Global Coaching Watch

Global Coaching Watch では、海外コーチのブログ記事の翻訳を中心に、世界のコーチング業界のトレンドやトピックスをお届けします。


世界のコーチングはここから始まった【前編】~コーチング業界の第一人者に聞く20年の歴史~

世界のコーチングはここから始まった【前編】~コーチング業界の第一人者に聞く20年の歴史~
メールで送る リンクをコピー
コピーしました コピーに失敗しました

1992年に世界初のコーチ養成機関、コーチ・ユー(Coach U, Inc.)が設立されました。パメラ・リシャード(Pamela Richarde:以下パム)氏はコーチ・ユーの立ち上げメンバーの一人であり、その後米国や世界におけるコーチングの発展に寄与したコーチング業界の第一人者です。コーチ・エィは、1997年にコーチ・ユーとライセンス契約を結び、日本でコーチングの事業を開始。そして、2019年、両社の強みを最大化する目的でコーチ・ユーを買収しました。コーチングというビジネスの誕生から業界を支えてきたリシャード氏に、コーチングの過去、現在、未来、そしてコーチ・エィとのコラボレーションについて書面インタビューを行いました。

前編 コーチング業界の第一人者に聞く20年の歴史
後編 コーチング業界の今と未来

本記事は2020年5月の書面インタビューに基づき作成しています。
内容および所属・役職等は取材当時のものを掲載しています。

コーチ・ユーの歴史と存在意義

 コーチ・ユーはどのような目的で設立されたのですか?

パム コーチ・ユーは、基本的なコーチングスキルを学び個人を成長させるトレーニングを提供する目的で設立されました。そこには、個人が人生やビジネスで成功することをサポートするという意図がありました。

 設立当時、世の中ではコーチングやコーチはどのようにとらえられていたのでしょうか?

パム コーチ・ユーは、コーチングがまだ職業として認知も確立もされていなかった時代につくられました。世界中で、コミュニケーションにおけるコーチ的なアプローチは他者と関わる方法の一つとして認識されていましたが、コーチングの正式な定義や、コーチングという名前は存在していませんでした。同様に、世界共通なコーチングのコア・コンピテンシー(コーチとしてのあり方やコーチに求められる能力をまとめたもの)、倫理規定、構造というものはありませんでした。

 最初のコーチ養成プログラムはどのように誕生したのですか?

パム コーチ・ユーは、もともとトマス・レナードがファイナンシャル・プランニングを仕事としていた時に、彼のクライアントのニーズに応えるために誕生しました。彼は、会話にもっと広がりが必要だとういうことに気づいたのです。そこでトマスは、彼が集めたトレーナーと一緒に、コミュニケーション、傾聴、質問、価値、ニーズ、規範など、人が生きていくうえでのさまざまな要素についてのクラスを提供し始めました。核となるプログラムを開始して間もなく、優れた「コーチ」になるために必要な人としてのスキルや成長のために、「パーソナル・ファウンデーション・プログラム」が作られました。

設立初期の頃は、コーチ・ユーには正式な構造がありませんでした。そこで私は、システム、トレーニングのリソース、バーチャルでプログラムを行うためのプラットフォームなどを整理したり、作ったりするために参画しました。当時は基本的にボランティアの人たちが中心となって運営されており、私は面接をし、スタッフを雇い、スケジュールを管理しました。世界にコーチングをもたらすことに身をささげている情熱的なコーチ達の素晴らしいチームと組んで仕事をしていました。

 当時のプログラムと今のプログラムを比較すると、何が違うのでしょうか?

パム 当時のコーチ・ユーは、主に個人がパーソナルコーチになるためのトレーニング・プログラムを提供していました。それは完全にバーチャルなプログラムで、トレーニングは全て電話で提供されていました。

年月が経つにつれ、コーチ・ユーは法人向けのトレーニングを開始しました。コーチング・クリニック(2日間のコーチング型リーダーのためのプログラム)とバーチャルで提供するアドバンス・コーポレート・コーチング・プログラム、そしてエグゼクティブ・コーチングです。さらに、コースの提供方法を拡大しました。現在では、Core Essentials FastTrack Program (CEFTP) とCoaching Clinic Licensing Program™ (CCLP) という、コーチングのコアとなるスキルトレーニングを、対面またはバーチャルで提供しています。

私たちは世界中に市場を広げ、多くの国の何千人ものコーチをトレーニングしてきました。また、国際コーチング連盟(ICF)の認定を受けたコーチトレーニングは、主にZoomテクノロジーを利用して提供しています。

 設立当時、どんな方が受講していたのですか?

パム 私たちの受講者は、「文化的な創造者」と呼べるような方たちです。教師、セラピスト、企業難民、舞台役者、心理学者、など幅広い層の人たちがいます。当初は男性よりも女性の方が多く参加していましたが、その後、同じくらいの男女比率となりました。年齢層は多様で、平均的には30代半ばから後半といったところでしょうか。とはいえ、受講生の多様性を考えると、誰をターゲットにするのかを決めるのは難しい問題でした。

 コーチ・ユーがコーチトレーニングの提供者として、成功を収めた理由は何だと思いますか?コーチ・ユーのどこに優位性があるのでしょうか?

パム コーチ・ユーの非常に大きな強みの一つは、世界中に広がるコミュニティがあることです。コーチ・ユーの講師陣は、もちろん全員バーチャルにアクセスが可能で、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、イギリス、イスラエルなどに住んでいます。このようにお互いに遠く離れている環境を利用することにより、私たちは、コーチングという専門職をもつリーダーの大部分が属するコミュニティを世界中に構築しました。そのコミュニティはつながり合っています。

私たちのメインの教材は、ICFのコーチングのコア・コンピテンシーの基礎となったものであり、進化し続けています。また、個人事業主として、あるいは社内コーチとして、ビジネスの文脈でコーチングスキルを活用できるように受講生をサポートしています。

コーチング業界発展におけるコーチ・ユーの貢献

 コーチ・ユーはコーチング業界の発展にどのように貢献してきたのですか?

パム コーチ・ユーはコーチングの卓越した基礎を築き、多くの人の模範となり続けています。私を含め、多くの講師陣は、積極的にコーチという職業、コーチングの水準、専門組織を進化させ続けている様々なICFの取り組みに参加してきています。

 コーチ・ユー設立後、アメリカや世界のコーチングはどのように進化したのでしょうか?

パム 設立当時は、コーチングは世界レベルで認知された職業ではありませんでした。今では、多くの功績により、コーチングは世界の多くの地域で一般的な言葉となっています。たとえば、ICFの会員は現在143カ国にいます。

コーチ・ユーの卒業生の多くは、世界中にコーチングをもたらしてきました。いまやコーチングは認知されたスキルです。後継者育成、教育・研修、小売販売などでのあらゆる場面でリーダーシップ開発を支援するプロセスです。地球上のあらゆる業界で、コーチングは人間の可能性が進化するための発展的なサポートとして認識されています。

 コーチであり、20年以上、このビジネスに携わってきた中で、コーチングの価値は何だと思っていますか?

パム コミュニケーションのアプローチとしてのコーチングは世界を変えることができます。 それは毎年恒例のプリズム・アワード(コーチング文化を醸成している組織に対してICFが表彰する)で証明されているように、多くの組織ではすでにそのような取り組みが始まっています。

コーチングによって自己認識が高まります。コミュニケーションスキルの幅が広がります。良し悪しの判断だけではない領域を広げます。

 この世の中に、なぜコーチ・ユーのような企業/事業が必要なのでしょうか?

パム 私の個人的なビジョンは「文化、人種、信条の違いを乗り越え、すべての人と関わるために創造性、つながり、協力を大事にできれば、平和な世界が実現する」というものです。もし、このような世界が実現するのであれば、コミュニケーションにコーチング・アプローチを取り入れる企業は不可欠な存在となるでしょう。

コーチ・ユー、コーチ・エィ、ニューフィールド、ハドソン研究所など、これらの概念や原則を教える数百以上のコーチングスクールは、私たちの地球を癒し、協力して平和をもたらすことができるのです。コーチ・ユーのように、トレーニングや教育において高い水準を維持している組織は、違いを生み出すことができると確信しています。

書面インタビュー実施日: 2020年5月
聞き手・撮影: Hello Coaching!編集部

(次章に続く)


この記事はあなたにとって役に立ちましたか?
ぜひ読んだ感想を教えてください。

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。転載、その他の利用のご希望がある場合は、編集部までお問い合わせください。

Global Coaching Watch/米国コーチング研究所レポート コーチングスキル/コーチング 国際コーチング連盟(ICF)

メールで送る リンクをコピー
コピーしました コピーに失敗しました

関連記事