Global Coaching Watch

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タイムマネジメントをやめるべき理由

【原文】Why You Should Quit Trying to Manage Time
タイムマネジメントをやめるべき理由
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時間をコントロールすることはできない

今抱えているプロジェクトが終われば、息抜きをしたり、自分自身が目標とすることに集中したりする時間が増えると思い込んでいないだろうか。私はいつも「今取り組んでいるプロジェクトを終わらせれば時間ができる」と自分自身に言い続けてきたが、何年も前からその思い込みは幻想だと気がついている。たとえやるべきことが減って少しすき間時間ができ、その時間は自分のコントロール下にあると思っても、新たに別の仕事や依頼が入り込んできて、また「もっと時間が欲しい」というジレンマに戻ってしまうことはないだろうか?

時間をコントロールすることは不可能だし、時間を管理することは無益な目標だ。時間をコントロールするための果てしない闘いは、焦る気持ちが増大し、自分が成し遂げられることがあっても十分でないのではないかと不安にさせる。むしろストレスが増し、日常の喜びが奪われていく。

チェックリストやスケジュール表を使って時間を管理すれば、やるべきことを思い出すのには役立つが、早くやろうとするあまり焦りを感じ、仕事の質に悪影響を及ぼすことも多々ある。また、計画通りにリストをこなせないと、自分は無力だと考えがちだ。

さらには時間に対する自分自身のコントロール感覚の喪失につながるかもしれない。今後も大量のeメールが突然来なくなるとか、ToDoリストが管理しやすく感じられる日はおそらく一日もないだろうし、また忙しさのあまり誰かの期待に応えられなかったり、約束したことを忘れたりしても相手を怒らせなくて済む日はなくならないだろう。

組織で仕事をしている、もしくは個人で事業を続けている人にとって、「ワークライフバランス」や持続的なタスクバランスなどというものはなかなか実現が難しい。取り組むべき最善策は、多忙な日々の中で自分自身の感情のバランスを見出すことだ。

人生は自分が意識を向けていることの集約

『限りある時間の使い方』の著者、オリバー・バークマンは以下のように語る。「私たちの注意を散漫にさせる原因は、壮大な計画の中で重要なことに注意を向けることの難しさにある。目先の、一見緊急に見えるけれど究極的には取るに足らないことに注意を向けることによって、一時的にこの難しさから逃れているのである。臨終の床で、生涯を通して返信したeメールの数に歓喜する人がいるだろうか?

生きるということは、あなたが意識を向けるすべてのことの集約以外の何ものでもない。人生の終わりに振り返ってみた時、過去の瞬間瞬間に注意を向けざるを得なかったもの全てが、まさにあなたの人生になったということになる」

時間をコントロールしようとすることをやめる方法

  1. 時間を管理しようとする代わりに、感情をコントロールすることはできるだろうか?何が自分に目的意識と充実感を与えてくれるかを知り、自分の仕事と目的を一致させることを今日から始めれば、時間をどう使うかを選択するための北極星を手に入れることができる。そして、一日を通して自分がどう感じているかをチェックして、代わりに何を感じたいかを選択できるようにする。もしくは仕事に戻る前にストレスを安定させるために散歩に出かけるのもよい。
  2. 自分を守ろうとする脳があなたを無力化させている状態から抜け出す手助けをしてくれる人やコーチと対話してみよう。コーチは、あなたが頑張りすぎている原因でもある今まで遠ざけてきた恐れや、次に何をすべきかわからないままで暗闇に閉じ込められている盲点を見つけるのを助けてくれる(もし自分自身のコーチングスキルを上達させたい場合は、私の新しいオンラインのブレイクスルーコーチングトレーニングプログラムをチェックして欲しい)。
  3. 消耗するのではなく充実した日々を過ごすというビジョンに近づくために、毎年、本当にやりたいこととそうでないことを選択しよう。そして、心身の健康を保ちながら、あなたを笑顔にさせる人々とのつながりを大切にし、できるだけ頻繁に大地を感じるようにしよう。以下のリンクの質問に回答して、現在の自身の状況を把握し、今後の人生においてどこに焦点を当てていくべきかの計画を立てよう。

もしもあなたに生きる時間が1時間しか残されていないとしたら

この記事を書くきっかけとなった、思考を刺激するブログ「The Marginalian」の著者であるマリア・ポポワ女史は、マインドフルネスの先生の以下の問いを引用している(※)。
「もしもあなたに1年しか生きる時間がないとしたら、どのように過ごしますか?そして、1日しかないとしたら、どうしますか?たった1時間しかないとしたら、あなたは何をしますか?」

では、あなたにとって最も大切なものを明確にしてみよう。目的と喜びに満ちた人生というビジョンを、日々の指針としよう。毎時間ごとに一息ついて、自分が今行っていることが目的にかなっているか、充実感を感じるものであるかを確認しよう。

確かに、生きていくために十分なお金を稼がなければならないが、あなたの仕事は自身の今の価値観に合致しているものでなけれがならないし、自分自身でコントロールできているという感覚を与えてくれるより充実した未来への道筋を描けるものでなければならない。

このように時間についての真実に向き合うことができれば、生産性と充実感の高みに達することができる。時間は決して十分にあるともいえないし、十分にあるともいえるのだ。


※ このブログのメインのアイディアは、以下の記事の要約からとっている。 「Escaping the Trap of Efficiency: The Counterintuitive Antidote to the Time-Anxiety That Haunts and Hampers Our Search for Meaning」 by Maria Popova


【筆者について】
マーシャ・レイノルズ博士(Dr. Marcia Reynolds)は、コーチングを通して世界各地の企業の幹部育成をサポートし、実績を上げている。クライアントは、多国籍企業、非営利団体、政府機関のエグゼクティブや将来の幹部候補生である。また、世界各地で開催されているコーチングやリーダーシップに関するカンファレンスで講演し、43カ国でリーダー向けの講座を担当し、コーチングを行っている。調査機関グローバル・グルス(Global Gurus)で世界5位のコーチに選ばれ、さらに国際コーチング連盟が選出している10名のThe Circle of Distinctionの一人でもある。
医療分野でのコーチング経験も豊富で、ヘルスケア・コーチング・インスティテュートのトレーニングディレクターを務め、総合病院、クリニック、大手製薬会社などで25年にわたり数多くのリーダーにコーチングを提供している。
また、彼女は国際コーチング連盟(ICF)の 歴代5番目のグローバル・チェアマンであり、世界で最初のICFマスター認定コーチ (MCC) になった25人のうちの1人である。組織心理学の博士号、および、教育とコミュニケーション分野における修士号を取得している。
著書に、"Coach The Person, Not the Problem"(邦訳:『変革的コーチング』), "Outsmart Your Brain", "The Discomfort Zone: How Leaders Turn Difficult Conversations into Breakthroughs"などがある。

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Why You Should Quit Trying to Manage Time(レイノルズ博士のウェブサイトCONVISIONINGに掲載された、2022年8月28日の記事を許可を得て翻訳。)


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