マネジメントに変化を起こしたいなら、スキルを学ぶよりまずは部下と話す時間をつくること。毎回じっくりと話す必要はなく、日常の必要な場面で短く話すことのつみ重ねが、やがて部下やあなたのマネジメントに変化をもたらします。その最初のステップや「1on1ミーティング」にも活用できるヒントがここに!
事例で学ぶ 1on1(14) 名前を覚え、ビジョンを知る
2020年06月04日
300人を部下に持つレンタルビデオショップの店長は、部下全員の名前を知っています。その店はごくわずかな正社員と、あとはほとんど学生のアルバイトで占められています。それでも彼は全員の名前を知っていて、一人ひとりを名前で呼びます。
それだけではありません。その学生一人ひとりの将来のビジョンも聞いています。卒業してどんな仕事をしてみたいか、なにになりたいのかについて。
もちろんうまく話せないアルバイトもいるのですが、自分の夢を聞かれることで、関係は密になるといいます。また彼らの将来に対するビジョンを聞くことで、仕事を振るときも、それを考慮して振るそうです。
彼は売り場をまわりながら、
「風邪治った?」
「最近の仕事の自慢はなに?」
と聞いてまわります。
アルバイトの仕事が終わって帰るときに5分ほどの終礼を持ちます。そこで彼は、
「今日した活躍はなに?」
「お客さんに喜んでもらえたことはなに?」
「喜んでもらえるアイディアある?」
などと問いかけ、彼らからさまざまなアイディアを引き出します。そして、そこで出てきたアイディアをすぐに取り入れるのです。
たとえば、「リサイクル売場」と命名していたフロアについて、アルバイトさんから、「中古売場」のほうがわかりやすいのではないか、という意見が出たのだそうです。そこですぐに、そのアルバイトさんをキーパーソンにして、店頭調査を行うことを決め、次の日には、300名の人に店頭アンケートを実施したのです。アルバイトは、自分の意見が取り入れてもらえること、自分の力が発揮できることをとても喜びます。
その結果、アルバイトの定着率はよく、正社員と変わらない働きをしてくれるそうです。この話をしている間、彼はずっと「アルバイトさん」と言いました。部下について深く知っているだけではなく、人に対するリスペクト(敬意)を忘れていないのです。
(『「小さなチームは組織を変える―ネイティブ・コーチ10の法則」』伊藤守著より抜粋編集)
●リスペクト(敬意)を示す
あなたはふだん、部下やチームメンバーにどのように敬意を示していますか?
ぜひその機会やバリエーションを増やしてみましょう。また、あなた自身はどんなとき、敬意をもって関わっていると思いますか?
そう思えたのは相手のどんな態度・行動でしたか?そのあたりも参考にしてみましょう。
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