米国コーチング研究所レポート

ハーバード大学医学大学院の外郭団体、「コーチング研究所/Institute of Coaching (IOC)」所蔵のコーチングに関する論文やリサーチ・レポート、ブログなどをご紹介します。


企業を成長に導く秘策とは

原文:The Surprising Formula for Leading a High Growth Company
企業を成長に導く秘策とは
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「成長か死か」という言葉ほど、不安定で崩壊しやすく、急速に発展している今日の経済を的確に表す言葉はない。今やどの企業も独自の成長方法や経営方法を見つけなければならない時代である。経済の拡大が続き、景気回復により多くの業界で見通しが改善しつつあっても、企業は競合他社よりも速いペースで成長し、配当を支払えるだけの収益を獲得して、さらなる成長をとげなければならない。

あなたの会社は、どうすれば持続的に四半期ごとの成長を推進できるだろうか?他社に後れをとっているならば、持続的な成長の実現に向けて、どのようにして会社を軌道修正したらよいだろうか?

私たちは、あらゆる業界のエグゼクティブやリーダーを対象にエグゼクティブ・プレゼンスに関するアンケート調査を実施し、14,000件の回答を詳しく調査した。Bates Executive Presence Index(ExPI™)のデータは、高成長企業に最もよく見られるリーダーの資質について、驚くべき真実を明らかにしている。結果は統計的に非常に説得力のあるものであり、高成長企業へと導く勝利のための秘策と言っても過言ではないだろう。

成長を分析する

必要な資質を分析するために、私たちは2種類のリーダーを選び出した。一つはGDPの5%以上の割合で成長している企業のリーダー、もう一つはマイナス成長中の企業のリーダーである。そして、3年分のデータを検討した。両グループのリーダーのスコアには、いくつかのリーダーシップの分野で明らかな違いが見られた。中間の企業を除いたところ、成長企業のリーダーは29の行動で他のリーダーと差別化されるほか、さらに9つの「特別な行動」があることが判明した。

成長企業のリーダーを差別化する資質とは?

「成長企業」という言葉を聞くと、そのリーダーとは、やる気に満ち溢れ結果主義的で、妥協なく成長を目指す人が思い浮かぶ。また、結果が出せなければ従業員に責任を取らせ、例外を認めないリーダーのことを考えるだろう。このような精力的な性格が成長に関係がないと言ったら間違いになるだろう。

しかし、私たちが発見したのは、このような資質は成長企業のリーダーを他から差別化するものではないということである。それはいわば手持ちの賭け金のようなものである。大事なのは、リーダーがもつ人格や要素の質であり、それは私たちが「あったほうがいい」と考えるものの、通常は成長とは結びつかないとみなしているものである。

勝利のための秘策とは?

統計的な分析を行った結果私たちが発見したのは、高成長企業のリーダーは、その行動を通じて従業員の信頼を獲得し、従業員はリーダーの行動を見て「自分たちが行っていることは正しい」と感じているということである。高成長企業のリーダーは真摯な態度を示し、心からの好意を持たれるようなやり方で誠実に行動する。また、先行きが不透明なときでも落ち着きを保ち、信頼できる人物とみなされている。

これらのリーダーとしての資質は、企業のスムーズな成長を促進する「切り札」である。ここから言えることは、成長のための秘策はリーダーシップの人格的要素によって明確に定義されるということだ。高成長企業のリーダーは然るべき人格と要素を携えて企業を率いているのである。

高成長企業のリーダーの資質として統計的に有意であったのは、29の資質(私たちのエグゼクティブ・プレゼンス・モデルの90の資質から選び出されたもの)である。この資質を選んだのは、高成長企業のリーダーのスコアが、他社のリーダー、直属の部下、マネージャー、ディレクターの平均スコアよりもかなり高かったためだ。スコアを高い順に挙げると、「人格」(55%)、「要素」(31%)、「スタイル」(14%)である。

誠実さが大きな差を生む

「人格」という側面をさらに深く追求したところ、ある一つの要素が際立っていることを私たちは発見した。それは「誠実さ」である。どのリーダーも「誠実さ」が重要であることは理解しているだろうし、多くのリーダーは「誠実さ」が自分のアイデンティティの中核を成していると言うだろう。

調査結果を見ると、リーダーの「誠実さ」のスコアは概して高いが、「誠実さ」を構成する6つの項目の結果には格差がある場合が多い。リーダーは通常、6つのうち一部の項目において他のリーダーよりも優れているが、高成長企業のリーダーに関しては、6つの「誠実さ」の項目のうち5つで、他のリーダーとの明らかな差異が見られた。

その他の人格的資質と同様に、「誠実さ」は信頼を醸成して強化する働きをする。私たちが企業を成長させようと努力しても、結果が保証されているわけではない。そこで、従業員は自分たちを導くリーダーを頼りにする。リーダーの方針は正しいという確信に加えて、自分たちの行動は正しいという確信があれば、従業員はリーダーを信頼するだろう。そして、リーダーとの結びつきが強まり、状況が困難になったときも懸命に働くのである。従業員が全力で仕事に取り組むのは、リーダーが利益のために主義を曲げることはないという確信があるからだ。

「あったほうがいい」ものから「不可欠」なものへ

調査結果から明らかなのは、リーダーの人格は企業の成長に大きく関係するということだ。したがって、このようなリーダーの人格は「あったほうがいい」ものではなく、成長企業にとって「不可欠」のものであると言える。しかし、企業を成長させるための課題に取り組む際に、このように人格を重視したリーダーシップを追求している企業は多くはない。では、他にどのような方法で成長を導くリーダーシップを検討したらよいだろうか?

成長を導くリーダーをコーチする

リーダーが心の底から奮い立つのは、自分の行動がどのように受け止められたかを、正確で実用的なデータとして入手したとき、また、自分の行動が組織の成功に直接結びついていることを認識したときである。リーダーをコーチしてこれらの資質を育てることで、リーダーは自分の強みを活かし、ギャップや弱みに対処し、自分の力を発揮し続けることができる。たとえば、「自分の都合が悪いときでも約束は最後まで守る」といったちょっとした行動の変化が、リーダーの前進を促すような信頼を生んだり、他人との信頼関係の強化につながったりすることがある。

リーダーと共有するレポートは、リーダー自身の意図と他人の認識の間にずれがあることを実証するデータが含まれている。2回目に実施した調査(Bates ExPI)で、私たちはリーダーに対する認識の変化を確認することができた。これにより、リーダーは他人が自分の進歩をどう見ているかを確認できる。リーダーとして目標を達成することはもちろん、自分が生み出す変化が組織の成果の向上に結びついていることを知ることも、リーダーの励みや喜びになるのである。

エグゼクティブ・プレゼンスに関する本研究の詳細やリーダーをコーチすることについて詳しく知りたい方は、スザーン・ベイツ(Suzanne Bates)とウォルター・ジャクソン(Walter Jackson)が主催する米国コーチング研究所(IOC)のウェビナー「企業を成長へと導くエグゼクティブ・コーチング - 本当に重要な資質は何か?」(2018年6月6日開催)に参加してほしい。ウェビナーに参加する前に研究について知りたい場合は、こちらから調査レポートをダウンロードできる。

筆者について

スザーン・ベイツ(Suzanne Bates)氏はグローバル経営コンサルタント企業Bates CommunicationsのCEO。同社は世界トップ企業の上級経営者を顧客に持ち、戦略の実行を推進するためのコミュニケーションを支援している。著書に『All the Leader You Can Be: The Science of Achieving Extraordinary Executive Presence』などがある。

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】The Surprising Formula for Leading a High Growth Company (2018年5月24日にIOCのIOC BLOGに掲載された記事の翻訳。IOCの許可を得て翻訳・掲載しています。)


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