コーチングカフェ

コーチが、日々のコーチングの体験や、周囲の人との関わりを通じて学んだことや感じたことについて綴ったコラムです。


人見知りの私が緊張しなくなったわけ

人見知りの私が緊張しなくなったわけ
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私は、小さい頃、人見知りをする子どもでした。クラスでもおとなしく、人前で話すなんてもってのほか。教科書を順番に読む番が回ってくるだけで、手に汗がびっしょり。

大人になって、多少の社交辞令は交わせるようになったものの、「コミュニケーションが苦手だ」という意識をずっとどこかでもってきました。そして、このままなんとなくやり過ごすのではなくて、一度向き合ってみよう、そう決心してコーチになることを決めたのが約8年前です。

そして今の私は、子どもの頃には想像もつかなかったような、コミュニケーションの仕事をしています。

毎日クライアントとコーチングセッションをして、時には大勢の聴衆を前にファシリテーションや講義をしています。

企業の社長のところへ出かけていって、「私のコーチングを受けてみませんか」とお誘いすることもあります。

そして、昔のように過度に緊張することはなくなりました。これは、子どもの頃の私からは、全く想像ができなかったことです。いったいなぜなのでしょうか。

コーチングを学ぶプロセスは、私の世界の見え方を大きく変えてくれました。

自分ではなく相手のことを考える

コーチングを学ぶ上で、常に拠り所となるのは、ICFのコーチのコア・コンピテンシーです。

「B.関係性をともに築く」の中の「3.合意の確立と維持」の部分には、「クライアントとパートナー関係を築いている」という言葉が多く出てきます。これまで、人との関係性において、常に自分自身に関心が向いていた私は、こんな自問自答ばかりをしていました。

「こんなことを言ったらどう思われるかな?」
「どう話したら、相手に認められるかな?」

けれども、クライアントとパートナー関係を築こう、目標へ向けて支援しようと思うと、全く問いが変わってきます。

「〇〇さんの本当にやりたいことは何だろうか?」
「〇〇さんを成功させるために私には何ができるだろうか?」

クライアントのことを考えることで、自分をよく見せることを考える暇がなくなっているのかもしれません。

「今ここ」に共にある

もう一つ、コーチングを学ぶプロセスで非常に衝撃を受けたのは、同じく「B.関係性をともに築く」の中の「5.今ここに在り続ける」のコンピテンシーです。

とにかくコミュニケーションが苦手だった私は、一生懸命に「今ここ」から逃れようと、別の場所で起こっている「もの・こと」について話そうとしていたのだと思います。けれども、初めて目の前のクライアントに対して、

「実は私、今とっても緊張しているんです。ほら、こんなに手に汗をかいちゃって」

と伝えてみたところから、少しずつ「今ここ」に共にいられるようになりました。

「今ここ」に在るというのは、ありのままの自分で、大きくも小さくも見せず、感じるままの主観をその場に持ち込む、そのようなイメージをもっています。これを実践することで、いろんな余計なものを手放して、軽やかになれるように思います。

コーチングを学ぶプロセスには終わりがありません。まだ見ぬクライアントと自身の可能性には、常にわくわくしています。


日本コーチ協会発行のメールマガジン『JCAコーチングニュース』より、許可を得て転載)


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