マネジメントに変化を起こしたいなら、スキルを学ぶよりまずは部下と話す時間をつくること。毎回じっくりと話す必要はなく、日常の必要な場面で短く話すことのつみ重ねが、やがて部下やあなたのマネジメントに変化をもたらします。その最初のステップや「1on1ミーティング」にも活用できるヒントがここに!
事例で学ぶ 1on1(19) どんなときに黙ってしまうのか? どんなときに話すのか?
2020年07月14日
どんなときに黙ってしまうのか、なぜ話さないのかについて、部下の立場にある人たちに、さまざまな機会にインタビューしました。
「自分の意見に自信がないとき」
「ふだんあまり業績がよくないのに、意見だけ言うのはまずいと思う」
「自分の思っていることをうまく言葉にできないので、まとめている間に、次に話が移ってしまう」
「変なことを言って、浮いてしまいたくない」
「意見を言える立場ではない」
「あまり役に立ちそうな考えがない」
「言いたいことを、他の人が先に言ってしまったから」
「なにを言っても、結局上司の意図したところに誘導されるのがわかっているから」
「最初から求められる答えが決まっているから」
「上司の意に染まないことを言ったら、責められるから」
「自分には重要なことでも上司は軽視している、そこではとても話せない」
「私の話以前に、上司は私に興味を持っていない」
「あまり自分が喋る必要がないから」
「言っても無駄だから」
「明らかに聞いていないのが態度でわかるとき」
部下の言い分が全部正しいわけではありませんが、彼らが黙っているときにはそれなりの理由があります。ひとりひとり理由は違いますが、黙っていることには理由があります。
どんな条件が揃ったら話始めるのか
さて、どんな条件が揃ったら話始めるのかについてもインタビューしました。
「頼られている、任されている、認められていると感じるとき」
「話してもいいんだという安心感があるとき」
「答えやすい質問を受けたとき」
「受け入れられていると感じるとき」
「具体的な質問を受けたとき」
「自分の意見を尊重してくれていると感じるとき」
「自分へのリクエストがはっきりしているとき」
「それはなに? どんなこと? と興味と関心を持ってくれていると感じるとき」
「自分と話すために、時間を取ってくれている」
「結論だけでなく、プロセスにも興味を持ってくれている」
「押しつけてこない」
「聞かれていると感じられるとき」
「ブレーンストーミングなのか、なにかを決定する会議なのか、事前に知らされているとき」
「身を乗り出して聞いてくれているとき」
ガソリンスタンド店長の場合
さて、あるガソリンスタンドの店長は、スタンドの中をいつも忙しく動きまわって、スタッフに声をかけます。
「今お昼ごはんのことを考えていなかった?」
「ええ?考えていませんでした」
「そうか」
そう言ってまた、他のスタッフのところへ行ってしまいます。そして、
「今頭に浮かんだこと、言ってみて」
「今ですか?」
「そうそう、頭に浮かんだこと、なんでもいいよ」
それが意図的であるかどうかはわかりませんが、部下が自分からコミュニケーションを始めるチャンスをあらゆる場面で創っています。
(『「小さなチームは組織を変える―ネイティブ・コーチ10の法則」』伊藤守著より抜粋編集)
●話やすい環境をつくる
部下が話しやすい、さらには話したい!と思う環境をつくるために、具体的にすることを決め、実践してみましょう。
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