マネジメントに使えるコーチング

マネジメントに変化を起こしたいなら、スキルを学ぶよりまずは部下と話す時間をつくること。毎回じっくりと話す必要はなく、日常の必要な場面で短く話すことのつみ重ねが、やがて部下やあなたのマネジメントに変化をもたらします。その最初のステップや「1on1ミーティング」にも活用できるヒントがここに!


3分間コーチの2つの時間(7) 人間に対する知識 & リソースの最大化

3分間コーチの2つの時間(7) 人間に対する知識 & リソースの最大化
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マネジメントにコーチングを取り入れようと思ったら、スキルを学ぶより何より、まずは部下と話す時間をつくること。たった3分でも充分です。3分間の積み重ねは、きっとあなたのマネジメントに大きな違いをもたらします。

3分間コーチは、〈 2つの時間 〉をとることを最優先させた、極めてシンプルなマネジメント手法です。

2つの時間

部下について考える時間をつくる。
部下を的を絞った短い会話をするための時間をとる。

今回紹介するのは、こちらの2つです。

部下について考える

人間に対する知識

アイディアや計画の段階で、それを行う一人ひとりの社員の適性や志向性、感情や欲求がどう働くかについて論じられることはあまりありませんが、実際には、社員一人ひとりには、それぞれ得意不得意があります。さらに、社員は生身の人間ですから、それぞれの持つ感情や欲求が仕事に大きく影響します。全員に同じ行動を、ロボットのようにつねにむらなく求めることには、もともと無理があります。

これらのことは当然わかっているはずです。ところが、計画の段階では、それは排除されてしまうのです。

けれども、もし、ほんとうに事業計画どおりに業務を遂行しようとするのなら、業務に関する知識以上に、人間に関する知識が必要です。

人間はどうしたら、アイディアや計画を実行に移せるのか?

社員が、自発的に、喜んで、情熱を傾けて、仕事に取り組んでいくようになるために、何ができるのか?

これらについての知恵が求められているのだと思います。それも、人間一般、社員一般、部下一般ではなく、目の前の自分の一人ひとりの部下についての知識と知恵が求められているのだと思います。

部下と的を絞った短い会話をするための時間

リソースの最大化

マネージャーの役割、そして、コーチングの目的は、直接的には、部下の目標達成にありますが、それだけではありません。そのことを通じて、部下その人の能力を引き出すことにあります。つまり、彼自身のリソースを最大化させることです。

リソースとは、その人の持つ知識、スキル、ツール、経験、ネットワーク、および、それらのリソースにアクセスできる能力、スキルをいち早く身につけるスキルなどです。つまり、「その人そのもの」であるとも言えます。

自分のリソースにアクセスし、それを表現できるようになることで、人は有能になります。人はそれぞれの〈場〉において自分の役割を果たし、仕事やプロジェクトで、より高く、より速く、パフォーマンスを発揮することによって、より有能になっていきます。

ところが多くの場合、わたしたちは自分が持っているリソースの存在自体を把握していません。また、自分のリソースに気づいていても、新しい状況で、それを活用する方法がわからないでいる場合も少なくありません。

かくして、リソースの棚卸し、強みの発見、チームメンバーの組み合わせの考慮、リソースを発揮する環境の選択などは、〈3分間コーチ〉にとってのテーマとなります。

(『3分間コーチ ひとりでも部下がいる人のための世界一シンプルなマネジメント術』より抜粋編集)

3分間コーチ
ひとりでも部下がいる人のための世界一シンプルなマネジメント術

著者:伊藤 守
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン


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