マネジメントに変化を起こしたいなら、スキルを学ぶよりまずは部下と話す時間をつくること。毎回じっくりと話す必要はなく、日常の必要な場面で短く話すことのつみ重ねが、やがて部下やあなたのマネジメントに変化をもたらします。その最初のステップや「1on1ミーティング」にも活用できるヒントがここに!
事例で学ぶ 1on1(31)言葉とノンバーバルの不一致に気づく
2020年12月31日
話しているときの、スピード、トーン、目つき、ジェスチャー。よく観察していると、言っている「言葉」と「気持ち」が一致しているかどうかを感じ取ることができます。人は気持ちと同調した動きをします。
フロイトは「人は正直である」と言っています。たとえ嘘をついているときでも、自分は嘘をついているということを身体のどこかで表現していると。言葉では嘘をついても、指先やちょっとした仕草、そして声のトーンやスピードにそれが表れます。
たとえば、部下に仕事を依頼する際に、
「この仕事を君にやってもらいたいんだけど、引き受けてくれるかね?」
「はい、やらせていただきます」
と部下が答え、確かに言葉では同意していたとしても、ノンバーバルな情報は「いいえ」に取れたとします。その時には、いちど立ち止まって、
「この仕事の内容についてもう少し話したい。それからなぜ、この仕事を君にやってもらいたいと思ったかについても話したい」ということを伝え、そして、それについて話します。
話しながらも、部下の反応を観察し、言葉と、ノンバーバルな情報が「YES」に一致したら、その仕事を任せることができます。もし、一致しないようであれば、その仕事は任せられません。
言葉とノンバーバルの不一致に、私たちはとても敏感です。上司が「君に期待しているよ」と言ったからといって、部下は、鵜呑みにするわけではありません。それがただの社交辞令か、または本心か、ということを、部下は自然とキャッチしています。
部下はときどき「上司に察してほしい」と思い、それを言葉以外で表現することがあります。もちろん、全部に気づくことはできません。しかし、どうも言葉と態度の間に違和感を感じるようであれば、部下にそのことを伝えることはできます。
「もう少し話してくれ」
「なにか言い残していることはないか? 全部話したか?」
「少し不自然に感じるが、どうだろう?」
ある意味で、言葉とノンバーバルの不一致は、部下から上司へのメッセージでもあります。それはなにかわかってほしいことがあるときです。上司からすると、それは、言葉にしてほしいのですが、部下の立場になると、なかなか言えないものなのでしょう。
(『「小さなチームは組織を変える―ネイティブ・コーチ10の法則」』伊藤守著より抜粋編集)
●ノンバーバルに意識を向ける
意識して、ノンバーバル(話している時の、スピード、トーン、目つき、ジェスチャー)に意識を向けます。
ノンバーバルと言葉との間に違和感やギャップを感じたら、もう少し話を聞いたり、可能ならそれを話題にしてみましょう。
そのとき、それを責めるような態度や口調、表情にならないよう注意が必要です。相互理解、共通認識を持つチャンスと捉えて、向き合います。
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