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知識と行動の溝をうめる
2004年05月19日
私は講演でよく『コーチングによって知識と行動の間の溝をうめる』という話をします。
「頭ではわかっているのに、なかなか行動に移せない」という体験は、誰にでもあることではないでしょうか。
そういった場合に、コーチングは確かに機能します。
では、その『知識と行動の間をうめる』ためのコーチング、それを実践するにはどうすればいいのでしょうか。
実は、「頭でわかっていても、行動に移せない」というのは、「コーチング」の実践そのものにも当てはまります。コーチングの本を読んだり、研修や講演に参加して、具体的に何をすればいいかは知っているのだが、なかなかそれを実践できない。そういう声をしばしば耳にします。
「部下の話を聞いた方がいいというのはわかった。でも実際にどうやってうまく聞いたらいいのかわからない」
「部下をアクノレッジした方がいいのはわかる。でも、実際にその場になるとできない」
「効果的な質問をした方がいいと思うけど、気がつくと、アドバイスやティーチングをしてしまう」
このように、コーチングで何をしたらいいのかよくわかったけれど、コーチングを実際に使おうと思ったときには使えないというのです。
では、コーチングで学んだものは、どうすれば実践に移せるのでしょうか?
そこで、私はまわりの人に聞いてみました。
「それでも、やっぱり練習することではないですか? 練習するには、まず意識することから始めないといけませんね」
確かに練習することは有効かもしれません。でも、練習の時間がない場合は? いち早く使えるようにするには、どうしたらいいのでしょうか?
私の答えは決まっています。
「コーチをつけなさい」
コーチングを学んだけれど、なかなかそれを現場で使えない。そういう人にとって一番いい方法は、それがやれるようになるために「コーチをつける」ことです。やはり、「知識と行動の間の溝を埋める」ためにはコーチングが有効なのです。
たとえどんな方法をとったとしても、ひとりでやるということは、結局ひとつの視点からしかものを見ることができないため、新しい知識を新しい行動に結びつけるような認識やものの見方ができるようになるわけではありません。
コーチをつけ、コーチとのあいだで知識を行動に移す、そのことを話題にすることによって初めてそれを意識化することができるのです。それをやることの意味、自分の価値観との関係、障害になるものいろいろな角度から検証します。これら、コーチングのプロセスを経て行動に対する、自分自身との同意がより深くなっていくわけです。
また、新しい行動を起こした後に、コーチとは、エバリュエーションをすることもできます。それは、次への動機づけにもなり、ステップアップにもつながるのです。
ひとりでやるということは、結局、従来の学習方法を繰り返すことになります。それがうまく行く行かないにかかわらず、慣れ親しんだ方法を繰り返すものなのです。
コーチングは、従来の学習方法を超えるものです。
実際に、優秀なコーチはみんな、コーチをつけています。
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