マネジメントに変化を起こしたいなら、スキルを学ぶよりまずは部下と話す時間をつくること。毎回じっくりと話す必要はなく、日常の必要な場面で短く話すことのつみ重ねが、やがて部下やあなたのマネジメントに変化をもたらします。その最初のステップや「1on1ミーティング」にも活用できるヒントがここに!
事例で学ぶ 1on1(35)実際の「行動」を評価する
2021年02月16日
知識と行動の間には深い溝があります。頭で「わかった」ことが、かならずしも行動に移せるわけではありません。
知識と行動の間にある溝をいかに超えるか、それは組織にとって優先順位が高い課題です。なぜなら、利益は知識によって生まれるのではなく、行動によって生まれるものだからです。
営業戦略は大事です。しかし、営業担当者が、ずっとデスクワークをやっていて、業績を上げるとは思えません。
求められるのは「行動」であり、評価されるべきものも「行動」にあります。
マネージャーの仕事とは、チームの先頭に立って知識を行動に移すことです。また、部下に対して、行動を起こしやすい言葉を使い、コミュニケーションを創り出すことです。
実行すること、そのことに価値をおく組織は伸びています。
一方、言葉が行動の代わりになっている組織は、徐々に勢いを失いつつあります。
そういう組織では、次のようないくつかの誤解があります。
- 会議でたくさん話すと、行動を起こした気になる
- 問題の原因を明らかにすると、問題が解決したかのように思う
- eメールを1日に100も200も読み書きすると、仕事をした気になる
- 「目からうろこが落ち」たり、感動したら行動が変わると思っている
- 会議でみんなが同意したら、なにかが変わると思っている
- すばらしい計画を立てると、それで行動したような気持ちになる
- 話し合うというその行為だけで、行動したような気になる
- 社訓、ミッションステートメント、コアバリューがあると、それだけで行動を起こしたような気になる
- 「なぜできないか」ばかりが話されて、「どうすれば実行できるか」が話されない
どんなアイデアも決定事項も、それが行動にうつされなければ意味がありません。
溝を埋めるために、マネージャーにできることはたくさんあります。
- 意思決定の場に、できるだけ多くの部下が参加できる環境をつくること
- 話し合いの結果が実行されているかフォローする
- 「マネージャーは考える人、部下は動く人」という二極化を避けるようにする
- マネージャーはできるだけ率先して行動し、チームのモデルとなる
「決定しただけでは、何も変わらない」、そのことをマネージャーは理解し、ふだんから、どうやったら動けるようになるのかを部下に考えさせます。
また、部下一人ひとりがどのような動機で行動を起こすのかを常に観察し、それをもとに動機づけを行うのです。
(『「小さなチームは組織を変える―ネイティブ・コーチ10の法則」』伊藤守著より抜粋編集)
●行動にフォーカスする
話し合われた内容や宣言ではなく、チームメンバーの実際の行動に注目して1週間過ごしてみましょう。
どんなことに気づくでしょうか?
合わせて、自分自身の行動にも意識を向けてみましょう。
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