コーチングは基本的に「1対1」で行うもの。それがチームの活性化や組織開発にどのように機能・作用するの!?そんなお声にお応えすべく、「チームとコーチング」「組織とコーチング」について扱う記事をまとめました。
組織に「対話」を起こす(4)問いの連鎖でチームを変える
2022年05月26日
チームや組織に影響を及ぼす「対話」とは、具体的にどのようなものでしょうか。書籍『新 コーチングが人を活かす』から、その視点と事例をご紹介します。
人は毎日たくさんの質問を自分にしています。
質問をして、答えて、質問をして、答えて...。思考というものは "交互にチェーンのように連なる質問と答え" から構成されているようです。
たとえば、朝起きます。すぐに自分に問いかける。
「今日のスケジュールなんだっけ?」
問いかければ脳は答えを出そうとします。
「あっ、会議だ」
次の質問が頭に浮かぶ。
「何を着ていこう?」
「ちゃんとスーツ着ていったほうがいいな」
ポイントは "自分にどんな問いかけをするか" は、かなり無意識だということです。 ですから、気がつくと、同じ類の質問をずっとしていた、ということが起こるわけです。
もし仮に、その質問が「上司に怒られないようにするにはどうしたらいいだろうか?」であったらどうでしょうか?しかも、自分の部下10人が全員その質問をしている。おそらくチームの活力は高くないでしょうし、新しいクリエイティブな動きは、その問いからは起こらないでしょう。
以前あるグローバルホテルチェーンの日本代表とお話をしたことがあります。聞くと、頻繁に米国本社のトップが、彼にメールや電話をしてくる。そしてたずねる。
「今日、俺たちは世界一か?」
「お客様は満足しているか?」という問いであれば「イエス、サー」と答えて会話は終わるかもしれない。でも「今日、俺たちは世界一か?」と問われると「世界一だろうか? 世界一にするために何ができるだろう?」と考えはじめると代表はいいます。
そして、彼もまた、フロントのスタッフや、ドアマンに問いかける。
「今日、私たちのサービスは世界一か?」
こうして、リーダーの "問い" が連鎖し、メンバーに共有され、全員が「世界一のサービスとは何か」について、毎日考える。
これが "問いの共有" です。
コーチは、自分自身の行いによって "自己保身的な問い" がメンバーの中に流れることを、決してよしとしません。チームの存在目的を話すことに直結する問いを自ら考案し、それをメンバーに問いかけ、チームに "問いの共有" をうながすのです。
〜『新 コーチングが人を活かす』Skill58より抜粋編集
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