チーム・組織にコーチングを活かす

コーチングは基本的に「1対1」で行うもの。それがチームの活性化や組織開発にどのように機能・作用するの!?そんなお声にお応えすべく、「チームとコーチング」「組織とコーチング」について扱う記事をまとめました。


未来を共創する経営チームをつくる(3)集団がチームになるためのワークショップ

未来を共創する経営チームをつくる(3)集団がチームになるためのワークショップ
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ハイパフォーマー集団だからこそ、チームになるのが実は難しい経営チーム。
組織の成長・変革を牽引する「経営チーム」のつくりかたのヒントを、エグゼクティブコーチがお伝えします。

以前、ある外資系企業のCEOから相談を受けました。彼は米国人で、米国本社から日本に赴任して、2年が経つところでした。

聞くと、

「自分の下に10人の日本人のバイスプレジデントがいる。それぞれが事業責任者であり、全員とても優秀で仕事ができる」
「しかし、みんな自分の事業にしか関心がない」
「自分たちのところでうまくいっていることを、他部門のバイスプレジデントにシェアすれば、もっと全体としてうまくいくはずなのに、それはやらない」
「会議などでも、それぞれの部門がレポートしている間、他の人たちはただ聞いているだけ」
「質問があったとしても、表面的に内容を理解するだけの浅いもので "交じり合う" ためのものではない...」

なんとか、バイスプレジデントたちが、もっとおたがいの事業に関心を持ち、サポートし合うことによって、全体の業績を伸ばせないだろうか、というのが相談の主旨でした。

そこで、CEOとバイスプレジデント11人全員を集めて、半日のワークショップを実施しました。まずホワイトボードに大きく "FROM" と書きました。そして、この "チームの現状" はどうかについて4時間、議論をしました。

最初、次のような否定的な意見が噴出しました。

「事業責任者は、それぞれの事業目標に責任を持ち、実現するのが仕事でしょう」
「自分の責任を果たすことで精一杯。とても他部門に意識を向ける余裕など...」

私は、ファシリテーターとして、ただ問いを投げかけました。

「本当にそうでしょうか?」
「このままいくと、未来はどうなるでしょうか?」
「こういう状況になっている本当の理由はなんでしょうか?」

彼らが 止まって観て、内省し、これまでの当たり前を検証することができるように、問いかけ続けました。そうすると、だんだん次のような意見が出始めました。

「会議で他人に突っ込みを入れると、その後に自分が突っ込まれるのではと思ってしまう」
「前のCEOの方針は、 "それぞれが自分の役割を果たせ" だった。当然そういうものだと思ってきた」

ワークショップを進めるうちに、他部門に口を出さない表面的な理由と少し深いところにある理由は、どうも違うようだということがそれぞれの中で認識されてきました。

1時間のブレークを入れたのち、今度はホワイトボードに "TO" と書き、では "これからどこに向かうのか" を話してもらいました。

4時間の議論の最後、それを5つのシンプルな表現にまとめました。

  1. 会議は単なるレポーティングの場ではなく、未来に向けて全体戦略をディスカッションする場となっている
  2. 会議では他のバイスプレジデントの発表に対して、躊躇なく自分の意見を述べている
  3. 日常的に自分の経験を積極的に他のバイスプレジデントにシェアし、彼らの目標達成のために力を使っている
  4. 自分が迷ったり、悩んだりしたときは、他のバイスプレジデントのアドバイスを積極的に取りに行っている
  5. この経営チームの一員であることに誇りを持っている

そして、この5つを11人で実現するために、一人ひとりにエグゼクティブコーチがつくこととなりました。

3か月ごとにそれぞれの項目を7点満点で自己採点し、進捗を計る。さらに、自己評価だけでなく、部下のマネージャーたちからも "どう見えているか" を評価してもらい、変化をトラックすることもここで決まりました。

そして、1年後。結果的にすべての項目の点数が、CEOが満足できるほどに上がったのです。

"個人事業主の集まり" は "共創を起こすチーム" へと変貌しました。

〜『未来を共創する経営チームをつくる』第2章より抜粋編集


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