マネジメントに変化を起こしたいなら、スキルを学ぶよりまずは部下と話す時間をつくること。毎回じっくりと話す必要はなく、日常の必要な場面で短く話すことのつみ重ねが、やがて部下やあなたのマネジメントに変化をもたらします。その最初のステップや「1on1ミーティング」にも活用できるヒントがここに!
事例で学ぶ 1on1(1) 8人の部下には、8通りのマネジメント
2020年01月07日
コミュニケーションの基本は「1対1」で向き合うところにあります。「1対1」が変わればチームが変わり、やがて組織にも変化をもたらします。そのためのヒントを「人を育て、活かす関わりに長けたリーダーたち」の事例に学びます。
事例1:8人の部下には、8通りのマネジメント
事務機の販売会社で、500人の部下を持つAさんは、現在47歳。
彼がいく営業所がどこでも売り上げを大きく伸ばし、彼は、同期で最も早く支社長に昇進しました。
彼はこう言います。
「三半期(半期が3回)あればかならず売り上げを上げることができますよ」
最初の半期は、全員の部下と1時間の面談を2回します。今は500人の部下がいますが、その全員と、ということです。
最初の面談は仕事の話はいっさいしません。
「ひたすら相手を知るため、自分を知ってもらうために雑談。会話ですね。相手はぺらぺら話したくなるような話題を見つけて、とりとめなく話します。プロレスの話、車の話、パチンコの話。で、自分がなにを好きかということも、感情をまじえてたくさん話す。コミュニケーションには人がついてきます。単に言葉だけでなく、自分も人であり、相手も人であることをおたがいに認識するための時間を作ります」
次の面談はいよいよ仕事の話。
ビジョンを伝え、ビジョンを引き出します。
そのときにかならず聞く質問があるのだそうです。
「たとえば、あとコピー機を期末に、苦しいけれど、もう1台!と思うときに、なにが動機づけになるの?」
これは人によってさまざまです。
ある人は、お金。
ある人は、直属の上司からのほめ言葉。
ある人は一緒にやっているメンバーからの賞賛。
500人全員の動機づけのポイントをデータベースとして残し、それに基づいて対応するそうです。
たとえば、上司からほめられたいと言った人には、商談が決まったときなどに、どこにいてもかならず電話して、
「よくやったな〜!」
まわりからほめられたい、という人には、自分で直接言葉をかけず、その部の人間に「盛り上げてくれ」とこっそりお願いをする。
2回目の半期には投網をかける
2回目の半期には、このデータを基に、投網をかけます。たとえば、60%の人がお金と答えたとすると、全体に対して、「今期、目標行ったらインセンティブ(報奨金)出すぞ!」
そして、残りの40%は個別に対応をする。
自分の下のマネージャーにも口をすっぱくして行っているそうです。
「8人の部下がいたら8通りのマネジメントがある。同じ対応をするな」
業績が上がるのは偶然ではありません。そこには、部下と1対1のコミュニケーション、そしてそれを創り出す存在があるのです。
(『「小さなチームは組織を変える―ネイティブ・コーチ10の法則」』伊藤守著より抜粋編集)
部下それぞれの「動機」を理解していますか?
まだ...という方は、1on1ミーティグで部下一人ひとりと話してみましょう。
すでに理解している、という方は、それを関わり方にどのくらい活かせているかを振り返り、さらに工夫できることはないか考えてみましょう。
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