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テレワークのコミュニケーションを「成功に導く」5つのポイント
2020年04月14日
Language: English
その電話は長くはかからなかった。確認のための電話だった。しかし、ダイアンは、自宅のワークスペースからでも十分に上司を安心させることができた。
急増するビデオ会議の機会
ダイアンは、米国、日本、シンガポールを拠点にユーザー体験の開発に取り組むチームを率いていた。夕食のローストチキンをオーブンに入れようとしていたとき、上司のケビンからZoom(ビデオ会議システム)の呼び出しがかかってきた。
熱心かつ協力的に意見を出し合ったあと、彼女はこう言ってケビンを安心させた。「分かりました。チームにはそのアイディアに賛同してもらい、これからとるべき行動5つと、メンバーそれぞれの役割を決めて報告します。ほかに彼らに伝えることはありますか?」
この会話がSkypeやZoom、電話などでなく、直接会って行われていたらどうなるか考えてみてほしい。
ケビンは何と返事していいか迷った。感謝を伝える言葉はたくさんあった。
「そうだな」彼は考えた。
「彼らに急ぐように言ってくれ。私たちは遅れをとっている。」―いや、そうじゃない。
「安全に気を配り、トラブルに巻き込まれないようにと伝えてくれ。」―これは、威圧的で心配し過ぎる印象を与えるかもしれない。 でも、重要なことを言っている。
「みんなによく頑張っていると伝えてくれ。競争力を維持するための彼らの努力に感謝している。」―これはいい感じだが、これを伝えることで彼らに自己満足してほしくない。
コミュニケーションは様式が違ってもコミュニケーションであることには変わりはない。様式によってそれほど変わるものではない。しかし、われわれは、突然、対面によるミーティングを減らしてビデオ会議に移行することを求められている中、その状況にどう対処していくのかを考え始めている。
オンラインのコミュニケーションで意識すべき点とは?
バーチャルな環境で相手のある仕事をするときに、いくつかの違いを意識する必要がある。バーチャルで仕事をするときのチームは、実際に顔を合わせているときとは取り巻く環境が違うため、リーダーは共通の目標に向けてチームメンバーを一つにまとめるために意図的な行動を取る必要があることが明らかになっている。1
さらに、アイコンタクトのような簡単なことでも、デジタルコミュニケーションではそれを保つことが難しくなる。気が散ったり、単純に画面とカメラの位置が少しずれるといったことが影響して、会議の雰囲気や効果に大きく影響する。一般的に、アイコンタクトが4秒から5秒程度保たれると、聞き手は会話の話題に夢中になっているか、とても関心があるとみなされる。逆に、アイコンタクトを取らないと、聞き手が無作法で、関心がなく、誠実さに欠けるとさえ映ってしまう可能性がある。2
自宅、またオフィスの外で勤務にあたる人が増えている。私自身も21年以上にわたり、電話やSkype、Zoomを使ってクライアントと仕事をしている。しかし、今日のデジタルコミュニケーションの普及によって、チームワーク、人との関わり、リーダーシップに大きな変化が生じている。
毎週たくさんのクライアント(その多くも地理的に分散したチームを率いている)とリモートで話す中で、私が気づいたワイヤレスでうまくコミュニケーションを図るための重要なポイントを以下にご紹介しよう。
テレワークのコミュニケーションを「成功に導く」5つのポイント
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照明を適切に設定し、ビジネスにふさわしい身なりを整えたり、少なくとも背景として画面に映り込む場所を整頓する。自宅であっても仕事をするスペースであることを真剣に考えてみよう。あなたが自宅にいるのだからといっても、洗濯物、領収書、レッド・ツェッペリン(イギリスのロックバンド)のポスターを見られても構わないということではない。また、同居している人にはあなたが画面に映ることを説明して、邪魔にならないようにしてもらう。いつなんどきビデオ通話での打ち合わせで専門知識が求められるかもわからない。恐らく、こんな状況にはしたくないだろう。
プロフェッショナルなプレゼンスはあなたの自信を高め、そして相手の安心感を高めることにつながる。双方のバランスが重要である。
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デジタル機器の不具合や注意がそらされる事態の発生を想定しておく。定期的な会議を閉じられた空間で開催する場合は、注意がそらされる事態が発生することはないだろう。しかし、リモートワークの場合、いろいろなことが起こりうる。また、ビデオ通話に不慣れな人もいることを理解することも必要だ。相手がツールを使い慣れて円滑なコミュニケーションができるまで気長に接してほしい。相手が集中できていない感じだったり、悪戦苦闘しているようであれば、相手が落ち着くまで、重要部分を話すのを待ってみよう。
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ビジュアルコミュニケーションの一環として画面共有の準備をするか、あなたが話したいことを補うドキュメントを事前に送信する。Google Docsなどのドキュメント共有サービスは、複数で仕事をする際の生産性向上に役立つ。単に口頭で説明するより、自分や相手の資料を表示して見せる方が分かりやすい場合が多いからだ。
この事前準備は、文書を印刷してそれを持って会議室に向かうよりも時間がかかるかもしれない。その場合は、印刷したページの余白にプレゼンのためのメモ書きを入れることを想定しているだろう。一方、デジタルでの資料の共有は、あなたと打ち合わせ相手が同じプラットフォーム上にいることを確認したり、業務の生産性を向上させるために、作業するすべてのドキュメントをお互いに編集できるように、指示や指針を受けたり出したりする必要があるだろう。3
サポートが必要なチームメンバーには辛抱強く対応し、この新しいデジタルコミュニケーションを円滑に始めるために、彼らに必要なサポートが何であるかを明らかにして、躊躇なく求め、手に入れるといいだろう。役割をうまく果たすための障害を乗り越える責任があなたにはある。
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カメラと画面をバランス良く見る。画面ばかりを見ていると、相手とアイコンタクトを取ることができない。ベルギーのルーベン大学と英国のキングス・カレッジ・ロンドンによると、アイコンタクトを保つことは、自信、自尊心、リーダーシップ力に密接に関連している。4 クライアントと話していると、私は、このような練習によってクライアントの不安が自信に変わることに気づいた。確かに練習は必要である。だがうまくなれば、会話をしている相手との人間関係、コミュケーション、信頼を確実に築くことができる。
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電話や画面を通していかにして相手に影響を与え、関係性、インスピレーション、相手への配慮を継続的に強化できるかを常に自問自答する。やりとりをする一人ひとりに細やかな心遣いで接し、つながりや相手への配慮、楽しい感じをつくり出すために、少しやりすぎなくらいエネルギーと情熱を表してみよう。あなたのエネルギーによって、チームメンバーの参加意欲が維持され、つながっている感じを強化することができる。
外交的な人もいれば、内向的な人もいることに気づいている必要がある。カメラをオフにして音声のみにすることを希望する人もいれば、「社会的距離」の実践を求められて、閉じこもった生活を強いられることに少し気が滅入っている人もいる。あなたは、チームとともに意志をもって、組織内の文化を作り上げることに尽力してきた。ビデオ会議を通して、責任を持ってそれを推進することを検討してほしい。
あきらめないでほしい。対面の会議をビデオ会議に切り替えるには練習が必要である。考え方を変え、新しいやり方で導く学習をすることが求められる。いらだちを感じたら、休憩を取り、散歩に出かけ、目や頭を休ませる。そして、あなたの新しいリーダーシップのかたちを新時代に開花させるために、この先の可能性に向けて探索したり、学習したり、成長できるように備えていよう。
参考文献
- Sher, Robert. “Making Virtual Teams Feel Like They’re in the Same Room: The AppNeta Approach.” Forbes, October 2, 2019.
- Kinsey-Goman, Carol, PhD. “The Impact of Eye Contact.” Forbes, November 3, 2011.
- Ferrazzi, Keith. “How to Run a Great Virtual Meeting.” Harvard Business Review, March 27, 2015.
- Noel, Katherine. “A body-language expert reveals the No. 1 indicator of confidence and how you can cultivate it.” Business Insider, April 26, 2016.
筆者について
ジョナサン・フラックス(Jonathan Flaks)氏は20年以上にわたるエグゼクティブコーチの経験をもち、コーチ・エィのエグゼクティブコーチの一人でもある。ワークライフバランスを維持したリーダーシップ開発やキャリア形成に重点を置く。
【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Being A Leader In The Wireless Workplace
(2020年4月13日にコーチ・エィのE-Newsletter(英語版メールマガジン)に掲載された記事の翻訳。筆者の許可を得て翻訳・掲載しています。)
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