Global Coaching Watch

Global Coaching Watch では、翻訳記事を中心に、世界のコーチングおよびコーチング業界のトレンドやトピックスをお届けします。


快適ゾーン:あなたのクライアントは、くつろぎ「過ぎて」いるのか、それとも、「十分に」くつろげていないのか?

快適ゾーン:あなたのクライアントは、くつろぎ「過ぎて」いるのか、それとも、「十分に」くつろげていないのか?

「コーチング・エクササイズ」で明らかにしよう

クライアントがコーチのもとを訪れるとき、彼らが望んでいるものは「変化」だ。「大きな目標を目指す」場合であれ、「潜在的な問題を解決する」場合であれ、彼らがそれを一人で実現できるなら、とっくにそうしていただろう。

変化を起こすためには、「クライアントを、固定化した思考パターンや行動から遠ざけ、快適ゾーンの外に引っ張り出すこと」が必要だ。このため、クライアントが「快適ゾーン」のどこにいるかを本人と一緒に探ることは、コーチングの初期段階におけるよいエクササイズとなる。私の場合は、クライアントにこう尋ねることにしている。

「今、自分が『快適ゾーン』のどこにいるかを教えてください」

「快適ゾーン」の中の「現在地」を特定する7つのステップ

このエクササイズは、「感情」や「直感」主導のエクササイズだ。それぞれのクライアントは人として異なるし、置かれている状況も違う。ある人には心地よく感じられることが、別の人にとっては難しい場合もあれば、その逆もまた然り、ということを覚えておこう。

1. クライアントが、現在、どの程度の「心地よさ」を感じているかを調べることから始める。以下のような質問を投げかけてみよう。

  • 最後に何か新しいことに挑戦したのは、いつでしたか?
  • 今、どれだけ学んだり、成長したりしていますか?
  • 今、あなたは頑張り過ぎていますか? それとも、頑張りが足りないと感じますか?
  • 自分がリラックスできていると感じる量について、どう思っていますか?
  • 最後にリスクをとったのはいつでしたか?

2. クライアントの「現状」についてある程度探ったところで、クライアントにこう伝えよう。「これから楽しいエクササイズをやりながら、『快適ゾーン』における「現在地」を調べます」

3. 紙の左から右へ線を引くよう、クライアントに伝える。線の左端には、びっくりしているハリネズミかヤマアラシを簡単に描き、その下に「不快」と書く。次に、線の右端に、眠っている人の顔を描き、その下に「睡眠中」と記入してもらう。最後に、線の中央に、くつろげるアームチェアを描いて、その下に「快適」と書き込んでもらう。

4. 「快適ゾーン」の中で、自分が今どこに位置するのか、直感や勘で、クライアントに印をつけてもらう。

5. クライアントが自分の「現在地」として選んだところに、ついてさらに詳しく調べる。以下のような質問をしてみよう。

  • その場所は、あなたがいたいと思う場所ですか?
  • その場所で、あなたはどれくらい幸せですか?
  • 快適ゾーンにおける「現在地」は、あなたやあなたのゴールを後押しするものですか?

<重要なこと>
「不快感」は「成長」に欠かせないということについても話し合う段階だ。「不快」であっても行動することは、自信や勇気、生きている実感につながるとクライアントが理解することが必要だ。また、バランスのとれた、健全な「境界線」を見つけることの大切さについても話し合おう。「境界線」とは、精神的に参ることなく新しいことに挑戦し、前進できるぎりぎりの場所のことだ。「境界線」とは、成長に伴う「健全な」不快感を体験することであり、行動を起こすことを避けたり、ストレスで一杯になったりすることではない。

6. ここで、もう少し掘り下げてみよう。「クライアントは、このエクササイズで何を学習しただろうか?」「ゴールを達成するために、クライアントが変えなければいけないことは何だろうか?」「健全な『境界線』とは、どのようなものなのか?」「それを見つけるために、何をする必要があるだろうか?」といったことについて、探究し、コーチする。

7. 最後に、新たに学習したことを踏まえて、クライアントが取ることのできる具体的な行動を、最低でも一つは明らかにして、エクササイズを終わろう。

驚きの結果

このエクササイズは、「ひらめきの瞬間」を引き起こす。

私自身も、数年前にこのエクササイズをやって、大きな意味があった。私は「快適ゾーン」の中で、「不快」に印をつけていた。「境界線」ぎりぎりまで頑張った上に、さらにその先を目指すよう、絶えず自分をせき立てることで、ほぼ日常的に不快感を抱えていたことに気づいた。多くのことを学ぶ一方で、自分に過大な期待をかけていた。本当に望んでいたことは、もっと「心地よさ」を感じることだった。いそがしくすることが、当時の私の「快適ゾーン」になっており、「不快」なことで安心していたのだ。なんという皮肉だろうか。

これは、クライアントにも多く見られるパターンだ。

最近では、「快適ゾーン」の中で「不快」に印をつける人が多くなっている。現代社会は、人々を圧倒し、常に「オン」の状態にし、概ね「頑張りすぎて自分の時間が取れない」状況を作り出している。そのため、絶えず自分に負荷をかけて、多くのことを達成しようとする、いわゆる「タイプA」の性格(訳注:競争心が強く、せっかちな性格類型)の人が存在する。多くの人が切望するのは、自分自身とつながり、自分の「ゴール」と「成長」に取り組むための、健全な「自分のための」時間をもっともつことだ。

このエクササイズは、クライアントが「快適ゾーン」の中の「現在地」を振り返り、自分にとって最も有益なのは、「もっと」やることなのか、あるいは、やることを「減らす」ことなのかを見極める、格好のきっかけとなる。さらに、このツールを使って、「成長」には「不快さ/居心地の悪さ」が欠かせない一方で、あまり度が過ぎると、ストレス過多となり、ゴールの達成がより困難になることについても話し合うことができる。

あらゆることに言えるが、結局重要なのは 「バランスを見つけること」 だ。「あり方」と「行動」との間に、自分だけの健全な「境界線」をもとう。

<筆者について>

エマ・ルイーズ エルシー氏(Emma-Louise Elsey)は、「コーチング・ツールズ・カンパニー(Coaching Tools Company.com)」と「ライフコーチ・オンザ・ゴー(Life Coach on the Go)」の創業者。

【翻訳】 Hello, Coaching! 編集部
【原文】COMFORT ZONES: ARE YOUR CLIENTS TOO COMFORTABLE, OR NOT COMFORTABLE ENOUGH?
(2017年9月4日にICF BLOGに掲載された記事の翻訳。著者の許可を得て翻訳・掲載しています。)


この記事はあなたにとって役に立ちましたか?
ぜひ読んだ感想を教えてください。

投票結果をみる

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。

関連記事