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e-ラーニングとコーチ
2005年10月26日
近年急速に広まった e-ラーニングですが、27%の企業がすでに活用しており、さらに46.3%の企業が、その価値を評価しています。効率性、有用性、柔軟性の点で、e-ラーニングは、集合研修、ビデオ、DVD等よりも評価されているのです。
しかし、実際には、学習する側の70%近くが集合研修を評価しています。
ここに、それに関連する興味深い報告があります。e-ラーニング単体の場合、最後までe-ラーニングをやり終えるのは全体の70%以下であり、受講者の30%は、最後までe-ラーニングを使わないというのです。
英語学習のために、英語のカセットテープを買ったことのある人は少なくないと思います。私も学生時代に買いましたが、最初の数本を聞いて、後には、立派な入れ物とマニュアルが残りました。そうかといって、英語のクラスに申し込んでも最後まで通わなかったので、テープにだけ問題があったとは思いません。
つまり、どんなにすばらしい環境、ツールが揃っていても、学習の持続には、モチベーションの維持が不可欠な要素に違いないということだと思います。
モチベーションの維持には、1対1の関係が重要な役割を果たします。
e-ラーニングの受講者にコーチがつくと、最後まで学習する人の人数は飛躍的に伸びることがわかっています。少なくとも、コーチ・トゥエンティワンのe-ラーニングによるコーチング学習は、コーチがつくことで、100%の人が履修を完了しています。おそらく、e-ラーニングにコーチがつくことで、受講者は単に学習対象を学習するだけではなく、それを将来のビジョンと照らし合わせ、今、学習していることが自分にどのような成長をもたらすかについて、検討する時間を持つことができるのでしょう。
また、新しいことを試みるときに生じる抵抗がどのようなものかをはっきりさせることによって学習の障害を取り除くなど、コーチとの会話を通して、受講者は、学習に対する意欲を持つようになります。
さらに、受講者自身が自分でコントロールできる領域をはっきりと知ることができるようになると、受講者は意欲を持つようになります。五里霧中で、つかみどころがない、何もコントロールできないと感じているとき、人は無力感のベールに包まれてしまうものです。一度物事がはっきりし、具体的になり、自分でコントロールできることを知ると、人は意欲的になります。
学習効率を上げるためには、単に学習方法を工夫したり、優れた教材をそろえたりするだけではなく、学習者の学習意欲を上げる働きかけが必要です。また、学習者に本当にフィットした学習方法が発見されなければなりません。
コーチングは、クライアントの学習の効率を上げるためのものです。故に「私があなたをコーチする」というスタンスではうまくいきません。コーチは、コーチングを通して、クライアントが、自分で自分をコーチできるようにすることを目的としているのです。
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