マネジメントに変化を起こしたいなら、スキルを学ぶよりまずは部下と話す時間をつくること。毎回じっくりと話す必要はなく、日常の必要な場面で短く話すことのつみ重ねが、やがて部下やあなたのマネジメントに変化をもたらします。その最初のステップや「1on1ミーティング」にも活用できるヒントがここに!
事例で学ぶ 1on1(30) 「聞いている」のに相手は「聞いてもらっている」とは感じないのはなぜ?
2020年12月30日
コーチングの研修などで参加者に質問をすることがあります。
「あなたは人の話をよく聞くほうですか?」
この質問には、だいたい5割くらいの人が手を挙げます。
同時に「あなたは人に話を聞いてもらっているという実感がありますか?」という質問を同じ人たちにすると、ほとんど手が挙がることはありません。つまり、多くの人が「自分は相手の話を聞いているのに、自分の話は聞いてもらえていない」と思っているようです。
聞く能力にはレベルがあります。単にテレビの音や駅の構内のアナウンスを聞くレベルから、人の話を聞くレベルでは、頭の中のセットアップがまるで違います。関心を持って人の話を能動的に聞くようになると、単に音を受け取るだけでは足りません。
「本当に伝えたいことはなんだろう?」
「今話していること以外に話したいことはないだろうか?」
「今話やすいと思っているだろうか?」
相手の話に注意を向けながら、いっぽうではこれらのことを考えています。
また「聞く能力」を高めるために、自分が人に対してどのような「先入観」を持っているか、また、自分がどのような「判断基準」を持って人の話を聞くかについても知っている必要があります。私たちは「相手の伝えたいことを受け取る」以前に、「聞きたいことを聞きたいように聞く」傾向があるからです。
「聞きたいことを聞きたいように聞く」傾向
聞きたいことを聞きたいようにだけ聞いていると、話しているほうが話す意欲を失います。多くの上司は、自分は聞いていると思っています。しかし、部下はそう思ってはいません。確かに耳を傾けてはいるのですが、聞かれている実感に乏しいのです。
上司の聞く能力が上がれば、部下に「自由に話させる」ことができます。また聞く能力があれば、部下が自分でもまだ気づいていなかった「アイデアを引き出す」ことも可能になります。
落語家の古今志ん生さんの言葉に「話し下手、聞き上手に助けられ」という言葉があります。
上司の、聞く能力を上げることは、部下の育成に欠かせません。
(『「小さなチームは組織を変える―ネイティブ・コーチ10の法則」』伊藤守著より抜粋編集)
●「聞く」をレベルアップする
できれば、自分の聞き方について部下にフィードバックをもらってみましょう。
それが難しい場合は、相手の表情や様子を観察しましょう。
あなたが話を聞いているとき、
- 部下はいきいきと話していますか?
- 部下にアイデアが生まれていますか?
▼聞く力についてはこちらを参考に!
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