コーチングは基本的に「1対1」で行うもの。それがチームの活性化や組織開発にどのように機能・作用するの!?そんなお声にお応えすべく、「チームとコーチング」「組織とコーチング」について扱う記事をまとめました。
組織に「対話」を起こす(1)「横の対話」に一歩踏み出す
2022年04月14日
チームや組織に影響を及ぼす「対話」とは、具体的にどのようなものでしょうか。書籍『新 コーチングが人を活かす』から、その視点と事例をご紹介します。
「横の対話」に一歩踏み出す
先日あるロジスティクスの会社の社長から相談を受けました。
「事業部門の長である執行役員が、他の執行役員とまったく話そうとしない。おたがい違う経験と視点を持っているわけだから、話せば刺激を受けるはずなんですが......。どうにかならないでしょうか?」
「なぜ執行役員同士は話さないんでしょう?」と伺うと、
「おそらく、自分の部門のことをあれやこれや言われなくないのでしょう。ここは俺の島なんだから、俺が責任を持ってやっているんだからと。執行役員制度の弊害ですね。」
話すというのは、実はリスクを伴う行為です。相手に批判されるかもしれない。否定されるかもしれないーーだから "ポジション" に守られて話す "縦の対話" はいいけれど、防御が薄くなる "横の対話" はできれば避けたいということになるわけです。
横に話すためには、自分のメンタリティを180度変える必要があります。
自分の利益は一旦脇に置いて、相手のために話すと決めるーーつまり、コーチという役割を身にまとって話すのです。
相手のためにと思った瞬間に、自分の守りへの意識は薄くなり、相手に向かって一歩が出ます。それは、結果的には相手との信頼の構築につながり、情報も入るでしょうし、協力が得られるかもしれません。
さて、先ほどのロジスティクスの会社では、執行役員が別の部門の執行役員をコーチするという仕組みをつくりました。
最初は「なんでそんなことをやるんだ」と不満顔だった執行役員。しかし、回を重ねるごとに、おたがいの間にかつてない信頼感が醸成されるのを感じるようになったそうです。
社長いわく「経営会議の雰囲気がとてもよくなりました。前は誰かが発言しても、それに対しての質問や意見がほとんど出なかった。今はもう喧々諤々の議論になります」
"横の対話" をするメリットは決して少なくありません。
〜『新 コーチングが人を活かす』Skill60より抜粋編集
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