マネジメントに使えるコーチング

マネジメントに変化を起こしたいなら、スキルを学ぶよりまずは部下と話す時間をつくること。毎回じっくりと話す必要はなく、日常の必要な場面で短く話すことのつみ重ねが、やがて部下やあなたのマネジメントに変化をもたらします。その最初のステップや「1on1ミーティング」にも活用できるヒントがここに!


3分間コーチの2つの時間(6) 部下の「わかったつもり」& すでにある〈問い〉をクローズアップする

3分間コーチの2つの時間(6) 部下の「わかったつもり」& すでにある〈問い〉をクローズアップする
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マネジメントにコーチングを取り入れようと思ったら、スキルを学ぶより何より、まずは部下と話す時間をつくること。たった3分でも充分です。3分間の積み重ねは、きっとあなたのマネジメントに大きな違いをもたらします。

3分間コーチは、〈 2つの時間 〉をとることを最優先させた、極めてシンプルなマネジメント手法です。

2つの時間

部下について考える時間をつくる。
部下を的を絞った短い会話をするための時間をとる。

今回紹介するのは、こちらの2つです。

部下について考える時間

部下の「わかったつもり」

そもそも〈問い〉には、人を「わかったつもり」から、行動へと移行させる力があります。問われれば、どうしても「わかったつもりでいたのに、まだわかっていないことがあった」ということに気がつかないわけにはいかないからです。

「わかったつもり」とは「安定」した状態です。いわば、現状にあぐらをかいた状態ですから、当然、行動は起こりにくくなります。「わかったつもり」になっている人たちは、「そんなことはもうわかっている」「だから、言っただろう」「だって、こうなんですから」と決まり文句を言います。彼らの行動は遅く、パターン化していて、ときに、強面の上司ですら、このわかったつもりの部下を動かすのはむずかしいのです。

けれども、恒常的に「問われ」続けていると、これはもう「わかったつもり・安定」から「わからない・不安定」へとシフトしないわけにはいかなくなります。すると、どうなるか? 行動が起こるのです。

人は不安定になると、安定するために行動を起こすものです。そして、そのときは、新しい仕事のアサイン、新しい役割を任命するなどのよいタイミングともなります。

あなたの部下、「わかったつもり(安定)」と「わからない(不安定)」のどちらが強いでしょうか。

 

部下と的を絞った短い会話をするための時間

すでにある〈問い〉をクローズアップする

組織はいくつもの〈問いを共有〉しています。

「顧客は我々のサービスに満足しているだろうか」

「社員は仕事の何に満足しているだろうか」

「会社の未来とは」

もっと身近な問いもあるでしょう。

「次のイベントのテーマは何にしようか」
「このクレームから何が学べるか」
「もっとよいネーミングはないか」

こうした、今、社内で起こっているさまざまな問題、あるいは大小さまざまなプロジェクトそのものが〈問いかけ〉となり、〈3分間コーチ〉にとってのいいテーマとなります。わざわざ特別な〈問いかけ〉を考える必要はなく、すでに問われていることをクローズアップするだけです。特に未来に向けて共有したい〈問い〉をクローズアップするのです。

答えを強要してはいけません。一人ひとりが自由に考えることに意味があります。〈問いの共有〉を消滅させるのは簡単。たった一つの正しい答えを強要することです。

コーチングのベースには、〈問いの共有〉があります。そして、それは無理につくり出すものではなくて、すでにそこにあるものです。あとはそれに気づくだけです。それに気がつけば、いつでもそれについて声をかけ、その「共有されている問い」について話し始めることができます。

(『3分間コーチ ひとりでも部下がいる人のための世界一シンプルなマネジメント術』より抜粋編集)

3分間コーチ
ひとりでも部下がいる人のための世界一シンプルなマネジメント術

著者:伊藤 守
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン


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