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質問を創る

質問を創る | Hello, Coaching!
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コーチングは、そのほとんどが質問によって進行されるといっても過言ではありません。いい質問は、気づきをもたらし、新しいアイディア、そして、パラダイムシフトをもたらします。

この数年で質問に関する本も数多く出版されました。いつ、どんなときに、どんな質問が有効かについて紹介している本もたくさんあります。しかし、ご存知のように、本に書いてある質問をそのまま「今」に使えるわけではありません。

質問が機能するためには、それだけの条件を必要としています。質問が機能する「場」が、最初に創られなければならないわけです。何のかかわりもない人に、「3年後の自分から今を見たらどう見えますか?」なんて聞かれたくもない。たとえ、酒席でもごめんです。その質問の必然性が了解されている「関係」、「タイミング」、「適切な環境」、「コンテキスト」、そして質問を受けることへの「了解」など、実は、質問をするときには、これらの条件を揃えることが、何にも増して優先されます。

質問には力があります。思考と行動を変える力があります。相手が、何かをはっきりさせてみたい、行動を起こすために見通しのいい状態をつくりたい、と思わない限り、質問に答える理由はありません。誰でも、自分の内側を不用意に覗かせたくもないし、質問に答えることで、相手に利用されることへの警戒心もありますから。「場」が整わないうちは、たいてい質問をされても、一般論で答えたり、いい加減な返事をしたりするものです。

また、興味を喚起しない質問にも答える気になりません。ペンを手に持って「What is this?」なんて聞かれても、答える気になりません。それがたとえ英語の授業でも、手に持っているものが何であるか見えているのに、わざわざ「Pen」なんて答えたくもありません。

でも、手を後ろに回して「今、僕は手に何を持っていると思う?」なんて聞かれれば、それは興味がわきます。いいコーチは、興味を喚起する質問を創りだしています。質問されると、わくわくしちゃうんですね。つまり、質問は「なまもの」だということです。「伊藤、金メダルをとろう。お前にとっての金メダルは何だ?」なんて聞かれたときは、ずいぶん興奮しました。

質問する側の、その人に対する興味、その興味が伝わって、やがて、質問される側も自分に対する興味がわいてくる。そのサイクルが生き生きとした会話をつくり出します。

「今日はどんな一日にしますか?」
「ほかにどんな選択がありますか?」
「もし、あなたが社長なら、いますぐ何をやりますか?」
「3年後どうなっていたいですか?」

世の中には、無数に有効な質問があります。しかし、どの質問も誰が、どのタイミングで、どのようなセッティングをするかによって、機能したり、しなかったりします。

効果的な質問をそこに創りだすことは、コーチにとって永遠のテーマになります。できれば、まったく同じ質問でも、毎回新鮮にできるようになりたいと思います。

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