司になるために、Aさんは何を変えますか?」

この質問を通して、Aさんは次の行動を取ると決めました。

  • 話の長さと質問の仕方の観点から、どう思ったかを部下に定期的に聞く
  • 1日に1回、自分から部下に話しかける

変えたことで、起こったこと

そのセッションから2ヶ月後、部下からAさんへ話しかける頻度が明らかに増えたそうです。

そしてクレームにはならない程度のクライアントからの小さな不満も、部下から上がってくるようになったそうです。

さらにBさんは、Aさんとの1on1で次のように話しました。

「Aさんは、この数ヶ月で本当に変わったと、私は感じています。もしAさんが変わっていなければ、私はこの仕事を辞めようと、本気で思っていました。」

Aさんはこの言葉を聞いて、「上司である自分の行動は、部下の人生に大きく影響する」と痛感したそうです。

何がこの事態を引き起こしたのか?

Aさんが変わったことで、Bさんは仕事を辞めずに済みましたが、そもそもAさんの何がこの事態を引き起こしたのでしょうか?Aさんに聞いてみました。

① 自分が周りからどのように見えているか、わかっていなかった

自分が意図せずに与えている影響を自身で把握できていませんでした。これを回避するために、これからは自分から周囲の人へ、自分がどのような影響を与えているのかを定期的に確認していきます。これにより、意図した影響とそうでない影響とのギャップを把握することができると思います。

② 自分が正しいと信じていることは、正しくないこともある、ということがわかっていなかった

自分が正しいと信じていたことは、今まで大事にしてきたことでもありました。行動の前提にもなっていたので、それを手放すことが難しかったです。ただ立場や役割、状況が異なれば、正しさも変わってきますよね。自分の信じていることは、正しくないこともある、そう捉えることができると、自分の行動の選択肢も広がっていくんだと思いました。

この話を聞いた私は、自分に対する次の問いが頭に浮かびました。

  • コーチとしての私は、Aさんからどのように見えているのか?
  • 私が正しいと信じて投げかけてきたAさんへの質問は、本当に正しかったのか?

これらの問いを自分自身に日々投げかけることが、コーチとして大事なことなのかもしれません。

あなたは、周りからどのように見えていると思いますか?

あなたが正しいと信じていることは、何ですか?


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