マネジメントに変化を起こしたいなら、スキルを学ぶよりまずは部下と話す時間をつくること。毎回じっくりと話す必要はなく、日常の必要な場面で短く話すことのつみ重ねが、やがて部下やあなたのマネジメントに変化をもたらします。その最初のステップや「1on1ミーティング」にも活用できるヒントがここに!
事例で学ぶ 1on1(15) あなたってどんな人?
2020年06月11日
最初から、「お前のことはわかっている」という人とは話したくありません。お前は自分よりも格が下だと見下してくる、少し馬鹿にしたような言いかたをしてくる、話していて、自分や自分の話に興味がないようなそぶりをする。そういう場合は、人は話したくないと思います。それは拒絶というよりは、自分の内側に引きこもりたくなるような気分なのです。
ハーレン・アンダーソンというアメリカの心理学者と話したときのことです。彼女とはじめて会ったときも、次に食事をしたときも、彼女は私に聞きました。
「あなたってどんな人?」
最初はちょっと不快でした。なにか身元調査をされているような気がして。それもなぜか答えないわけにはいかないような気がして、いつも用意しているような答えをしました。彼女はそれに聞き入って、それから、また聞きました。
「どんな人なのか、もっと話して」
そこで私も聞きました。
「どうして、私のことを聞きたがるんですか?」
すかさず彼女は言いました。
「あなたに興味があるから」
それは単に興味本位でないことはすぐわかりました。ですから、私に興味があるという彼女に、私は彼女の持っている経験や知識以上に興味を持ち、聞きました。
「私や人に対する興味はどこから来るんですか? また、それはどうやって持ち続けることができるんですか?」
「どうやったら人に真摯な興味や関心を寄せられるのかを、いつも意識しています。」
「他にありますか?」
「相手の言うことには価値があるというところからスタートしています」
「それはどうやって身につけたんですか?」
「両親が人に対する思いやり、感受性を持っていました。子どもは、家族を通して世界を認識していくので、両親の影響は大きいと思う」
「両親がそうでないと、人への関心は持てませんか?」
「いいえ、自分が人を色眼鏡で見ていることを真摯に認めたら、それだけでもずいぶん、人への関心が持てるようになると思います」
彼女は私の会社のスタッフにも同じような質問をしていたようで、スタッフたちはそれを聞かれて楽しそうでした。
関心を持たれる、先入観なしに接してもらえるのは、とてもうれしいことなのだと思います。
(『「小さなチームは組織を変える―ネイティブ・コーチ10の法則」』伊藤守著より抜粋編集)
●興味を持って質問してみよう!
「わかっている」「知っている」という思い込みを脇に置き、相手の話をまずは純粋な興味を持って聞くことを意識してみましょう。
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