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日本と中国で異なる「会社の成長」を促すポイントとは

春節が明け、中国でも新しい年が本格的にスタートしました。日本から中国に赴任している駐在員の皆さまの中には、この間に日本へ帰り、英気を養って再び現場に戻られた方も多いのではないでしょうか。

中国のお正月では、「恭喜发财」(儲かりますように)や「事业顺利」(仕事がうまくいきますように)など、めでたい言葉をかけ合う風習がありますが、経営者にとってそれは単なるかけ声ではなく、現実的なテーマにほかなりません。中国事業を拡大・成長させることは、現地法人の経営を任されている多くの駐在員に共通するミッションです。しかしながら、その実際の担い手である現地社員が経営者と同じ目線になるのは、なかなか難しいものです。どうすれば経営者と現地社員は、同じ目線に立つことができるのでしょうか。

国を問わず「社員の意識」に大きく影響する要素のひとつにその上司の行動があります。それでは、社員の「会社を成長させたい」という意識は、上司のどのような行動に影響されて高まるのでしょうか。「会社を成長させたい」という意識が高い中国人社員(A群)とそうではない社員(B群)で、それぞれ上司の行動がどのように違うのかを分析しました。

上司の行動に関する53項目のうち、2つの群の間で差が大きかった行動の上位5項目は図1の通りでした。こうした行動をとる上司のもとで、現地社員は「会社を成長させたい」という意識を高めると考えられます。

図1.「会社を成長させたい」という社員の意識と関係の強い上司の行動 上位5項目
-中国人社員の回答よりー
上司の行動 平均値(※) 差分
p<.05)
A B
私をやる気にさせる提案や要望をしている 5.91 4.66 1.25
私に気付かせたり、自発的に考えさせる質問をしている 5.98 4.78 1.20
会社のビジョン、方向性について話している 5.85 4.69 1.16
私が目標達成するよう、定期的に関わっている 5.70 4.54 1.16
私のために話す時間をとっている 5.88 4.76 1.11

A群:「私はこの会社を成長させたい」への回答が6以上の中国人社員(n=458)
B群:「私はこの会社を成長させたい」への回答が5以下の中国人社員(n=68)
※ 小数点第三位を四捨五入
7段階評価(1.全くあてはまらない-7.とてもよくあてはまる)
コーチング研究所 2017年

3番目に「会社のビジョン、方向性について話している」があります。「会社のビジョンや方向性」への理解を深めることが「会社の成長」を意識することにつながる、というのは分かる話です。

興味深いのは、上位5項目中4項目を、部下に対する直接的な関わりが占めたという点です。特に「個人の成長」を促す関わりが多くなっています。「やる気にさせる提案や要望をする」、「自発的に考えさせる質問をする」など、上司が「部下の成長」に向けて直接関わると、部下は「会社の成長」への意識を高める、ということになります。

それは、自分の成長を気にかけてくれる「親身な」上司につくと、会社を「家族」のような存在に感じるからなのでしょうか。あるいは会社を「自分の成長の場」として見るようになると、その「場自体の成長」も願うようになるからなのでしょうか。答えはありませんが、いずれにしても上司が部下個人の成長に目を向けていない状態では、経営者が声高に「会社の成長」を唱えても社員には届かない、ということは言えそうです。

一方、日本人社員の場合はどうなのでしょうか。日本で働く日本人社員の結果を使って、同じように「会社を成長させたい」という意識の高い社員(A群)とそうではない社員(B群)で差が大きい上司の行動を見てみます(図2)。

図2.「会社を成長させたい」という社員の意識と関係の強い上司の行動 上位5項目
-日本人社員の回答よりー
上司の行動 平均値(※) 差分
p<.05)
A B
自らが管轄する組織のビジョンを魅力的に語っている 5.10 4.33 0.77
会社のビジョン、方向性について話している 5.31 4.57 0.73
自分の組織だけでなく、会社全体を考えて行動している 5.86 5.14 0.72
私をやる気にさせる提案や要望をしている 5.03 4.34 0.69
組織の戦略を明確に示している 5.41 4.74 0.67

A群:「私はこの会社を成長させたい」への回答が6以上の日本人社員(n=7,080)
B群:「私はこの会社を成長させたい」への回答が5以下の日本人社員(n=1,910)
※ 小数点第三位を四捨五入
7段階評価(1.全くあてはまらない-7.とてもよくあてはまる)
コーチング研究所 2017年

中国人社員と同じように「私をやる気にさせる提案や要望」があります。「個人の成長」に関わることは日本でも大事な要素と言えます。しかし「個人」に関する項目はひとつだけで、残り4項目は「会社」「組織」に関するものでした。「会社の成長」に対する意識を社員に高めてもらうために、中国では「個人の成長」に向けて関わることが重要なのに対し、日本では「組織のビジョン」を共有するなど、進むべき方向性やそのための戦略を示すことがより重要ということになります。

このことは、中国に赴任している日本人総経理にとって示唆のある結果なのではないでしょうか。つまり、日本流に組織が目指すところを示すだけでは中国人の社員は付いてきてくれない、ということです。同時に、「社員一人ひとりの成長」に向けて上司がしっかりと関わることが「会社の成長」には欠かせないのです。

調査概要

調査対象:中国人社員526人、日本人社員8,990人
調査期間:2012年12月~2016年6月
調査方法:ウェブアンケートへの回答
調査内容:Leadership Assessment


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