Global Coaching Watch では、海外コーチのブログ記事の翻訳を中心に、世界のコーチング業界のトレンドやトピックスをお届けします。
ICF調査レポート:未来に向けて強いコーチング文化を築くには エグゼクティブ・サマリー
2020年05月12日
国際コーチング連盟(ICF: International Coaching Federation)が2019年11月に発表した最新調査レポート『Building Strong Coaching Cultures for the Future(未来に向けて強いコーチング文化を築くには) 』のエグゼクティブ・サマリーをご紹介します。
エグゼクティブ・サマリー
ヒューマン・キャピタル・インスティテュート(HCI)と国際コーチング連盟(ICF)は、組織の中のコーチング文化について、6年間連続して共同研究してきた。
2014年より、HCIとICFの共同研究では、強力なコーチング文化が何によってつくられるのか、その基準を精査し、また、さまざまなテーマについて探究してきた。そのテーマとは、コーチングに対するエンゲージメントや従業員エンゲージメント、コーチングスキルを使ったマネージャーやリーダーを対象にしたトレーニングやプロフェッショナル開発、ミレニアル世代や初めてリーダーになる人を対象としたコーチングやリーダーシップ開発、また、コーチングとチャンジ・マネジメントといったものが含まれる。
本年度の研究は、前回の研究を更新するものとして、強力なコーチング文化の構築に関連した活動に重点を置いて設計されている。その活動とはすなわち、プログラムの設計と実施、コーチングスキルを活用した社内コーチやマネージャー・リーダーのためのプロフェッショナル開発やコーチングの成果の評価などの本研究の参加者は合計366名で、その中には人事(HR)、学習・開発(L&D)、タレントマネジメント(TM)の専門家が含まれていた。
主な調査結果は以下の通りである。
コーチングを利用しているマネージャーやリーダーのコーチングを使う機会はより広がっている
32%の組織では、社内コーチや外部コーチまたは、コーチングスキルを使用するマネージャー/リーダーを平行して活用している。5つの組織の内4つ以上(83%)の組織が、コーチングスキルを使えるマネージャー/リーダーの職務範囲を今後5年間のうちに拡張する計画を立てている。
ほとんどの組織は、従業員の開発とパフォーマンス・マネジメントのために、コーチングをとりいれるようになっている
コーチングを組織の目標と戦略のためどのように活用しているかの問いに対して、上位3つの目的は、リーダーシップ開発(55%)、人材開発(51%)、そしてパフォーマンス・マネジメントのための会話の機会(49%)であった。
コーチを選ぶ際には、信頼と信用が重要な要素となる
組織がプロのコーチを選ぶ際には、主に信頼できる個人もしくは、コンサルティング会社からの紹介を利用している。コーチングの経験やコーチングの資格・認定が外部コーチにとって最も重要な証明である。
コーチングは、多くの組織の予算の中で目に見える活動である
全体では、4社 につき1社(25%)において、研修予算の中にコーチングのための専用予算を持っている。この調査に参加した組織は、全体の研修用予算の21%をコーチングの取り組みのための予算として配分している。
コーチングスキルの開発は、継続的なプロセスである
コーチング文化が強い組織では、より多くのリソースが、コーチやコーチングスキルを使っているマネージャー/リーダーへ提供されている傾向がある。
(例:継続的なコーチングのモニタリング、コーチングリソース、テンプレート)。
そして、その社内コーチとコーチングスキルを使っているリーダーやマネージャーには、よりコーチングに特化した研修時間が与えられている。ほとんどの回答者は、自社の組織にとって、コーチングのための技術とトレーニングリソースを増やしていくことが有益であると答えている。
コーチングの効果を評価できるか否かは、組織にとっては現在進行形の課題である
回答者の多くは、自分の組織ではコーチングの評価方法やツールは導入できていないと答えている。 コーチングの効果を測定できていないことは、強いコーチング文化を構築するのにあたり、大きな障害の一つと考えられている。 しかしながら、この研究結果は、強力なコーチング文化は、高い生産性を上げている組織のいくつかの指標と相関関係にあることを示している。その指標とは、雇用者の魅力、ハイパフォーマーの確保、豊富なシニアリーダー層といったものである。
【著者】Jenna Filipkowski, PhD, Abby Heverin, Mark Ruth
【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Building Strong Coaching Cultures for the Future
本記事の著作権は、本記事提供者(原著作者)に帰属します。当社は、International Coach Federation(ICF)の許可を得て翻訳し、ICFを通じて原著作者より翻訳および当サイトへの掲載につき許諾を得ています。本記事(翻訳であるかないかにかかわらず)の複製、改変、転写、転載、改ざん、二次利用、部分利用等を無断で行うことは著作権法に違反する場合がありますので、必ず原著作者に問い合わせの上、適切に許諾を取得してください。
この記事を周りの方へシェアしませんか?
※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。転載、その他の利用のご希望がある場合は、編集部までお問い合わせください。