マネジメントに変化を起こしたいなら、スキルを学ぶよりまずは部下と話す時間をつくること。毎回じっくりと話す必要はなく、日常の必要な場面で短く話すことのつみ重ねが、やがて部下やあなたのマネジメントに変化をもたらします。その最初のステップや「1on1ミーティング」にも活用できるヒントがここに!
事例で学ぶ 1on1(7) ヒューマンモーメント=人間らしい関わりとは?(2)
2020年03月17日
大手の進学塾の女性スタッフは、上司であるマネージャーについてこう話してくれました。
「彼は、先生やスタッフに頻繁に電話をします。とくに何か用事があるわけではなく、『おう、元気か? とくに用事はないんだ』といった他愛もない内容を繰り返すだけです。
でも、本当に疲れているときや仕事を抱えているときは、部下が『元気です! 大丈夫です!』と言っても、その日のうちに必ず教室にやってきて、『ちょっと近くまで来たから』と部下を訪ねます。電話を通しての声だけでもなにかを感じ取り、気づかってくれるのです。」
「とても忙しい役職だったにもかかわらず、口ぐせのように、『俺は暇だ。遊んでいるんだ』と言っていました。実際にそんな風にも見えました。ですから、ちょっと相談したいときなどにも遠慮せずに、電話をしたり、会ってほしいとリクエストすることができました。でも、マネージャーから送られてくるメールを見るといつも遅い時間なんです」
「このマネージャーは、部下ひとりひとりのキャリアデザインを、勝手に細かく何バージョンも考え、それを持ってきては『お前自身はどうなんだ?』といつも聞いてくれました。自分では力になれない場合は、他のマネージャー、チームリーダーなど適当な相談者をピックアップしてくれて『自分で相談しろ』というのですが、かならず裏でその人に、『もし相談にきたら、よろしく頼む』と言ってくれていたようです。」
●関わりを通して、必要な関わりを見つける
相手のことを考え、観察する。日頃から頻繁にその機会を持つことで、必要な関わりがみえ、タイムリーに関わりを持つことができます。それを積み重ねることで、さらにはリスクマネジメントや事前対策など、1歩先ゆく関わりも持てるようになります。
そしてそれ以上に、関わりを「継続している」こと自体が「ヒューマン・モーメント」となり、部下への大きな勇気づけになるのです。
(『「小さなチームは組織を変える―ネイティブ・コーチ10の法則」』伊藤守著より抜粋編集)
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