マネジメントに変化を起こしたいなら、スキルを学ぶよりまずは部下と話す時間をつくること。毎回じっくりと話す必要はなく、日常の必要な場面で短く話すことのつみ重ねが、やがて部下やあなたのマネジメントに変化をもたらします。その最初のステップや「1on1ミーティング」にも活用できるヒントがここに!
事例で学ぶ 1on1(5) "部下が話す"をいかに実現するか
2020年02月18日
コミュニケーションの基本は「1対1」で向き合うところにあります。「1対1」が変わればチームが変わり、やがて組織にも変化をもたらします。そのためのヒントを「人を育て、活かす関わりに長けたリーダーたち」の事例に学びます。
事例5: “部下が話す”をいかに実現するか
あるガソリンスタンドの店長の事例です。
彼は部下をよく観察していて、スタンドの仕事の中で、とくに洗車を丁寧にやっているのを見つけ、こう声をかけました。
「洗車うまいね」
「そうですか」
「これから、もっと洗車を頼みたいな」
「はい」
彼は洗車からスタートして、ガソリンスタンドのあらゆる仕事をこなすようになったそうです。
部下を伸ばし、活かす上司は部下の「行動」に価値をおいています。
実際になにをしているか、どんな行動をとっているか、それをアクノレッジ(承認)しています。部下はそれを機会にコミュニケーションする動機を、自分の内側に感じるようになります。
身体が動くようになると、言葉が出てくるようになります。身体を動かし、そこからコミュニケーションにシフトしはじめるのです。
いっぽう、私たちが黙ってしまうときは、どこか自分の「存在価値」を見失っているときです。誰でも仕事を失敗したり、みんなに迷惑をかけたときは、堂々と自分の意見をいうことや、発言を控えるようになります。
存在価値の低下は、なにも特別な失敗や迷惑によってだけもたらされるわけではありません。偏差値によって人間の価値が決定されるかのような社会では、慢性的に勝ち組と、負け組ができ上がります。勉強のできなかった者や仕事の業績が上がらない者に、「努力が足りない」と、暗黙のうちにレッテルを貼り付け、その過程で人間の価値を決定しているような錯覚があります。家庭でも、学校でも、コミュニケーションの機会を少しずつ奪ってきているのだと思います。
誰でも頭の中では、話したほうがいい、話したいと思っています。しかし、いざその場になると...。
部下が自身を持ち、自分から話したくなるには
部下を伸ばし、活かす上司は、黙ってしまう部下が自分から話すようになるために、単に言葉を介してコミュニケーションで解決しようとするのではなく、彼らが、自分から動けるように指導します。部下が自分で考え、自分から発言できるようにコーチします。そうすることで部下に自信を持たせていくのです。
さて、部下が自分から話しやすくするために、願わくば、部下が自分から話したくなるために、上司であるあなたは何から取り組みますか?
(『「小さなチームは組織を変える―ネイティブ・コーチ10の法則」』伊藤守著より抜粋編集)
部下をアクノレッジしてみましょう
人は自分が達成したことや成長を実感できることでエネルギーが上がります。次のページを参考に、ぜひ「1on1」で部下をアクノレッジしてみましょう。
リーダーシップミニ講座
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