あなたは周囲にどのように影響を与えていますか?

私たちは日々他者に影響を与えながら過ごしているが、あなたは、自分が他者にどのように影響を与えているか知っているだろうか?　多くのリーダーやマネージャー、営業のプロは、「他者に影響を与える行為とは複雑かつ微妙な説得のプロセスであり、それは機能することもあればしないこともある」と考えている。

クリエイティブ・リーダーシップ・センター(CCL)のデビッド・ ボールドウィン氏は以下のように述べている。「リーダーが他者に影響を与えるときの様々な行動や戦術を観察すると、影響を与えるという行為には、論理、感情、協力姿勢に基づいたアピールが含まれていることがわかった。最も優れた影響力を持つ人々は、この3つのアプローチすべてを上手に活用する方法を知っている。私たちはこれらを、頭、心、手を使った影響力と呼んでいる」

論理的なアピール（頭）は、合理的で知的な立場に訴えるものである。このアピールでは、組織や個人の利益に基づいた最善の行動の選択について議論を持ち掛ける。そのやり方には次のようなものがある。

• 明確かつ説得力のある方法で、自分の理由を客観的かつ論理的に説明する
• 自分の提案が実現可能で、誇張したり非現実的でないということを示す具体的で詳細な証拠を提供する
• 他の可能性を注意深く検討したうえで、なぜ自分のアイディアが最良の選択肢であるかを明確かつ論理的に示す。仕事でより目立つようになることや、新しいスキルを習得すること、また仕事がより簡単になったり、より面白くなるような業務改善を行うなど、個人が手にするメリットを説明する

感情的なアピール(心）は、あなたのメッセージや目標を相手にとって重要な感情的動機付けに結びつける。個人の幸福感、奉仕の心、帰属意識に訴えるアイディアは、支持を得る可能性が高い。これを行うには次のような方法がある。

• 個人の目標や価値観に関連づける
• 熱意を持って課題を説明し、それを達成する相手の能力を信頼していることを表明する
• あなたのリクエストを、相手が全面的にサポートできるような明確で魅力的なビジョンに結びつける
• 相手のセルフイメージに訴える

協力的なアピール（手）は、あなたと、あなたが影響を与えようとしている人、そしてあなたの提案をサポートしてくれる人との繋がりを築く。重要な目標を達成するために相互に協力することは、組織内の他の人々に手を差し伸べることであり、影響力を持つという点では、非常に効果的な方法だ。これらの繋がりを構築する方法には、以下が含まれる。

• 他の人を巻き込んで、自分の目標を達成する方法を決定する
• 信頼できる人々を巻き込んで他の人に影響を与える
• 成功への障壁を取り除くことで、難易度を軽減する
• 懸念や提案に慎重に対応する

個人的な影響力を最大化するには、自分自身の影響力のスタイルを自分で理解する必要がある。あなたは、現在どのような方法をとっているだろうか?　論理的なアピールだけに完全に頼っているだろうか？もしそうであるなら、感情、価値観、人間関係を通じて人々と関わる機会を逃していることになる。一方で、感情的または協力的なアピールを強調しすぎると、計画に含めるべき重要な情報であるデータや理論的根拠が抜け落ちてしまう可能性がある。

「新しいアプローチを学び、さまざまな影響力を使いこなす経験を積むにつれて、自分の影響力のスキルに自信が持てるようになる」とボールドウィン氏は述べている。

また、さまざまなスタイルの影響力に対して他の人がどのように反応するかを理解することも非常に役に立つ。相手は感情的なアプローチを必要としているだろうか?　行動を起こす前に何かについて「良い気分」になる必要があるのだろうか? あなたと一緒のチームの一員であると感じるような協力的なアプローチで行動に移すのが、相手にとっては最良だろうか? それとも、論理的でよく考えられたスタイルに心動かされる可能性が最も高いだろうか? 顧客、チームメイト、従業員のことを知り、何が彼らの心を動かすのかを理解することは、あなたが強力な影響力を持つための助けとなる。

他者から学ぶ

自分のスキルの向上をサポートしてくれるメンター、同僚、コーチを活用することで、より影響力を高めることができる。あなたの組織やコミュニティで影響力のある人を探そう。彼らがどんな行動や発言で人に影響を与え、またどのように対処するかを観察して欲しい。

この記事は、ハーバード・ビジネス・レビュー からの抜粋である。

【筆者について】
スーザン・クライン（Susan Klein）氏は、1989年よりプロのコーチとなり、1990年にサクセス・テクノロジーズ社を創設した。国際コーチング連盟（ICF）が認定する最高位のマスター認定コーチ（MCC）の資格を保持している。世界屈指のコーチ・トレーニング機関の1つとされるCoach Uの創設チームの一員として、アドバイザリーボードに3年間参画し、トレーナーを育成する上級トレーナーも務めた。Coach Uと国際コーチング連盟の創設者であり、『The Portable Coach（ポータブル・コーチ）』の著者でもあるトーマス・J・レナード氏に師事した。
www.successtechnologiesinc.com

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Do You Know How You Influence Others?（2023年3月3日にCoach U Blogに掲載された記事の翻訳。