チーム・組織にコーチングを活かす

コーチングは基本的に「1対1」で行うもの。それがチームの活性化や組織開発にどのように機能・作用するの!?そんなお声にお応えすべく、「チームとコーチング」「組織とコーチング」について扱う記事をまとめました。


未来を共創する経営チームをつくる(8)横のコミュニケーションを増やす

未来を共創する経営チームをつくる(8)横のコミュニケーションを増やす
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ハイパフォーマー集団だからこそ、チームになるのが実は難しい経営チーム。
組織の成長・変革を牽引する「経営チーム」のつくりかたのヒントを、エグゼクティブコーチがお伝えします。

社長と役員の "縦のコミュニケーション" が双方向になったら、次は横です。しかし、経営チームの役員を横につなげ、双方向のコミュニケーションを増やすのはそんなに簡単なことではありません。

あるロジスティクスの会社で、就任したばかりの社長のコーチングを始めました。

「会社の何を変えたいですか?」

と伺うと、

「役員間のコミュニケーションが絶望的に少ない」

少しおどけたような顔をして、社長は答えました。絶望というのは強い表現だなと思いました。しかし、社長は「会議以外の場面で役員同士が話しているのをほとんど見ない」とおっしゃるのです。

まずは、実際はどうなのか、役員の方々にインタビューしました。聞くと、以下のような答えが返ってきました。

「そもそも執行役員は、部門に対する執行責任を持っている。自分の役割は、自部門を発展させること。他の役員と話す時間を、なぜ取らなければいけないのか」
「別に仲が悪いわけではない。ただ、それほど話す必要がない」

その役員は批判的になることなく、とても正直に話してくれました。
コミュニケーションを取る必要がないー同じ会社の役員同士なのに「なぜ?」と思われるかもしれません。しかし、そうなのです。必要性が感じられないのです。

実は、コミュニケーションは "プロジェクト" がないと起きません。同じ会社の役員同士、会えば瞬間的に "会話" は起きるのです。しかし継続的な "対話" が起きるにはプロジェクトが必要です。

夫と妻の間のコミュニケーションもまったく同じです。

例えば "子育て" という一緒に取り組むプロジェクトがあるから、夫と妻の間にコミュニケーションは起こります。子どもが巣立った瞬間に「夫婦で何を話したらいいかわからなくなった」「コミュニケーションが減った」という話はよく聞きます。

ですから、子どもが巣立った後も、夫婦がコミュニケーションを交わそうと思ったら、一緒にゴルフをやるとか、ボランティアに参加するとか、何か一緒に携わるプロジェクトが必要です。

先のロジスティクスの会社でも、インタビューした役員の方は「経営企画の役員とは話している」「財務や人事の役員とも話している」と言うわけです。

このように、事業部門の役員と、いわゆるコーポレートの役員との間には、往々にしてプロジェクトがあります。「中期経営計画に、どこまで部門の商品開発を取り込もうか」とか「新人制度をどのように部門で活用するか」などがそうです。

プロジェクトがあるのだから、コミュニケーションが起こるのは当然なのです。

このロジスティクスの会社では、事業部と事業部の役員の間にコミュニケーションを起こしたいわけです。ただ、社長が「役員同士なんだから、横にも話せよ」と伝えても、残念ながらコミュニケーションは起きません。

会社というのは、起業したばかりの頃は "会社そのもの" がプロジェクトです。ところが、会社が大きくなると、役割が分化し、それぞれの部門に責任を持つようになり、具体的に一緒にやるプロジェクトが少なくなります。結果、コミュニケーションが減り、シナジーが起きなくなるのです。

ですから、事業部の役員同士で一緒にできるプロジェクトをつくるといい。それは、役員が思いっきりおたがいの意見をぶつけ合えるようなプロジェクトである必要があります。

さて、どんなテーマがあれば、役員同士が、思い切ってコミュニケーションを交わし、共創のベースとなるような関わりを構築することができるでしょうか?

〜『未来を共創する経営チームをつくる』第3章より抜粋編集


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