マネジメントに変化を起こしたいなら、スキルを学ぶよりまずは部下と話す時間をつくること。毎回じっくりと話す必要はなく、日常の必要な場面で短く話すことのつみ重ねが、やがて部下やあなたのマネジメントに変化をもたらします。その最初のステップや「1on1ミーティング」にも活用できるヒントがここに!
事例で学ぶ 1on1(24) 組織は、複数の「1対1」のチームで支えられている
2020年09月15日
会議の席上、出席している「みんな」に向かって上司が話しかけたり、注意したりするのをよく見かけます。しかし「みんな」に向かって言っていることは、それほどみんなに伝わらないことを、私たちは薄々知っています。
「みんな会議に遅れないように」
実は上司は、これを特定の誰かに向けて言いたいのです。「Aさん、会議には時間どおりに来るように」と、名指しして伝えるのは、一見簡単そうに見えます。しかし特定の誰かにそれを言ってしまうと、その場の雰囲気が悪くなったり、以後の人間関係がギクシャクしてしまうかもしれません。ですから、たとえその場で名指ししたいと思ったとしても、結局「みんな」というぼかしを使います。
その結果、コミュニケーションから具体性が欠如します。
物事は、具体的でなければ、見ることも、聞くことも、触れることもできません。したがって具体的でなければ、責任も生じなければ、行動も起こりません。
「みんな」では、なにも起こらないのです。
コミュニケーションを交わそうと思う相手を名指しして向かい合い、その人と「1対1」でコミュニケーションを交わすことで、はじめて責任が生じ、行動が起こります。
組織のリソース(資源)は「ワン・オン・ワン=1対1のコミュニケーション」にあります。問題解決も、イノベーションをもたらすアイデアも、「1対1のコミュニケーション」によって呼び起こされます。コミュニケーションの基本は「1対1」で向き合うところにあります。
「1対1」の関わり、「1対1」のコミュニケーションは、チーム最小単位であり、組織とチームのリソースなのです。
(『「小さなチームは組織を変える―ネイティブ・コーチ10の法則」』伊藤守著より抜粋編集)
●「1対1」を意識して増やす
普段、何気なくつかっている「みんな」を見直してみましょう。そして必要に応じて、「1対1」を意識してみましょう。たとえば、「みんな」の代わりに「あなた」「Aさん」という言葉を使う。複数人で話し合っていた機会を1対1に分解してみる、など。
もちろん、「みんな」が活きる場合もあります。ですが、もし「あなた」「Aさん」との1対1に代替することに可能性がありそうなら、ぜひ試してみてください。
※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。転載、その他の利用のご希望がある場合は、編集部までお問い合わせください。