マネジメントに変化を起こしたいなら、スキルを学ぶよりまずは部下と話す時間をつくること。毎回じっくりと話す必要はなく、日常の必要な場面で短く話すことのつみ重ねが、やがて部下やあなたのマネジメントに変化をもたらします。その最初のステップや「1on1ミーティング」にも活用できるヒントがここに!
事例で学ぶ 1on1(37)小さな取り組みの積み重ね
2021年03月23日
今回は「小さな取り組み」にフォーカスを当て、2つの事例をご紹介します。
小さな取り組み①繰り返し話題にする
あるとき、IT関連企業のシステムエンジニアをしている30代の男性に、ミッションステートメントとコアバリューについて質問しました。それを覚えているかどうか、それに沿って行動しているかどうか。
彼の答えは簡単でした。
「ミッションステートメント? ああ、これね」
彼はそう言って、首からぶら下げているIDカードを裏返し、そこに書かれている文章を指さして「言われて、ひさしぶりに見たなぁ」。
それを見るのは、ミッションステートメントの勉強会以来だと言います。
企業では、ミッションステートメント(企業使命の声明)、コアバリュー(価値基準)、コンピテンシー(効果的で優れた効果を発揮する人の行動特性)などと、さまざまな理論が用意されていますが、はたして、それらはどれくらい機能しているでしょうか。
私たちは1回伝えたら伝わったもの、と思ってしまいますが、それは違います。繰り返し伝え、そしてそれ以上に繰り返し話題にすることで、本当に伝わっていくのです。
また、一度伝わっても、まだ安心はできません。なぜなら、私たちは忘れてしまうからです。ですから、大切なことは、何度でも、日々、話題にし続ける必要があるのです。
小さな取り組み②フィードバックを受ける
メーカーに勤めるあるマーネジャーは、机の中に小さな鏡を用意して、部下と話す前に自分が今どんな顔をしているかを確認してから、話しはじめるようにしています。
また、部下に、今どんな表情をしているか?
一緒にいて、居心地はどうか?
と、直接聞くこともあり、たまに辛辣なことを言われることもあるそうです。
「それでも、部下に自分がどんな影響を与えているのかについて知っていたい。そうでないと、多くの時間、部下は自分をどう思っているのか? 自分の行っていることについて、彼は批判的なのではないか? などなど、詮索に時間を浪費してしまう」
と、彼は言います。
だから、できるだけ直接自分の話していること、そして、言葉にならない態度がどう影響しているのかを、部下から聞くようにしているのだそうです。
(『「小さなチームは組織を変える―ネイティブ・コーチ10の法則」』伊藤守著より抜粋編集)
●今すぐできる「小さな取り組み」に着手する
あなたが新たに取り組みたい、継続したい「小さな取り組み」は何でしょうか?
ぜひ、変化を起こすための小さな取り組みを1つ決め、取り組んでみてください。
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