米国コーチング研究所レポート

ハーバード大学医学大学院の外郭団体、「コーチング研究所/Institute of Coaching (IOC)」所蔵のコーチングに関する論文やリサーチ・レポート、ブログなどをご紹介します。


自己開示が生み出すメリットとは

【原文】Behind the Johari Window
自己開示が生み出すメリットとは
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「ジョハリの窓」とは

「あなたは自分について何を知っているか?」「そのことは周囲の人々にも知られているか?」「自分について、自分だけが知っていて他の人が知らないことはあるか?」「自分は気づいていないが、他人は知っていることはあるだろうか?」「自分も他の人も知らないことはあるだろうか?」これらの質問は、1955年に心理学者のジョセフ・ルフト(Joseph Luft)氏とハリー・インガム(Harry Ingham)氏が考案した自己認識法「ジョハリの窓」に基づく質問である。

「ジョハリの窓」には4つの窓がある。1つ目は「解放の窓」(公開されている自己)である。これは自分も他人も知っている自己を表す。たとえばあなたが起業家なら、この部分はあなたと一緒に働く人々が当然知っている会社の経歴や価値になるだろう。

2つ目の窓は「盲点」(他人が知っている自己)である。この部分は、他人は知っているが、あなた自身はまだ気がついていない自己を表す。たとえば、自信がなく不安な様子が態度に出ているのを、チームメンバーは気づいているが、あなた自身はまだ気づいていない場合などである。

3つ目は「秘密の窓」(隠れている自己)である。これは特に、人に知られないように隠している弱点など、自分は知っているが、他人は知らない部分のことである。

最後は「未知の窓」(未知の自己)である。これは自分を含めて誰も知らない部分であり、人生経験を積む中で、また、セラピー治療、精神的な活動、非公開のグループ・ディスカッション、コーチング・プロセスといった、さまざまな自己認識を高める経験の中で、徐々に明らかになるものである。

能力開発や信頼関係構築のために意識する窓は

企業において、ジョハリの窓は、能力開発とチームの信頼関係の構築に役立つツールとして活用できる。自分と一緒に働いている人々の意見を求めることで、「解放部分」を広げ、「盲点」を小さくすることが可能である。たとえば、チームメンバーに、あなたについて気づいていることを、あなたの長所を踏まえて、教えてもらうことは能力開発のヒントとなる。

その一方で、「秘密の部分」を減らせば、つまり自分が傷つかない範囲で個人的な情報を明かせば、親近感や信頼関係を生み出すことができる。多くの人は、自分のことを他人に打ち明けることを恐れている。企業社会は腐敗した世界であり、何らかの自己防御策を取る必要があると考えている。

そのため、仮面やペルソナを常に使い、うわべだけの関係を築いているのである。たとえば、何でもわかっているふりをして、質問することもなければ、他者の仕事ぶりを褒めることもない。それは自分の能力が劣って見えないようにするためである。

自分の窓を解放することで得られること

グループ内に信頼関係を構築するには、自分の正体と弱点を互いに打ち明けるしかないと私は考えている。表面上の付き合いは発展しない。お互いについて深く知る必要がある。恥ずかしいと思うようなことを打ち明ける必要はないが、一人ひとりが自分について正直に伝えるほど、チームが成功する可能性は大きくなる。窓が解放されるほど、周囲の人々はあなたのアイデンティティ、性格、強み、正体についてより良く知ることができるからである。

人は成熟するにつれて、自らを偽る能力を徐々に失っていく。これは驚くべきことである。自分の窓を開こうと勇気を持って決心すれば、人間関係は発展し強化される。実際のところ、自己開示に伴うリスクよりも、自分を隠すことのリスクのほうが大きい。自己を守り、自分を知らないままでいるよりも、自己開示の困難に打ち勝ち、自己認識を深めるほうがメリットが大きいのである。

筆者について

マリリア・フィウーザ(MaríliaFiuza)氏は、ブラジルに拠点をおくエグゼクティブコーチ。エグゼクティブと起業家のための個人向けプログラム、リーダーシップ開発のためのチームプログラム、また家族経営のためのプログラムなどを開発し、それぞれに対してコーチング・サービスを提供している。

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Behind the Johari Window(2018年8月28日IOC BLOGに掲載された記事の翻訳。IOCの許可を得て翻訳・掲載しています。)


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