コーチング研究所によるさまざまな調査の結果や、データの分析結果をご紹介します。
読者アンケート調査(No.10) 上司の質問に関するアンケート調査
2016年08月30日
キーワード:会話の頻度,質問
1. 調査の主旨と概要
1.1. 調査の主旨
本調査結果レポートは「上司の質問に関するアンケート調査」をまとめたものです。本調査では、企業等で働く人を対象に、直属の上司との会話の頻度や質問の内容について調査しました。
1.2. アンケート調査概要
調査対象:コーチ・エィ発行メールマガジン「WEEKLY GLOBAL COACH」の読者
実施期間:2016年4月6日~4月26日
実施方法:メールマガジンに記載されたURLにアクセスして回答
調査言語:日本語
調査機関:株式会社コーチ・エィ、コーチング研究所LLP
1.3. アンケートの回答状況
回答数:384件 無効回答数:54件 有効回答数:330件
1.4. アンケート調査の質問内容
問1. 仕事におけるあなたの現状について、各設問別にあてはまるものをお選びください。(7段階評価)
1:全くあてはまらない 2:あてはまらない 3:ややあてはまらない 4:どちらともいえない 5:ややあてはまる 6:あてはまる 7:とてもよくあてはまる
問1-1私は、自分から積極的に目標をたてて挑戦している
問1-2私は、組織の課題を自分事として捉え、責任を持って取り組んでいる
問1-3私は、自分のアイデアを上司や同僚に積極的に提案している
問2. あなたは、直属の上司とどの程度、会話をする機会を持っていますか。選択肢の中から1つお選びください。
a:数か月に1回程度 b:月に1回程度 c:月に数回程度 d:週に1,2回程度 e:ほぼ毎日
問3. 直属の上司は、どの程度の頻度であなたに以下のような質問をしていますか。各設問別に、選択肢の中から近いものを1つお選びください。(5段階評価)
1:これまで1度も質問されたことはない 2:これまで1,2度は質問されたことがある 3:まれに質問される 4:ときどき質問される 5:日常的に質問される
問3-1どんな方針で進めるのか
問3-2何かサポートできることはあるか
問3-3(所属組織を)どんな組織にしていきたいか
問3-4会社の発展のために何ができると思うか
問3-5仕事を通じてあなたが実現したいことは何か
問4. あなたは、上司からどのような質問をされることが多いですか。また、その質問を受けてどんな気持ちになりますか。具体的にお書きください。(任意・自由回答)
2. 回答者の属性分布 ※注1
3. 質問別集計結果
問1. 仕事におけるあなたの現状について、各設問別にあてはまるものをお選びください。(7段階評価)
全ての設問で、ポジティブな回答(7段階評価で5以上)が約8割を占め、ネガティブな回答(7段階評価で3以下)は1割以下の結果となった。
問1-1は、ポジティブな回答が84%でネガティブな回答が7%。問1-2は、ポジティブな回答が89%でネガティブな回答は5%。問1-3では、ポジティブな回答が88%でネガティブな回答が4%となった。
問2. あなたは直属の上司とどの程度、会話をする機会をもっていますか。選択肢の中から1つお選びください。
回答者の77%が「d.週に1,2,回程度」「e.ほぼ毎日」を選択しており、およそ4人に3人が、上司と週に1,2回以上の頻度で会話している結果となった。
問3. 直属の上司は、どの程度の頻度であなたに以下のような質問をしていますか。(5段階評価)
各設問別に、選択肢の中から近いものを1つお選びください。
問3-1や問3-2の日常の計画・進捗を確認するような質問は、約半数が 「5.日常的に質問される」「4.時々質問される」と回答している。
問3-3のサポートに関する質問は、「5.日常的に質問される」「4.時々質問される」と回答した人があわせて26%となった。問3-1や3-2の質問と比較すると、部下に自分がサポートできるかを質問する人は少ない結果となっている。
また、問3-4,問3-5,問3-6は、未来に向けた質問であり、組織、会社、個人と対象が異なる。
「5.日常的に質問される」「4.時々質問される」と回答した人をあわせた割合は、それぞれ、問3-4(組織)は32%、問3-5(会社)は23%。問3-6(個人)は19%という結果となった。
問3-6の個人が仕事を通じて何を実現したいか、という質問は一番頻度が低く、「1.一度も質問されたことはない」と回答した人が42%にのぼった。
上司から質問をうける頻度は、役職が高いほど多いという結果となった。一般社員が質問を受ける頻度が一番少ない。
問4. あなたは、上司からどのような質問をされることが多いですか。また、その質問を受けてどんな気持ちになりますか?具体的にお書きください。
自由記述の回答結果を、上司の質問内容からA~Eの5つのカテゴリーに分類し整理した。各カテゴリーの具体的なコメントは下記の通りである。
A. 意識付けとなる質問
・「何か問題はあるか?」という質問を日常的に受けます。 「何も問題はありません」とは答えにくいため意識的に課題を探す習慣がつきました。
・「○○で考えているんだけど、どうだろう。」という質問が多いです。私の意見や考えを聞こうとしてくれているので、自分の存在意義を感じるし、意見を言えば必ずそれを反映しようとしてくれるので、もっと情報収集をしておかないとという気持ちになります。
・レポートにて営業、売上状況を報告しているが、言葉足らずのところで深い理解を上司がしたいときに質問をうける。 気持ちとしては、なるほど。見方をかえるとそういう視点になるのか という新しい気づきになり、鍛えられている気がする。
・経営者から人事や組織、戦略について「自分はこうしたいが、君はどう思う」という質問。 それに対して、会社を担う意識がわき、責任感が出る。
B. 業務進捗を確認する質問
・進めているプロジェクトに問題がないかどうかを質問されることが多いです。
・業務上の指示、連絡に関する質問がほぼすべて。
C. 個人・組織の状態を確認する質問
・「最近どう?」「何か困っていることある?」といった内容が多いです。 気にかけてもらえていることに少し心強く思います。
・「元気か? 」「職場全体の雰囲気はどう?」といった質問が多いが、私(私の仕事)のことを気に掛けてくれている、といった気持になる。
・「チーム員はどう思っている?」「チーム員はどんな感じて業務を進めているのか?」
・特に構成員の状況を尋ねられるときに、今後の組織編制などを絡めてやりとりでき、前向きなやり取りになるので組織運営がやりやすい。
D. 不満をおこす質問
・質問:「これ、なんでこうなっているの?」 /受取り方:なんであなたがこれを知らないの?
・報告をしても毎回フィードバックがないので、何のための報告なのかわからない。ただ、作業が増えるだけじゃないかと感じる。
・進捗管理的な質問を連発されると、信用されてないんだなと感じる。
E. 質問されることがない
・質問はありません。自分が声をかけやすい人にしか話しかけません。 信頼されているのか、放任なのか不安になります。
・年度計画を合意した後は全て任されているので、特に質問はない。
・質問はほとんどない。こちらから上司の意を汲み提案することが多い。逆に、上司からの方針やビジョンの説明は無く、結果や指示だけが下りてくる。
・会社や部門の方針に関する質問を日常的にされる事はまず無い。中期計画作成時等に限られる。何も質問がないことは全てを任されているともいえるが、なにも気にしていないともとれる。
上司の質問内容が、A.のような「意味付けとなる質問」の場合は、部下の中に意識付けがされ、質問が内在化されている様子がみられる。
また、全体的な傾向としては、「A.意味づけとなる質問」より、「B.業務進捗を確認する質問」や「C.個人・組織の状態を確認する質問」、「E.質問されることがない」のカテゴリーに分類される回答が多く見られた。
「D.不満をおこす質問」のように、質問された側が不満を持つようなケースもみられ、やみくもに質問をすればいいという訳ではないことが分かる。上司と部下の関係構築不足や、上司の質問の意図が伝わっていない場合に不満につながる可能性が考えられる。
※注1 小数点第一位を四捨五入して算出しているため、合計数値が100%にならない場合があります。
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