マネジメントに変化を起こしたいなら、スキルを学ぶよりまずは部下と話す時間をつくること。毎回じっくりと話す必要はなく、日常の必要な場面で短く話すことのつみ重ねが、やがて部下やあなたのマネジメントに変化をもたらします。その最初のステップや「1on1ミーティング」にも活用できるヒントがここに!
事例で学ぶ 1on1(26) 「任せかた」を選ぶ:垂直の壁を登らせるか、階段を提供するか
2020年10月13日
部下を活かし、伸ばす上司は、仕事を任せたからといって、丸投げにはしません。彼らは部下それぞれの状態に合わせて、フォローを忘れません。まして、任せた仕事に関して、経験と知識の少ない部下に対してのフォローは欠かしません。
よく見かける光景は、「君、金曜日までに、企画書を出してくれ」。あとは、取りつく島もなく、その場からいなくなるか、自分の仕事に没頭してしまう。部下はほとんど漂流状態に陥ります。
一方、部下を活かし、伸ばす上司の仕事の任せかたは、こんな感じです。
「君、経験のあるAさんにやりかたを教えてもらって、企画書を作ってくれ。もし彼が忙しかったら、私のところに直接聞きに来なさい。金曜日までに提出してほしい。そのとき、一緒に見直しをしよう」
任せるときのポイントは、一気に任せるのではなく、小さいところから徐々に積み上げていくことです。垂直の壁を登らせるような任せかたをするのか、または、階段を与えるのか、という違いです。
仕事を任せたら、それに対するコーチングが必須です。部下の育成は、仕事を任せ、目標に向けてのプロセスをコーチすることにあります。そして、部下に、自分の任された仕事をやり遂げたという自信を持たせることで、1クールを完了します。
その仕事に対する十分な知識やサポートを、どこで(上司なのか、他のスタッフなのか)得られるのかを伝えることも、忘れてはならないポイントです。
部下に任せるというプロセスは、部下の意思決定を支持し、部下を信頼するという上司自身のトレーニングにもなっています。これらのプロセスを経て、上司もまた、部下育成に、自信を持つようになります。「任せる」という体験を通して、上司が学んでいるものは少なくありません。
(『「小さなチームは組織を変える―ネイティブ・コーチ10の法則」』伊藤守著より抜粋編集)
●プロセスにも関わる
自身の任せかたを見直し、必要に応じて、「階段」を用意してみましょう。もちろん、1on1ミーティングも、そうした「階段」のひとつです。
※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。転載、その他の利用のご希望がある場合は、編集部までお問い合わせください。