マネジメントに使えるコーチング

マネジメントに変化を起こしたいなら、スキルを学ぶよりまずは部下と話す時間をつくること。毎回じっくりと話す必要はなく、日常の必要な場面で短く話すことのつみ重ねが、やがて部下やあなたのマネジメントに変化をもたらします。その最初のステップや「1on1ミーティング」にも活用できるヒントがここに!


事例で学ぶ 1on1(10) あるマネージャーが部下を知るために「やめたこと」

事例で学ぶ 1on1(10) あるマネージャーが部下を知るために「やめたこと」
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「私の仕事は職場を鳥瞰することだ」

これはあるガソリンスタンドの店長の言葉です。

彼は本当によく職場を動きまわり、単に見ているだけではなく、自分から部下に声をかけ、その反応を通して彼らの状態を把握しています。

また、2年連続で売り上げを伸ばしている、女性販売員を統括するあるマネージャーは、あるときから営業時間中にパソコンを使うのをやめました。理由をたずねると「私の仕事は、部下を観察して、タイムリーにコーチすることだから」と言いました。

「パソコンを見ていると、人が見えなくなるんですよ、それがいちばんのリスクだと思います」

彼らは部下について「あまりよく知らない」という立場に立っています。知らないのだから、よく見て、適切な対応をする必要があると考えています。彼らのような上司の中には、メモ帳に、部下ひとりひとりの特徴を記録している人もいます。

人はそれぞれ違います。誰とでも同じようにコミュニケーションを交わしてしまうことには、もともと無理があります。彼らはひとりひとりと、個別のコミュニケーションを創り出すことにコミットして関わっています。

「強みを引き出し、得意なことをやらせる」

これはどんなマネージャーでも言うセリフです。

しかし、部下の強みを活かすことにコミットしているマネージャーは、それを徹底しています。

彼らは、自分が観察して得た情報だけでは十分でないことを知っています。ですから、本人に、どんな強みがあるか、どんな長所があるのかを聞いています。また、部下の強みが会社や自分の前で全部発揮されるわけではないことを知っています。だから、仕事以外でもどんな強みを持っているかを、直接本人に聞く機会を持っています。そして、部下は上司に自分の強みや長所を知ってもらっていると安心します。

(『「小さなチームは組織を変える―ネイティブ・コーチ10の法則」』伊藤守著より抜粋編集)

■ TIPS for 「1on1ミーティング」

●パソコンを閉じ、手を止めて、部下を「見る」時間を持ちましょう

1日のうちに数回、意識的に部下を「見る」時間をまずは持ちましょう。そして、その時間を徐々に増やしていきましょう。

漠然と、ではなかなか実行できません。いつするのか、もしくはどのタイミングでするのか、1日の予定に組み込むか、習慣化するといいでしょう。


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