マネジメントに変化を起こしたいなら、スキルを学ぶよりまずは部下と話す時間をつくること。毎回じっくりと話す必要はなく、日常の必要な場面で短く話すことのつみ重ねが、やがて部下やあなたのマネジメントに変化をもたらします。その最初のステップや「1on1ミーティング」にも活用できるヒントがここに!
事例で学ぶ 1on1(18) なぜ部下は黙ってしまうのか
2020年07月02日
あるとき講演の最中に、ひとりの経営者から質問がありました。「聞く」ことについて話していたときだったと思います。
「確かに聞き上手の話はわかりますが、それよりも、自分の意見を言える人材の育成が大事なんじゃないでしょうか?」
この質問はよく受けます。話を聞くだけではとくになにもはじまらない。それよりはもっと自発的に部下が意見を言い、提案し、行動を起こせるようにするべきだと。
そこで、私は質問しました。
「ということは、あなたは部下に、自分から意見を言ったり、提案できるようになってほしいということですね」
「そうですね」
「実際にはあまりそれがないのですか?」
「そう」
「なにが意見を言う妨げになっているとお考えですか?」
「上の者があまりちゃんと聞かないというのもあると思うけど、それだけじゃない」
「他にはなにが考えられますか?」
「彼らは自分が発言したことを否定されることを怖がっているところもある」
「なるほど。他にはありますか?」
「いくつか考えられるけど、いずれにしても、部下が黙ってしまえば上司は無力になってしまうんです」
部下が黙ってしまう理由
組織は「部下が黙ってしまう」という問題を抱えています。
言われたことはやるが、それ以上のことはやれない。仕事の内容や仕事のやりかたについて「丁々発止」やり合うことはない。みんなそこそこにいい社員ではあるが、オーナーシップ(主体性)やロイヤリティー(忠誠心)の低下は否めない。組織のバイタリティーも低下する。そこで上司は会議の席上、
「思ったことは、はっきり言えよ」
「言わなきゃわからないだろう」
残念ながら、そう言ったからといって、言葉が出てくるわけではありません。なぜ自発的に発言しないのか、なぜ質問しても答えないのか、なぜ、なんの提案もないのか、なぜ「黙ってしまうのか」。そのことについて私たちはあまりよく知らないのです。
(『「小さなチームは組織を変える―ネイティブ・コーチ10の法則」』伊藤守著より抜粋編集)
●黙る理由を10個以上考えてみましょう
部下が黙ってしまう理由を想像して、10個以上リストアップしてみましょう。
あなた自身はどうでしょうか? どんな時に、どんな理由で黙りますか?
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