マネジメントに変化を起こしたいなら、スキルを学ぶよりまずは部下と話す時間をつくること。毎回じっくりと話す必要はなく、日常の必要な場面で短く話すことのつみ重ねが、やがて部下やあなたのマネジメントに変化をもたらします。その最初のステップや「1on1ミーティング」にも活用できるヒントがここに!
事例で学ぶ3分間コーチ(13) 問いを共有する
2019年09月12日
マネジメントにコーチングを取り入れようと思ったら、スキルを学ぶより何より、まずは部下と話す時間をつくること。たった3分でも充分です。3分間の積み重ねは、きっとあなたのマネジメントに大きな違いをもたらします。
「問う」のではない。問いを共有する
ホテルのスタッフに向けたサービスに関する研修で、そのホテルのゼネラルマネジャーは、そこに集まった100人近いスタッフに向けて問いかけました。
「きみはどんなサービスをしてみたい?」
みんな、しばらく考え込んでいましたが、少しずつ発言が始まりました。
一人が話すと、それにつられて、ドアボーイもコンシェルジュも自分のアイデアを言い出しました。
そこで、ゼネラルマネジャーはまた聞きました。
「きみはどんなサービスをしてみたい?」
たくさんのアイデアが出ました。
そのほとんどは、素人目にも使えないものでしたが、それでも彼は同じ問いかけを続けました。最初から最後まで、同じ1つの質問を繰り返しました。
「どんなサービスをしてみたいですか?」
やがて、2時間が過ぎ、研修は終了しました。彼はスタッフに向かって言いました。
「今日はすばらしい研修でした。みなさん、たくさんの意見をありがとう。
引き続き考えてください。どんなサービスをしてみたいか?
思いついたらいつでも教えてください。今日はこれで終わります」
一人のスタッフが、彼に尋ねました。
「まだ、サービスについて何も教えていないし、何も決まっていませんよ」
「これでいいんです」
「どこが、ですか?」
「彼らは、どんなサービスをしたいか、それについて考えるようになった。それに、その問いかけをスタッフ全員で共有しました」
「はあ」
「教えられて、マニュアルどおりにやっているのでは、サービスにはなりません。お客さまは、サービスしたいというスタッフの心意気に感動するんです」
「そういう狙いがあったことには気づきませんでした」
「それに、問いは共有されたので、スタッフは、これからお互いに話すようになるでしょう。どんなサービスをしてみたいか、それから、サービスとは何かについて」
(『3分間コーチ ひとりでも部下がいる人のための世界一シンプルなマネジメント術』より抜粋編集)
※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。転載、その他の利用のご希望がある場合は、編集部までお問い合わせください。