コーチングカフェ

コーチが、日々のコーチングの体験や、周囲の人との関わりを通じて学んだことや感じたことについて綴ったコラムです。


「一人でやる」という美徳

「一人でやる」という美徳
メールで送る リンクをコピー
コピーしました コピーに失敗しました

やることが盛りだくさんで、気が休まらない。

明日のコーチング・セッションの準備に、提案資料の作成、海外出張の計画も練りたいし、コーチングカフェの執筆期限も近い。
あぁ、部屋の掃除もそろそろ必要だ...

慌てている状態は、周囲の方にも伝わってしまうようで、ある日上司からこんな言葉をかけられました。

「一人で全部をやろうとしているから、いつまでたっても終わらないんだよ」

その台詞に、思わず黙り込む私。
「また一人で抱え込んでしまった!」という台詞が頭をとっさに駆け巡ったと同時に、前職のコンサルタント時代での経験が蘇ってきました。

「一人でやること」へのこだわり

当時、私は業務改革プロジェクトのリーダーとして、数名のチームを率いていました。

プロジェクトの内容は、業務効率化のための業務ツール/ルールの抜本改革。
これまで紙ベースで行われていたがゆえに、運用負荷が大きかったサービス管理業務を、ITを導入し運用ルールを変えることで効率化していくというものでした。

プロジェクト開始当初は、新しい業務をゼロからデザインできることにワクワクしていました。しかし、その数週間後に、私は頭を抱えていました。

新しい業務について、抜本的なアイデアが浮かばないのです。

現状業務は調査しましたし、お客様の現場を見るためにインタビューも行いました。 潤沢な情報を用いても、出るのは局所的な改善案ばかり...。全体を俯瞰した改善案になっている気がしないことに、悶々としていました。

試行錯誤を重ねるも、「これだ!」と思えるアイデアが出ないまま、時間だけが過ぎていきます。

・・・自分の力で良い意見が提示できないようでは、リーダーとして失格だわ。

そんなことを考えていた時です。見かねたマネジャーが、私に声を掛けてくれました。

「ここまでで、石川さんはどんなことを考えてくれたの?チームのみんなで話さない?」

上司からの一言に、私は引導を渡された気持ちになりました。

・・・私ひとりではできないと思われたのだろうか。
・・・もう、他の奴に任せる、とでも言いたいのだろうか。
・・・そもそも、未完成のアウトプットをマネジャーやチームメンバーにさらけ出すのは恥ずかしい。

かーっ、と体が熱くなったことを今でも覚えています。

しかし、そんな私に気づかないように、マネジャーは続けます。
「みんなで話した方が、石川さんが思いもしなかったアイデアが出るかもよ。」

一緒に考えることで、開けていった可能性

できれば一人でやりたいけれども、もはや時間がない。
このままでは、お客様に最高のサービスを提供できない。

私は腹をくくり、その時点で考えていたこと、悩んでいることを共有しました。 仕事ができない奴だと思われているだろうか、メンバーの目に移る私は頼りないリーダーだろうか。 消沈する私を気にも留めずに、マネジャーとメンバーは次々に私に質問を投げかけてくれました。

  • 最低限満たすべき要件は何だろうか?
  • キープレイヤーは誰だろうか?
  • お客様の目に触れる業務、つまり品質維持や向上が必要な業務がどれか?

それらの質問に一生懸命答えているうちに、私自身も何かが練りあがっていく感覚を感じていました。 今までに無かった視点で見直し、整理できていなかったことを再度口述しながら数十分。 気付けば、新しい業務プロセスの概略が私たちの目の前にありました。

私が抱えていた問題が、こんな簡単なことだったとは。みんなでやれば一瞬じゃないか。 その晩、少し凹んだような、拍子抜けしたような気持ちで帰路についたことを今でも覚えています。

「一人でやる」という美徳を手放す

組織で働くのであれば、コラボレーションは必須。
一人で出来ないことをやるために、組織がある。
「三人寄れば文殊の知恵」...など、チームプレーを薦める言葉は巷に溢れています。

コンサル時代、「みんなでやれば可能性が広がる」ことを学んだにも関わらず、最近の私は、またしても「一人ですべてを解決しなくてはならない」というこだわりで、自らを縛っていたようです。

頭では分かっている一方で、ついつい自分でやろうと力んでしまう方も多いのではないでしょうか。

では、私たちはなぜ「一人でやる」ことに固執してしまうのでしょうか。

  • 小さい頃、一人でできると家族や先生から褒められた
  • 憧れの先輩が「何でもできる」「マルチ」な人に見えていた
  • 些細なことは、聞く・頼むより自分でやる方が早いと考えている
  • 一人でやれないことは「恥」だと思っている

理由をあげだすときりがないかもしれません。私も上記のような理由で「一人であらゆることができる」ことを美徳だととらえていました。

ただし、「一人でやる」ことの限界を感じているのも事実です。

無意識的に私たちは「一人でやる」ことを選んで抱え込んでいるとしたら、それが目標達成を遠ざけているとしたら...。私たちは、いったいどうすればいいのでしょうか。

一つできることがあるとすると、"無意識"を"意識"に変えていくこと、かもしれません。 私の体験のように「みんなとやってみたら?」という人を横においても良いですし、自分で自分に問いをあげるのも良いでしょう。 焦っているときこそ、「一人でやる」に縛られていないか?を自分に問うことで、新しい可能性を見つけるきっかけになるのではないのでしょうか。

「一人でやる」という美徳を追求するか。「他者」を巻き込むか。

あなたの目標達成に向けて、もっともうまくいくやり方は何でしょうか?


この記事はあなたにとって役に立ちましたか?
ぜひ読んだ感想を教えてください。

投票結果をみる

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。

コミュニケーション 意識変革 目標達成

メールで送る リンクをコピー
コピーしました コピーに失敗しました

関連記事